子どものスマホやゲーム利用、大人はどう関わればいい?【専門家解説】

子どものスマホやゲーム利用、大人はどう関わればいい?【専門家解説】

スマホやタブレットなどでのインターネット、オンラインゲームは、今では子どもたちの生活に深く浸透しています。それらは便利である反面、子どもたちがトラブルに巻き込まれたり、使い過ぎて生活に悪影響が出たり、さまざまなリスクが潜んでいます。

子どもたちが安全にスマホやゲームと付き合うために、大人はどのように関わっていけばいいのでしょうか。小中学校や高校などでネットリテラシーについての講演を行う中西將之さんに話を聞き、2回にわたってお届けます。

中西さん

ツナグラボ代表 中西將之(なかにし・まさゆき)さん 同志社大学経済学部卒業後、人材業界にて5000人以上の就職・転職相談に携わる。2014年に「ツナグラボ」を起業。 2015年から3年間「LINEオフィシャルインストラクター」として、小中高生や教職員、保護者を対象に講演・ワークショップを実施、以後はゲーム・スマホ利用実態調査に基づいた講演を行っている。

スマホとの付き合い方を考えよう

インターネットの進化によって、子どもたちを取り巻く環境は、親が子どもだった頃とはガラリと変わっています。スマホやゲーム機などを使って、24時間365日、自宅でも外出先でも動画やSNS、ゲームなどを楽しめるようになりました。

その一方で、ネット上でのトラブルや、長時間利用による依存の問題が深刻化しています。動画やSNS、ネットゲームなどは「依存症ビジネス」とも呼ばれているのをご存じでしょうか? 欧米の一部などでは、「若年層の健康や精神面に悪影響が出る」などとして、利用を制限する条例・法律を作る事例も出はじめています。

子どもたちにとって、スマホやゲームはとても魅力的で、簡単に我慢することは出来ません。安易に取り上げることで親子関係が悪化したり、よく理解しないまま作ったルールが「なし崩し」になったりして頭を悩ませる保護者も多くいます。

スマホの使い過ぎで学力が低下?

子どもがスマホやゲームの使用時間をコントロールできず、学校生活や食事・睡眠などの生活習慣、対人関係に支障を及ぼすケースが出ています。

子どもがスマホやゲームの使用時間をコントロールできず、学校生活や食事・睡眠などの生活習慣、対人関係に支障を及ぼすケースが出ています。それでも使用をやめられない時は、「依存状態」にあると言えるでしょう。

2014年に「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト(仙台市、東北大学)」が発表したデータ(※)によると、「スマホや携帯を長時間使用すると、いくら勉強していても成績が下がる」ということが分かっています。

ただ、スマホが登場して以来、さまざまな研究が行われてきましたが、脳の認知機能との関係は未解明の部分が多いです。今後、利用時間や依存の診断基準が変わる可能性はありますが、いずれにしても長時間の利用は避けた方がいいのは間違いありません。

私はこれまで小中高生や教職員、保護者を対象に、1000回以上の講演を行ってきました。その経験から、1日3時間以上、スマホなどを使用している子どもは、家庭でスマホ利用に関するルールを決められていない、またはルールがあるけれども守られていないことが圧倒的に多いです。

まずは保護者が安心・安全な使い方を理解し、子どもに合ったルールを作り、運用していくことが重要だと考えています。

保護者が知っておくべき設定

スマホを「連絡手段として子どもに持たせたい」という場合は、インターネットにつながらないキッズ携帯もあります。

スマホを「連絡手段として子どもに持たせたい」という場合は、インターネットにつながらないキッズ携帯もあります。そして、スマホを持たせる場合は、以下の点をおさえて、インターネットの危険性から子どもを守るようにしましょう。

フィルタリング

有害情報から子どもを守るために「フィルタリング」の機能を利用しましょう。スマホでは携帯電話回線と無線LAN回線の両方で設定を行う必要があります。

設定方法が分からない場合は、契約した通信事業者や販売店に相談してください。法律(青少年インターネット環境整備法第6条)で、フィルタリングの利用は保護者の責務とされています。

ペアレンタルコントロール

多くの端末に搭載されている「ペアレンタルコントロール」機能は、子どものスマホ利用時間や有料コンテンツの購入について制限をかけることが可能です。具体的な設定方法の手順は、各機種の公式ガイドなどを参照してください。

アプリごとの対象年齢

アプリごとに対象年齢が設定されています。子どもがダウンロードしたいと言ったら、その都度アプリの内容や利用規約も確認するようにしましょう。

スクリーンタイム

iPhoneには、スマホやアプリの使用制限ができる「スクリーンタイム」機能があります。子どものスマホの使い過ぎをなくしたい場合や、使用時間を管理したい時に役立ちます。

YouTube Kids

「YouTube Kids」を使うと、子どもに適していない動画コンテンツや広告が表示されないようになります。また、保護者が子どものプロフィールを設定することで、視聴できる動画や視聴時間を設定して管理することも可能です。

デジタルウェルビーイング

Androidを使っている場合、スマホに搭載されている「デジタルウェルビーイング」の機能を使えば、アプリごとの使用時間などを確認でき、上限時間の設定も可能になります。上限を超えたら、アプリ使用の停止とともにアプリからの通知を止めることも出来ます。

ファミリーリンク

Googleが提供している「ファミリーリンク」は、子どもに最適なルールが設定できる機能です。端末の「おやすみ時間」や利用時間の制限、アプリの権限、年齢に適したコンテンツへの誘導も行えます。子どもがスマホを持ち歩いている時に、地図上で位置情報を把握することも出来ます。

フォーナイトペアレンタルコントロール

オンラインゲームでの交流を見守るのに役立つのが「フォーナイトペアレンタルコントロール」で、ゲーム習慣の管理にも便利です。ペアレント設定を行うことで、子どもがゲーム上で交流できる相手を制限、または規制することが出来ます。

インスタグラムファミリーセンター

13歳(インスタグラムを開設できる最低年齢)以上の子どものアカウントについて、利用時間の確認や制限が出来る機能です。子どものフォロー・フォロワーアカウントの確認、新しくフォロー・フォロワーが増えた時や投稿した時には、その詳細を確認できます。

最後に

大人でも、ゲームやスマホを使い始めると、やめられなくなってしまうことはありますよね。子どもはそれ以上にコントロールが出来ません。便利なツールと上手に付き合えるように、ぜひ親子での話し合いの機会も増やしていってくださいね。

文・聞き手:きずなネットよみものWeb編集部

※参考:「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト(仙台市、東北大学)」

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