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五月病は、環境の大きく変わりがちな春を乗り切って、ほっと一息つく5月の連休明けに感じるさまざまな不調のことです。
学生さんや新社会人、ビジネスマンの五月病はもちろんのこと。子育て世代のママやパパは、自分のことに加え、子どもやパートナーの環境変化の影響を受けることがあるため注意が必要です。今回は、五月病とは何か。その症状や原因、乗り越え方・抜け出し方を医師監修の内容でご紹介します。
監修医:鈴木 幹啓(すずき みきひろ)
日本小児科学会認定小児科専門医。日本小児感染症学会・日本小児アレルギー学会・日本小児呼吸器疾患学会・日本小児皮膚科学会 所属。オンラインドクター。34歳で和歌山県新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院。心掛けていることは、患者ニーズを徹底的に追及する。患者様を不安にさせたまま帰宅させないこと。人口3万人弱の地方都市にも関わらず、日本一忙しい小児科医と称される。著書「日本一忙しい小児科医が教える~病気にならない子育て術~(双葉社)」三重県伊勢市出身。3児の父。
五月病とは?
五月病とは、5月の連休後に「やる気がでない」「疲れがずっと抜けない」など、なんとなく感じる心身の不調のことをいいます。五月病は医学的な病名ではありませんが、ひどくなると会社や学校に行けなくなったり、うつ病になったりすることも。不調がひどくなる前に対処することが大切です。
五月病になる原因
五月病はストレスが原因で起こると考えられています。誰しも環境の変化があるとストレスを感じるものです。春はいろいろと環境が大きくかわりやすいタイミング。
働いていると、職場の異動で人間関係や仕事内容が変わるということが多いかもしれません。また、ママやパパの場合、子どもの入園・入学、進級などで生活リズムが変わったり、新しい人間関係が生まれたり。パートナーの転勤で、生活環境がガラっと変わることもあるでしょう。
こうした環境の変化は、想像以上にストレスになります。最初のうちは気を張っているため、特に何も感じないかもしれません。それが、5月の連休でほっとして気がゆるむと、ココロやカラダに影響が出てしまうのです。
五月病の症状チェック
五月病にはどのような症状があるのでしょうか。ココロとカラダ、行動に分けて具体的な症状を見てみましょう。
ココロの症状
- □ 家族についイライラしてしまう
- □ 仕事、家事、育児などに対してやる気がでない
- □ 漠然と不安を感じる
- □ ネガティブなことばかり考えてしまう
- □ 同僚や友達との人間関係が億劫に感じる
- □ 会社に行きたくないと感じる
カラダの症状
- □ 疲れがとれない
- □ 食欲がなくなった
- □ 動悸がする
- □ 寝つきが悪い
- □ 頭痛や肩こりがひどい
行動に現れる症状
- □ 仕事や家事でケアレスミスが多くなった
- □ 身だしなみを整えられなくなった
- □ 家に引きこもりがちになった
当てはまる症状はありましたか?五月の連休明けにこうした症状がでている場合、五月病かもしれません。自分だけでなく、パートナーや子どもに五月病の症状が出ていないかも気を付けてあげられるとよいですね。
五月病になりやすい性格って?
