- 投稿日
2024年が始まりました。これから、どのような出会いがあり、どのような景色が広がるのでしょうか。今回は新しい年のスタートに、世界を舞台に活躍する盲目の天才ピアニスト辻井伸行さんと母親のいつ子さんのエピソードから、子どもに学ぶポジティブ思考と、子育ての極意について考えてみたいと思います。

一般社団法人シヅクリ 代表 山下由修(やました・よしのぶ)
静岡市内の小・中学校で勤務した後、市立清水江尻小学校の校長として、県内初のコミュニティースクールを創設、運営。また、市立大里中学校の校長を務めながら、フレックスタイム制の導入や校内フリースクールの開設、プロジェクト型の校内組織運営などに着手 。2019年、一般社団法人シヅクリを創設し、静岡を拠点に、人材育成に取り組んでいる。
辻井伸行さん親子の起こした奇跡
辻井伸行さんは、母いつ子さんについて次のように語っています。
いつ子さんは、 子育ての葛藤と喜びをこのように話しています。
それが生後半年を過ぎた頃、ある変化が起こりました。ショパンの「英雄ポロネーズ」を聴くたびに、伸行が足をバタバタさせて喜びを表現したのです。
そして、2歳3ヶ月のクリスマスの日、まだおむつも取れない伸行が、ピアノを弾いていたのです。ピアノと向き合っている時は、まるで天使。ひとときの穏やかな時間を過ごしながら、出来ないことを嘆くのではなく、好きなことを伸ばそうと心に誓いました。
その後、数々の試練を乗り越え、伸行はプロのピアニストの階段をのぼっていきます。
人と絶対に比較せずに、その子の本分を見つけて思い切り伸ばしてあげること。子どもが「やってみたい」と言った時「あなただったら出来る」と言って信じることの大切さを子育てを通して教わった気がします。
出典:辻井いつ子公式サイトなど
子どもから学ぶ3つのポジティブ思考
私自身もこれまで多くの子どもたちと接してきました。その中で、子どもから見習うべきポジティブ思考は次の通りです。
①楽しいことを見つける
子どもは楽しいことを見つける天才です。裏返せば、楽しいと思うことしか行動しません。子どもが楽しいと感じて没頭している時の集中力には凄まじいものがあります。失敗など気にせず、常にポジィティブに物事を捉え、進んでいきます。
それが大人になるにしたがって「しなければならない」という義務感や規則、常識という壁が立ちふさがり、自ら一歩を踏み出すことを止めてしまうのです。こうして、楽しいことを見つける能力が衰えていってしまうのです。
②他人からの評価を気にしない
子どもは自信を持っています。それは、他人の目を気にしないからです。他人と比べて上手いか下手かなどでためらうことはありません。誰もが堂々と楽しくトライします。
それが年を重ねると、他人からの評価が気になり始め、積極性を欠いてしまうのです。
③出来るようになるまで練習を続ける
子どもはやりたいことを見つけると、誰かに止められない限り練習を続けます。出来なかったことが出来るようになることに最大の喜びを感じるからです。
それが大人になると、続けられなくなってしまいます。そればかりか「それはあなたには無理」「現実的ではない」などと言って人の夢や目標を妨害しようとする「ドリームキラー」に潰されてしまうことも。そんな言葉をそのまま子どもに使うと、子どもの夢や未来の可能性をつぶしてしまいます。
子育ての極意は、子どもから学び続ける
辻井伸行さんは、ピアノに魅せられ、数々の苦難を乗り越え、レッスンに打ち込みます。いつ子さんは、わが子に才能があると信じ、それを最大限引き出してあげるのが親の役目だと伴走してきました。
子育ての極意とは、子どもの可能性を信じ、子どもが自身の力で自分の道を見つけられるように伴走すること。そして、大人も子どもから学び続けることではないでしょうか。
そして、人生の醍醐味は自分自身の可能性を探究し続け、自分自身の価値を高め、社会のためにその価値を使い切ることです。その土台は、誰もが子どもの頃に持っていた3つのポジィティブ思考なのではないでしょうか。
文:山下由修
★感想をお寄せください★
ぜひ記事を読んだ感想をお聞かせください。今後の参考にさせていただきます。
こちらからどうぞ