中学生向け|実技4教科に楽しく取り組み、成績アップをねらおう【学びの扉】

中学生向け|実技4教科に楽しく取り組み、成績アップをねらおう【学びの扉】

5月中旬から、3学期制の中学校の多くで中間テストが始まります。そして、その後やってくるのが期末テスト。5教科の勉強だけでも大変なのに、期末テストでは実技の4教科が加わり、「9教科も勉強をするのは大変!」と感じる人もいるかもしれません。

今回は、実技4教科で成績アップをねらうコツを解説します。

渡邉先生

塾講師 渡邉智治(わたなべ・ともはる)

愛知県一宮市にて「進学塾 翔和」を経営。塾講師歴は25年以上。犬山市教育委員も務めている。

実技4教科が合格を左右する

高校入試では、合否に内申点が大きく関わっています。多くの場合、学力検査の結果(入試当日点)と内申書(調査書)での内申点(評定得点)を合算し、合否を判定するからです。

愛知県の公立高校一般選抜・選択Ⅰ方式の場合

評定得点(45)×2+学力検査の合計点(110点)

※評定得点と学力検査合計得点の配点傾斜は各校で決定

岐阜県の公立高校入学者選抜の場合

[中1 の学年評定得点(45)+中2の学年評定得点(45)+中3の学年評定得点(45)× 2 ]+学力検査の合計点(500点)

※調査書と学力検査の結果を総合的に審査
※評定得点と学力検査の結果の比率については、7:3~3:7の範囲となるよう各校で決定

評定得点と学年評定得点の「45」というのは、 英語、数学、国語、理科、社会の主要5教科に、音楽、美術、保健体育、技術・家庭の実技4教科を加えた9教科を、それぞれ5段階で評価し、合計したものです。なお、調査書には内申点のほかにも、出席日数や総合所見、行動の記録、特別活動の記録などが書かれます。

公立高校の推薦選抜や私立高校の推薦入試においても、多くの場合、内申点(評定得点)が合否に大きく関わってきます。

実技教科は取り組む姿勢が大切

このように、高校入試において、内申点が非常に重要となるため、学力検査の科目ではないからといって、おろそかに出来ません。見方を変えれば、普段から実技教科で好成績をおさめることで、内申点を大きく引き上げられるのです。

でも、「音楽や美術のセンスがないし……」「運動神経悪いし……」なんて思っていませんか? 確かに、生まれ持った才能やセンスが、実技教科の実技テストで有利に働くことがあります。しかし、実技教科の成績は、実技テストの点数だけは決まりません。

すべての教科に共通することですが、「学習指導要領」では次の3つの観点を重視しています。

① 知識・技能
② 思考・判断・表現
③ 主体的に学習に取り組む態度

実技教科においても、①の「知識」や②の「思考」は大切で、筆記テストで得点を稼ぐことが出来れば、内申点はかなり有利になります。一方、③の「主体的に学習に取り組む態度」は「どのような姿勢で授業に参加しているのか」がポイントになります。

体を動かす、声を出す、制作するなど、生徒によっては得意・不得意があることでしょう。ただ、不得意だから逃げ腰でのぞんだり、手を抜いたりするのではなく、目の前のことに全力で取り組み、頑張っていれば、きっとその姿を評価してくれると思います。

実技教科の勉強時間の確保を

限られた時間の中で、5教科に加え、実技教科まで勉強をするのは大変です。

限られた時間の中で、5教科に加え、実技教科まで勉強をするのは大変です。でも、実技教科の筆記テストで高得点をとることはそんなに難しくありません。

その理由は次の通りです。

・授業時間数が少ないため、出題範囲が狭い
・知識を積み重ねていく教科ではないので、テスト範囲だけ集中的に勉強すればいい
・計画的に勉強(復習)する人が少ない

つまり、実技教科の筆記テストはきちんと勉強をすれば必ず高得点がとれます。期末テストの直前は5教科の勉強にしっかり時間を使いたいので、実技教科は意識して早めに勉強を始めてください。

最近は「平常テスト」と銘打って、期末テストの1、2週間前に実技教科の筆記テストを実施する中学校も増えています。その場合も、前もって勉強始めるようにしましょう。

実技教科の勉強方法

最後に、実技教科の効果的な勉強方法をお伝えします。

●音楽
語句をしっかり覚える、授業で習った曲をまとめる (作曲者・拍子など)

●体育
ラジオ体操や球技のルールなどを、教科書を中心に勉強する

●保健
授業で習った内容を教科書・ノートを見ながら、その日のうちにまとめる

●美術
作品と作者を一致させる、語句をしっかり覚える

●技術・家庭
教科書の図表や太字の語句の説明・意味を正しく覚える
道具や器具の名称と使い方など、早めにまとめておく

書店などには実技教科の参考書や問題集が並んでいますが、筆記テストで出題されるのは、学校の授業で習ったことが全てだと言えます。したがって、学校の授業に真剣に取り組むことが、テストでも、内申点でも、良い評価をとるポイントです。

「高校入試のために」という考え方も悪くはありませんが、どの教科も前向きに取り組むことで、より充実した学校生活になると思いますよ。

文:渡邉智治

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