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日本全国の被爆者でつくる「日本原水爆被害者団体協議会(被団協)」が、2024年のノーベル平和賞を受賞しました。広島と長崎に投下された原子爆弾(原爆)や水素爆弾(水爆)という核兵器が人の道から外れていて、核兵器のない世界の実現がいかに大切か、証言を通じて訴え続ける長年の努力が評価されています。
核兵器って?
物質をつくっている「原子」の核が分裂したり、くっついたりして違う種類の原子になる「核反応」を利用した爆弾のことです。一般的な爆弾に比べて、100万~数十億倍の爆発力があります。数千℃という高温になるので、広島や長崎では、爆心地から数㎞以内でひどいやけどを負ったり、一瞬で亡くなったりした人がたくさんいました。
また、核反応によって放射線が出るのも特徴です。人間が放射線をたくさん浴びると、当たった細胞や遺伝子が壊れてしまうことがあります。生き残った人でも、何年も後になってがんなどの「原爆症」になった例が多く報告されています。生きている間、病気が追いかけてくるような終わらない苦しみが続くのです。
なぜ今、受賞?
ノーベル賞委員会は、被爆者たちが「核兵器のない世界を実現するために努力し、核兵器が二度と使われてはいけないと証言を通じて示してきた」と授賞理由を説明。被爆で負った痛みや苦しみ、つらい記憶を話し、平和に生かしてきたことに敬意を表しました。
第2次世界大戦から80年近くたち、戦争で核兵器が使われたことはありません。でも、ロシアやアメリカ、イスラエルなどの国が計1万2千発の核兵器を持っています。改良したり、新たに手に入れようとしたり、戦争で使うと脅迫する国もあります。委員会は「今こそ核兵器とは何かを思い起こす価値がある」と述べています。
被団協の思いは?
被団協は、1954年にアメリカの水爆実験で漁船「第五福竜丸」の漁師たちが被ばくした事件を機に、1956年に結成されました。一番の願いは、核兵器が世界からなくなり、戦争が起きず、被爆者や遺族が十分な補償を受けられることです。
被団協の代表理事で、愛知県原水爆被災者の会(愛友会)の理事長でもある金本弘さん(80)は、受賞を喜びつつ、「もう少し早かったら、もっとたくさんの被爆者が喜んだのに」ともこぼします。長い間、身を削って活動し続けた先輩の多くが亡くなりました。
金本さんは「平和賞は若い人たちがもらったと思ってもらいたい。戦争は始まったら止められない。なぜ80年も日本で戦争がなかったのか考えて」と語りかけます。皆さんはどう思いますか?
この記事は「中日こどもウイークリー」で2024年11月2日に掲載された記事を転載しています。