「塾の舞台裏」では、個別指導塾で多くの小中高生を指導している講師にインタビューをし、実際にあった事例を紹介しています。今回は、生徒・親・講師の三者面談の場で、感じたことを聞きました。
塾講師 金川俊也(かながわ・としや)
大学卒業後、会社員や事業の立ち上げなどを経験したのち独立。愛知県大府市に「個別指導塾アドバンス」を設立し、勉強のやり方と合わせて、未来を生きるためのヒントを子どもたちに伝えている。自身も小2と中1の2児の父として子育てに奮闘中。
三者面談での親子間ギャップ
私たちの塾では、定期的に生徒と親、講師で三者面談を実施しています。テストの結果を振り返りながら、「今回、よく出来ていたところ」「今後、さらに伸ばしていきたいところ」などの話をする場です。
例えば、平均が60点のテストで70点をとることができ、生徒自身は結果に「満足している」のに、親御さんは「このテストなら80点以上は取れたのでは?」と、「満足していない」ことがあります。生徒本人と親御さんの期待値に差があるケースです。
生徒は「頑張った」と思っている。親御さんは「もっと出来たはず」と思っている。この状態だと、まずは双方の期待値のギャップを埋めなければいけません。
いったん、今の結果に対して、生徒と親、講師の3者でOKを出せれば、次に向けてどうしていくかの前向きな話が出来ます。しかし、ここにギャップがあると、1番話したい「これから」の話が出来なくなり、生徒もやる気をなくしてしまう傾向があります。
自己肯定感が学力に与える影響
「自己肯定感」とは、良い部分も悪い部分も含めて、自分のことを好意的に受け止められる感覚を指します。自分自身を認められている子は、課題に対して前向きに取り組むことが出来ます。つまり、自己肯定感が高い子の方が学力も伸びやすいと言えるでしょう。
もともと数学が得意、国語が好きなど……持って生まれたものもありますが、自己肯定感は環境や周囲の人の関わり方で変わる部分も大きいです。
「大きすぎる期待」が招くもの
親御さんがお子さんに対して大きすぎる期待を持つことは、その期待に応えられなかった子が「どうせ自分なんて……」と考えるようになり、その子の自己肯定感を下げてしまいかねません。
お子さんに対して「期待をしてはいけない」と言っているわけではないです。ただ、お子さんの現状をまずは受け止めて、認めるということ。そうすることが、お子さんの自己肯定感を高め、やる気を引き出し、本来の力を伸ばしてあげられるように思っています。