「塾の舞台裏」では、個別指導塾で多くの小中高生を指導している講師にインタビューしています。今回は、毎年多くの生徒を見てきた中で感じる「スタートダッシュの重要性」について話を聞きました。

塾講師 金川俊也(かながわ・としや)
大学卒業後、会社員や事業の立ち上げなどを経験したのち独立。愛知県大府市に「個別指導塾アドバンス」を設立し、勉強のやり方と合わせて、未来を生きるためのヒントを子どもたちに伝えている。自身も小2と中1の2児の父として子育てに奮闘中。
最初のテストが成否を分ける
多くの学校で、新学年に進級して初めてのテストが6月にあります。このテストで良い結果を出すことが、非常に大切です。なぜなら、このテストの結果を見ていると、「262の法則」が働いていることを感じるからです。
アリの巣の中で、2割のアリがよく働き、6割は平凡で、2割はサボる。働かない2割のアリを排除しても、やがてまた「2:6:2」の割合に戻り、結局2割のアリがサボるという法則。人間の組織においても、成果の高い人は2割、平均的な人は6割、成果の低い人は2割に分類されると言われている。
最初のテストで上位2割に入れると、「自分は出来る」と良いイメージを持つことができ、その後も勉強のモチベーションが続く生徒が多いです。反対に、最初のテストで失敗してしまうと、それによってやる気を失い、成績も低迷してしまう生徒が多いです。もちろん、全てがこの法則に当てはまるわけではありません。
ただ、このような傾向があるため、最初のテストで良い結果を出し、良いイメージを持って勉強に臨むのは非常に大切だと思っています。
新中3生は4月を大切に!
特に高校受験を控えた新中3生は、最初のテストで良い結果を出せると、志望校合格がグッと近づきます。「262の法則」はもちろん、愛知県の公立高校の一般入学者選抜では、中3の4月から12月末までの評定が、合否判定の材料として用いられるからです。
つまり、4月から高校入試が始まっていると言っても過言ではありません。
新高1生は4月を大切に!
高校受験を終えて、晴れて高校生になったみなさんも、大学受験を目指すのであればスタートダッシュを大切にしましょう。
近年、大学受験は推薦入試の割合が高くなっており、全体の半分が学校推薦型・総合型選抜(旧AO入試)です。推薦入試では、高校3年間の評定が適用されるケースが大半。つまり、高1の成績から大学受験に影響します。
特に、高校受験で自分の成績から考えて少し背伸びをした志望校に合格した生徒は注意が必要です。合格した安堵感から気が緩んでしまうと、周りは成績優秀な生徒ばかり。その中で「262の法則」の下位2割に入ってしまうと、勉強のモチベーションが下がってしまうだけでなく、推薦入試を活用しての大学受験を希望する際に不利になってしまいます。
逆に、高校受験で志望校に合格できなかった場合は、チャンスとも言えるかもしれません。上位2割に入れる可能性が高く、その高校で良い成績を保てれば推薦入試を活用して、希望の大学にも入りやすくなります。
いずれにしても、4月はとても大切な時期。ぜひ良いスタートを切って、成績アップや志望校合格を目指してください。