大学合格を目指す高校3年生は、これから受験生としての1年が始まります。
大学入学共通テストまで約300日、国公立大の前期入試まで約340日。試験日までの1日1日、やるべきことを着実に積み重ねていけば、今は難しいと思える大学にもきっと合格できます。そこで今回は志望校合格に向け、どのようなスケジュールで1年を過ごせばいいのかをお伝えします。

塾講師 渡邉智治(わたなべ・ともはる)
愛知県一宮市にて「進学塾 翔和」を経営。塾講師歴は30年以上。不登校心理相談士(教育心理カウンセラー)で、犬山市教育委員も務めている。
4月に行う3つの準備
4月の早い段階で、次の3つの準備を整えておきましょう。
志望校を決める
受験勉強をスタートする前にゴール、つまり、志望校を決めましょう。志望校は今の自分の偏差値や模試の判定だけで決めるのではありません。将来就きたい職業や好きな分野、興味のあることなどから、大学・学部を考えてみてください。
志望校が決まれば、受験科目、配点、各科目の得点目標なども明確になります。現状との差をしっかり認識し、合格ラインに到達するまでの戦略をしっかり練ることで、受験勉強の計画を立てやすくなります。
入試を分析する
志望校が決まったら、過去問を解いてみましょう。時間や得点は一切気にせず、問題の難易度や出題傾向などを体感するのです。特に私立大学の場合は、出題形式や記述式の有無、正解するための条件などを詳しく分析してみてください。
受験勉強の量と質を考える
受験勉強は量だけでなく、質も大切です。これまでの模試や定期テストの結果を参考に、得意科目をよりレベルアップし、苦手科目を克服するための戦略を練りましょう。
1学期~夏休みは基礎を固める
1学期~夏休みに押さえておきたいのは、次の3つです。
基礎を固める
合格点をとるためには、基礎問題を確実に正解することが重要です。応用レベルの問題を解くためにも、基礎はおろそかに出来ません。着実に基礎を固めるようにしてください。
学校の授業を大切に
学校の授業や課題も「受験勉強」と心得ること。定期テストや模試などを中間目標として、勉強を進めていきましょう
入試要項を確認する
国公立・私立大学ともに、2025年度の入試結果と2026年度の入試要項が公開されています。まずは、みなさんが受けることになる2026年度入試の受験科目や配点、入試方法、試験会場などしっかり確認しましょう。
また、学校推薦型選抜や総合型選抜など、や推薦選抜など一般選抜(一般入試)以外での受験を考えている場合は、早めに学校の担任や進路指導の教員に相談してみてください。
9~11月は応用力をつける
夏休み明けの9~11月に押さえておきたいのは、次の4つです。
応用力をつけよう
夏休みまでに培った基礎力を土台に、入試レベルの問題に対応できる応用力をつけていきましょう。問題演習や定期テスト、模試などを活用して、これまで積み重ねてきた知識をアウトプットしていきます。
その後、自己採点や間違えた問題を振り返ることで、再度インプットと補強をしていきます。9~11月はこのサイクルで受験勉強を進めていきましょう。
過去問を解く
土日祝日は勉強時間をしっかり確保して、志望校の過去問を解いてください。本番に近い、より実践的な勉強が出来ます。
事務手続きも忘れずに
大学入学共通テストの出願は、9月から始まります。大学・学部や試験方式ごとに必要な科目が異なるため、慎重に検討、出願してください。
また、遠方の大学を受験する場合、宿泊場所の確保も重要です。ホテルなどは、受験会場に近いところから満室になっていくので、早めの予約をおすすめします。
12~3月は実践力を磨く
いよいよ入試本番が迫った12月以降は、次のことを押さえましょう。
実戦力を磨く
入試本番でこれまでやってきたことを最大限発揮するため、実戦力を磨きます。過去問を解く時は、時間配分や解答する順番など、入試本番を想定して解くようにしてください。
また、複数の大学を受験する場合は、共通テスト対策、国公立大学の二次試験(前期日程・後期日程)対策、私立大学対策と、勉強計画を立て、バランスを意識しながら進めていきましょう。
共通テストの自己採点は正確に
多くの受験生が、共通テストの自己採点結果をもとに、国公立大学の出願校を確定したり、滑り止めの大学を決めたりすると思います。出願期間を考えると、検討する時間は短くなってしまいますが、それぞれの大学の入試データをもとに、学校や塾などとも相談し、出願校を決めましょう。
私立大学の入試は、連日続くこともあります。体力的にも、精神的にも大変ですが、行きたい大学・学部なら、積極的に受験してください。
体調・スケジュール管理を万全に
受験期は、風邪やインフルエンザが流行する季節です。いつも以上に食事や睡眠に気を付け、体調管理を心掛けてください。
また、試験日や合格発表日、入学手続きの締切日など、スケジュール管理も万全に。家族間で情報を共有し、お子さんが安心して受験できるよう、親御さんもサポートしてあげてください。励ましの言葉やポジティブな言葉をかけてあげられるといいですね。
最後に
大学入試は、高校入試とは全く違います。大学入試は「行ける大学」ではなく、「行きたい大学・学部」を目指してください。
国公立大学の後期日程や一部の私立大学は、卒業式の後に試験があります。気が緩んでしまうかもしれませんが、本気で行きたい大学・学部であれば、とことん挑戦してください。大切なのは最後の最後まで諦めず、自分の力を信じ抜くことです。
将来社会に出て、活躍するための知識や経験、どんな困難にも負けない精神力を培っていくのが、これから始まる受験勉強。受験が終わっても人生は続きます。この1年間の全力でやり切った経験は、必ず将来に生きてくるはずです。ぜひ頑張ってください。
文:渡邉智治