「塾の舞台裏」では、個別指導塾で多くの小中高生を指導している講師にインタビューしています。今回は、高校受験を控える中学3年生向けに、大学進学を見据えた志望校の選び方について聞きました。

塾講師 金川俊也(かながわ・としや)
大学卒業後、会社員や事業の立ち上げなどを経験したのち独立。愛知県大府市に「個別指導塾アドバンス」を設立し、勉強のやり方と合わせて、未来を生きるためのヒントを子どもたちに伝えている。自身も小3と中2の2児の父として子育てに奮闘中。
志望校はどう選ぶ?

中学3年生にとって志望校選択は、将来に関わる大事なステップ。「行きたい高校はあるけど、今の成績では難しそう」「合格安全圏の高校にした方がいいかな……」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
「〇〇高校、△人合格!」など、合格者数が掲示されている集合塾などでは、上位校へのチャレンジをすすめられるかもしれません。ただ、お子さんの性格によっては、背伸びして上位校にチャレンジすることが、その先の大学進学において不利になってしまう可能性もあります。
そこで、大学進学を目指す場合の志望校選択について、子どもの性格タイプ別にヒントをお伝えしていきます。
チャレンジ校が向いている子
負けず嫌い、競争心が強い子は、上位校にチャレンジすることをおすすめします。上位校の多くは授業のスピードが速く、周りの生徒も学ぶ意欲が高いため、学習習慣を身につけやすいと言えるでしょう。
1日のうちで長い時間を過ごす学校の環境、付き合う友達の影響は大きいです。周りに染まりやすい子も、少し背伸びをして上位校に進学した方が、仲間によい刺激を受けながら頑張れる可能性が高くなります。
合格安全圏の学校が向いている子
マイペースな子は、背伸びをして上位校を目指さず、自分の学力から判断して合格安全圏の高校を選んだ方がよいかもしれません。上位校ほど授業のスピードが速くなく、基礎をじっくり固めながら学ぶことが出来ます。
もう1つの理由はとしては、こちらの記事でも触れたように、 大学入試において総合型選抜・学校推薦型選抜(以下、推薦枠)での入学が増えているという背景があります。
入学した高校で相対的に良い成績を維持できていれば、推薦枠を利用して、希望の大学にも入りやすくなります。最近では、そのような考え方で高校を選ぶ人も増えています。
ただし、国公立大学の推薦枠は難易度が高いため、上位校へ進学した方が有利になるかもしれません。
目標を決め、スケジュール管理を
目標を決めたら、あとは本番に向けて、しっかりスケジュールを立てて勉強をしていきましょう。スケジュール管理については、こちらの記事を参考にしてみてください。


最後に
中学受験を経験していない子にとっては、高校入試が自分自身で「学ぶ環境」を決める初めての経験です。選択の基準は、偏差値だけでなく、通学時間や校風、部活、専門性などさまざまな要素があります。大切なのは、親や学校・塾に言われたからではなく、本人が考え、調べ、納得して決めること。そのプロセスが、これから先の人生を自分らしく歩むための第一歩です。
ぜひ、未来の姿を思い描きながら、納得できる選択をしていってくださいね。
……………
「塾の舞台裏」の連載は今回で終了になります。これまでお読みいただき、ありがとうございました。


