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2020年度から、小学校5、6年生で実施されていた「外国語活動」に代わり、正式な教科として「英語」が導入されました。中学校の英語の授業は、小学校で習ったことをもとにスタートするため、この時期からしっかりと基礎を固めておくことが大切です。
今回は小学5、6年生の子どもを持つ親御さんに向けて、英語の勉強法についてお伝えしたいと思います。

塾講師 渡邉智治(わたなべ・ともはる)
愛知県一宮市にて「進学塾 翔和」を経営。塾講師歴は25年以上。犬山市教育委員も務めている。
英語が教科化されて変わったこと
小学校5、6年生で英語が教科化され、このような変化がありました。
・他の教科と同様、通知表で評価される
・小5、6年生で学んだ内容をベースに、中学校での英語の授業が始まる
教科化されてから4年目。私の塾に通う子どもたちの英語力の変化や、小・中学校で行われている授業は一体どのようになっているのでしょうか。続けて解説したいと思います。
小学校・中学校の英語の違い
最近、小学校で行われている英語の授業を実際に見る機会がありました。5年生の授業では担任の教師に加え、外国人のAET(外国語指導助手)の教師が担当し、speaking中心の活発な雰囲気で進められていました。子どもたちの表情も、とても楽しそうです。
一方、中学校の授業は小学校と違い、やや活発さが足りないような気がしています。中1の 1学期の授業では英文法の説明や、その文法を使った会話練習、そして、自分の意見を英語で書くなど、writing中心です。
中学校の教師に話を聞くと、小学校で英語が教科化されたことに伴い、中学校の教科書も変わり、「指導が難しくなった」と言っていました。
中学校の授業では、小学校で学んできた単語は意味が分かるだけでなく、「書ける」とみなされて授業が進みます。ちなみに、小学5、6年生で学ぶ単語は600~700語。さらに中学生では1600~1800語を学ぶため、単語だけでも相当な数を覚えなくてはなりません。
文法についても、小学校で学んできた内容を理解して使えるようになることが求められ、週 4回の授業では扱い切れないほど多くのことを学ぶ必要があります。また、定期テストでは並び変えや英訳、長文読解など、「書かせる」問題が多いです。
こうした要因から、中学1年生 の 1 学期の中間テストにおいて、英語の学年平均点が65.0 点という学校もありました。中学1年生で学ぶ英語の内容は、難しすぎるのです。
子どもを「英語嫌い」にしないために
2023年度の「全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)」で、「英語の勉強が好き」と答えた中学3年生の割合は52.3%で、4年前の前回調査より4.6ポイント減少。つまり「英語嫌い」が増えています。
今、小学生の子どもたちを「英語嫌い」にしないために、私の塾では英語で正しく「書ける」ことを軸に、教科書で扱う英文を正しく「理解できる」ことを目標に指導しています。また、リスニング力を伸ばし、英語の理解度を測るために「英検®」の受検も推奨しています。その結果、生徒の多くが「英語が好き」「英語に自信がある」と言っています。
子どもに対して大人が示すこと
もちろん、学習方法や内容について、子どもの意志を尊重して任せることは大切です。しかし、必要に応じて、私たち大人が知識や知恵、方法を示すことで、より効率的に学び、子どもの意欲を高められるのではないでしょうか。
これを読んでいる親御さんで、「どんなアドバイスをすればいいか分からない」という人は、学校や学習の塾の先生に相談してみてもよいかもしれません。
文:渡邊智治