心の病気「摂食障害」知っていますか? 拒食症や過食症が低年齢化

心の病気「摂食障害」知っていますか? 拒食症や過食症が低年齢化

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この記事は「中日こどもウイークリー」で2025年8月2日に掲載された記事を転載しています。

摂食障害という病気を知っていますか? 不安やストレスが原因とされ、拒食や過食症、機能的えん下障害など、食生活に悪影響が出る心の病気です。近年では患者が低年齢化していて、心配されています。

若い女性に多く 食生活に影響

「交流サイト(SNS)の普及でやせているアイドルに人気が集まり、摂食障害が子どもたちに広がってきています。子どもたちの体調変化に気を配ってあげてください」

2025年7月中旬、愛知県春日井市の知多中学校で、摂食障害に関する講座がありました。摂食障害の患者やその家族を支援する団体「摂食障害よりみち」代表の鈴木佳世さん(41)が講師を務め、中学生の母親たちに摂食障害の原因や症状について説明しました。

「拒食症」は必要な量の食事を取らず、やせすぎてしまう病気です。体にさまざまな悪影響が出るほか、怒りやすくなる、うつ状態になる、集中力が低下するなど心にも変化が出ます。自分でコントロールできないほど食べてしまう「過食症」もあり、10~20代の女性がかかることが多いです。

経験者が団体創設 あせらず回復

鈴木佳世さん鈴木佳世さん

鈴木さんも摂食障害の患者でした。高校2年生の時にダイエットを始め、友達から「かわいい、うらやましい」と言われるとエスカレート。拒食症を患いました。

子ども用の茶わんに少しだけご飯をよそって食べ、水を飲むことすら拒むように。体重が減って生理が来なくなったり、体の骨が浮き出て、皮膚がこすれてけがをしたりしました。

高校3年生になると、逆に空腹が怖くなって過食症に。満腹まで食べて下剤で出す生活が始まり、その後は拒食症と過食症を繰り返しました。高校卒業後に「病気の自分も受け入れ、摂食障害とうまく付き合っていこう」と考え直し、食生活の改善を決意。回復するまで17年かかりました。

「同じ病気に悩む人の力になりたい」と6年前に団体を立ち上げ、患者たちの相談を受けるほか、病気を多くの人に知ってもらおうと講座を開いています。

「よりみち」には「あせらず寄り道しながら回復していこう」「摂食障害は誰でもなる可能性のある病気。より身近に感じてほしい」という2つの意味を込めました。鈴木さんは「回復のきっかけは人それぞれ。団体の活動が誰かの回復のきっかけになれば」と願っています。

ストレスも一因 気持ち伝えて

ストレスも一因 気持ち伝えて

摂食障害の国内の患者数は22万人とされ、死亡率は5%と他の精神疾患に比べて高いです。

愛知県名古屋市の星ケ丘マタニティ病院副院長で、小児科の井口敏之医師は、摂食障害の原因の1つに日常生活での不安を挙げます。拒食症の場合、「みんなに嫌われたくない」などの不安から「やせたらもっと好かれるのでは」と思い、食べないようになってしまうそうです。拒食症の治療には、入院したり、自宅で親の力を借りたりしながら少しずつ食事の量を増やしていきます。

井口医師によると、近年は、「機能的えん下障害」の子どもも増えています。食事がのどにつまることや、吐いてしまうことが怖くて、食べられなくなってしまう病気です。この場合、学校や幼稚園を休み、リラックスしながら食べられるものを口にしていきます。

摂食障害にならないためには、まずこの病気について知るのがとても大切です。その上で、井口医師は「親や友達に自分の気持ちを伝えて不安を減らしていけたらいいですね」と話します。

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