「片付けなさい」は逆効果? 新学期に備えて“片付けができる”子どもに育てるためにすべきこと【専門家監修】

「片付けなさい」は逆効果? 新学期に備えて“片付けができる”子どもに育てるためにすべきこと【専門家監修】

進級や進学の季節が近づいてきました。新学期が始まると、教科書やプリント、学用品、部活のアイテムなど、子どものものは一気に増えていきます。

ただでさえ普段から「片付けなさい」「使ったら元の場所に戻して」と、子どもに声をかけ続けている家庭も多いのではないでしょうか。ものが増える前に、春休みのうちに子どもが片付けの習慣を身につけてくれたら……と思いますよね。

今回は、整理収納アドバイザーとして1500件以上の家庭を支援してきた大原友美さんに、子どもの年代別の関わり方や、片付けを促す声かけのポイントについて聞きました。

大原友美(おおはら・ゆみ)さん

Smart Life Style・代表 大原友美(おおはら・ゆみ)さん

整理収納アドバイザー。2010年に整理収納アドバイザーの資格を取得し、2012年に「Smart Life Style」を設立。愛知・岐阜を中心に1500件以上の家庭を訪問し、自身の子育ての経験も生かしながら、親子の片付け支援や住環境の見直しを行う。

子どもが片付けられない理由

子どもが片付けられない背景には、いくつかの要因が重なっています。まずは、当事者意識が薄く、本人はそれほど困っていないこと。多少探しものに時間がかかっても、子どもにとっては深刻な問題ではないことが大半です。

子どもが片付けられない背景には、いくつかの要因が重なっています。まずは、当事者意識が薄く、本人はそれほど困っていないこと。多少探しものに時間がかかっても、子どもにとっては深刻な問題ではないことが大半です。

一方、親の場合は、部屋が散らかっていることで家事動線をふさいでしまったり、住空間が乱れたりすることで日常生活に支障が生じる。この体感の差が、親子で片付けに対する温度感のズレを生みます。

もう1つは、何から始めれば良いか具体化されていないことです。とくに小学生は、「出す・使う・戻す」という流れを、まだ自ら実行できる段階ではありません。「片付けて」という抽象的な言葉だけでは、行動に移しにくいのが実情です。

さらに、持ちものの量と収納に関する設計のバランスも重要なポイント。戻しにくい位置、見えない収納、距離のある配置では、片付けの習慣は定着しません。問題はやる気ではなく、行動しやすい条件が整っているかどうかにあります。

問題はやる気ではなく、行動しやすい条件が整っているかどうかにあります。

【年齢別】片付けを促す声かけ

ここからは、子どもの年代別に増えやすいアイテムを想定しながら、必要な片付けの仕組みづくりと、声かけのコツをお伝えします。

ここからは、子どもの年代別に増えやすいアイテムを想定しながら、必要な片付けの仕組みづくりと、声かけのコツをお伝えします。

小学生の場合

小学生は、学用品が増え始め、部屋の中で遊び道具と混在しやすい時期です。まずは教科ごと、用途ごとに定位置を固定することが基本。

小学生は、学用品が増え始め、部屋の中で遊び道具と混在しやすい時期です。まずは教科ごと、用途ごとに定位置を固定することが基本。

棚は腰の高さまで、ボックスは中身が見えるものを選ぶと、戻しやすくなります。親が「どこに戻すと使いやすいかな」と子どもに問いかけることで、自分自身で動線を考える習慣が身につきます。

中学生の場合

中学生になると教科数が増えたり、部活動が始まったり、持ちものの種類が一気に増えます。この段階では、収納先を細かく分けすぎないことがポイント。

中学生になると教科数が増えたり、部活動が始まったり、持ちものの種類が一気に増えます。この段階では、収納先を細かく分けすぎないことがポイント。教科別のファイルや一時置きボックスを活用して短時間で整えられるように。完璧さよりも続けられる仕組みを優先します。

収納の仕方に困っていたら「どこが1番使いにくい?」と具体的に尋ねることで、改善の糸口が見えてきます。親子で一緒に片付けを“回せる仕組み”を考えることが大切です。

高校生の場合

高校生は、進路資料や参考書など自分自身で管理すべき情報やものが増える時期。

高校生は、進路資料や参考書など自分自身で管理すべき情報やものが増える時期。親が管理者になるのではなく、自主性を尊重して判断を任せる姿勢が鍵です。「どう管理していきたい?」と問いかけ、方法を本人に選ばせることが大切。