五月病になりやすいかどうかは性格によって差があると言われています。では、どのような性格が五月病になりやすいのでしょうか。
それは、五月病の原因と考えられるストレスを感じやすい人。ストレスを感じやすい性格をチェックして、自分に当てはまるところがないか考えてみましょう。
生真面目
生真面目な性格の人は、何事も真正面から受け止めてしまう傾向があります。環境が変わると覚えなければならないことや、やらなければならないことが増えるもの。全てを「しっかりやらなければ」と頑張りすぎることで、ストレスがたまりやすくなります。
責任感・正義感が強い
責任感や正義感が強いのはよいことですが、新しい環境において「早くなじまないと!」「仕事で成果をあげないと!」という気持ちがプレッシャーとなり、ストレスのもととなることがあります。
理想が高く完璧主義
完璧を求めすぎると、ちょっとしたミスや人から言われたことを許せず、それがストレスになることがあります。環境が変わると初めてのことが多くなり、完璧にこなすのは難しいもの。その結果、ストレスが積み重なり五月病につながります。
自分の気持ちを抑えがち
自分の気持ちを抑えがちな人は、新しい人間関係において自分の意見を言えず、他人を優先してしまう傾向があります。そのため、嫌なことを嫌と言えず、ストレスが重くのしかかってしまうことに。
どの性格にも良い面はありますが、悪い面が強くでると、ストレスを受けやすくなります。当てはまるところがあるなと感じたら、自分を責めたり、追い込んだりしないよう、考え方をゆるめてみましょう。
五月病の抜け出し方5つのコツ
ゴールデンウィーク明けから気分が優れない、疲労感がとれないなど五月病の兆候を感じたら、早めに対処したいもの。この章では、特にママ・パパにオススメの五月病の乗り越え方、抜け出し方をご紹介します。
1.モヤモヤを吐き出す
ココロにたまったモヤモヤを外に吐き出すと、ストレスを発散できます。モヤモヤがたまっているなと感じたら、パートナーや友人などに話を聞いてもらいましょう。ポイントは「信頼できる人」に話すということ。信頼関係がない相手だと、ネガティブな人と思われたり、その話が広まったりするリスクがあります。
人に話しにくい場合は、紙に書き出すだけでもモヤモヤが整理され、ストレスが軽減されますよ。
2.セロトニンを増やす生活を心がける
セロトニンはココロの安定や安心感をアップしてくれる脳内物質。ストレスを緩和してくれるとされ、「幸せホルモン」と呼ばれることもあります。セロトニンを作る材料に「トリプトファン」というアミノ酸があります。トリプトファンは体内で作ることができないため、食事から摂るようにしましょう。
トリプトファンを多く含む食材
- 大豆製品
…納豆、味噌、豆腐など - 乳製品
…チーズ、ヨーグルトなど - 穀類
…白米、パスタ、そばなど - その他
…ごま、ピーナッツ、卵、バナナ など
3.睡眠を改善する
しっかり眠れていれば、脳が休まり、ストレスも緩和されます。子育てや家事、仕事に追われていると睡眠不足になることも多々あるでしょう。
まずは睡眠時間を確保すること。忙しくて睡眠時間が短くなってしまう場合も「質」でカバーできるよう、以下を心がけてみましょう。
睡眠の質を上げるには
- 夕方以降のカフェインを控える
- 夕方以降に仮眠をしない
- 食事は寝る3時間前までに済ませる
- 寝る前の飲酒を避ける、量を控える
- 寝る前にスマホやパソコン、テレビを見ない
- 寝る前にぬるめの湯船にゆっくりつかる
- 枕や寝具、パジャマを自分に合ったものにする など
睡眠で損してない?免疫力を上げる生活リズムのつくり方の記事も参考にしてみてください。
4.ウォーキングやジョギングをする
先ほどご紹介した、幸せホルモンのセロトニンは、日光を浴びることで分泌されます。また、リズミカルな運動によって活性化されることが分かっています。具体的には、軽い有酸素運動がおすすめ。
朝起きてから、外でウォーキングや軽いジョギング、サイクリングなどをおこなえば、セロトニンの分泌を促すことができます。
運動は、毎日続けられることが理想ですが、1人ではなかなか難しいですよね。継続のコツは、誰かを巻き込むこと。1日数分~数十分でよいので、家族みんなで身体を動かす習慣作りができるとよいでしょう。生活に運動を取り入れてみてくださいね。
また、土日にはバドミントンをする、山に登るなど身体を動かすアクティビティをするのもよいですね。
5.ひとりの時間を作る
「ひとりの時間」はストレスから解放される時間であり、ストレスからの回復に効果があります。結婚して子どもができるとなかなか自分の時間を作ることが難しいもの。パートナーと相談し、お互いがそれぞれ「ひとりの時間」を持てるように工夫できるとよいですね。自分だけでなんとかしようとせず、親やベビーシッター、保育園の一時預かりなど「ひとりの時間」を作るために頼れる場所も確保しておきましょう。
自分もパートナーも、子どもも、家族みんなが元気でいられるように。ぜひ、五月病の乗り越え方・抜け出し方を試してみてくださいね。
最後に
ココロにもカラダにも不調がでる五月病。仕事や家事・育児が忙しく、つい頑張りすぎてしまうママ・パパは特に気をつけていきましょう。もし、五月病かもと思ったら、自分のためにも、家族のためにも。この記事で紹介した五月病の抜け出し方・乗り越え方を参考にしてみてくださいね。
文:荒井梨乃