また、強い口調や感情的な言葉は、逆に子どもの自主的な行動を抑え込んでしまうことも。落ち着いたトーンで対話することが大前提です。

強い口調や感情的な言葉は、逆に子どもの自主的な行動を抑え込んでしまうことも。落ち着いたトーンで対話することが大前提です。

集中できる学習空間のつくり方

家の中でも、子どもが多くの時間を過ごすことになるのが、学習空間です。そこが散らかっていると、集中力を削いでしまう原因になりかねません。

家の中でも、子どもが多くの時間を過ごすことになるのが、学習空間です。そこが散らかっていると、集中力を削いでしまう原因になりかねません。ここでは、効果的な空間づくりのポイントをお伝えします。

勉強に不要なものは別空間へ

学習空間では、「勉強に使うもの」と「遊ぶためのもの」を分けることが基本です。

学習空間では、「勉強に使うもの」と「遊ぶためのもの」を分けることが基本です。混在させると、子どもの集中力を削いでしまう“最大の敵”に。

視界にゲームやおもちゃがあるだけで、意識は自然とそちらへ引き寄せられてしまいます。分別して収納し、視界に入らないようにしてしまうと良いでしょう。

分別には、ラベルの活用が効果的です。棚やボックスに「勉強用」「遊び用」と明示し、役割を持たせることで子ども自身が視覚的に判断しやすくなるでしょう。

空間ごとに役割をもたせる

リビング学習の場合は、とくに“すみ分け”の発想が欠かせません。

リビング学習の場合は、とくに“すみ分け”の発想が欠かせません。たとえば、勉強に使うものはダイニング付近、遊ぶためのものはくつろげるソファ付近へ。空間を分けることで、気持ちの切り替えがしやすくなります。

勉強に使うものはボックスやカゴなどにまとめておき、「学習空間へ持ち込む」→「勉強が終わったら収納場所へ戻す」という流れが現実的。戻すまでの移動距離と手順をできるだけ短く単純に設計することが、継続のポイントになります。

💡思い出の作品はどうする?

子どもが学校から持ち帰ってきた、絵や工作物などの思い出の作品は、なかなか処分しづらいですよね。まずは、「誰が取っておきたいのか」を明確にします。子どもが残したいのか、親が残したいのか。この整理が最初の一歩です。

親が残したい場合は、子どもの部屋ではなく、親が使っている収納空間で管理するという方法もあります。

立体作品など広いスペースを必要とするものは、写真で残す方法がベスト。作品単体ではなく、子どもが作品を持った状態で撮影することで、グッと記憶に残りやすくなります。

さらに、「飾るのはこの棚まで」「保管はこの箱に入る分まで」といった上限ルールを決めること。子どもにとっては選び抜く力も鍛えることができ、一石二鳥です。

片付けが育む“生きる”力

このように整理整頓は、空間を整える作業であると同時に、思考を整理するトレーニングでもあります。

このように整理整頓は、空間を整える作業であると同時に、思考を整理するトレーニングでもあります。子どもの意思を尊重しながら、「何が必要で、何が不要か」「どこに収納すると使いやすくなるか」といったことを考えるように促しましょう。

これを繰り返していくことで、“物事を判断する力”や “物事を組み立てる力” を鍛えることが出来ます。こうした習慣が、日常や学校生活における時間管理や進路選択などにも自然とつながっていきます。

✅ものの「いる」「いらない」を判断する ⇒ 判断する力

✅収納場所や、整理の仕組みを検討する ⇒ 組み立てる力

✅これらを習慣化し、定着 ⇒ “生きる”力

片付けの習慣を身につけることは、 “生きる”力を育むための特訓といえるでしょう。

最後に

大切なのは、親が勝手に捨てたり、先回りして整えたりしないこと。

そして、叱ったり命じたりするのではなく、子どもに問いかける。取り上げたり隠してしまったりするのではなく、自分で決めさせる。これを重ねるうちに、“やらされる”だけの片付けが、自分の意思で行動するものへと変わっていきます。

環境と関わり方を少し見直すだけで、子どもの動きは確実に変わります。 まずは、声かけからでもトライしてみてくださいね。

取材・文:きずなネット編集部

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