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2024年の1年間に日本を訪れた外国人客は推計3686万9900人に達し、過去最多になりました。1年間で3600万人を突破したのは初めてです。一方で、滞在中に急なケガや病気で病院を受診した外国人が、高額な医療費を請求されるという、思わぬ問題も起きています。
これまで最も外国人客が多かったのは、2019年の3188万2000人でした。24年は12月を待たずに記録を更新。国・地域別にみると、韓国の795万300人が最も多く、中国、台湾と続きました。
どうして人気?
外国の通貨に比べて、円の価値が下がる「円安」があります。例えば1ドルが100円から150円になると、外国人観光客の手持ちの100ドルは、1万円から1万5000円になって、5000円増えます。「それなら日本で買い物がしたい」と考える人もいるでしょう。
また、日本文化の人気も後押ししています。2024年、「観光で再び訪れたい国」をテーマに、広告会社の電通が世界15の国・地域を調査。結果は、日本が34.6%と1位で、2位のシンガポールを大きく上回りました。日本を選んだ理由には「多彩なグルメ」や「他国と異なる独自の文化」が挙がりました。
一方で急病人らの医療費問題も
その一方で、観光客が増えすぎて自然や街並みが損なわれたり、交通渋滞が発生したりする「オーバーツーリズム」が問題になっています。また、旅行中の急なケガや病気などの医療費を補償してくれる「旅行保険」に加入していない外国人が、病院から通常の2倍、3倍などの高額な医療費を請求されるケースも起きています。
愛知県に住むベトナム人の女性は2023年、母国から訪ねてきた母親が骨折。救急車で総合病院に搬送されました。病院が見積もった医療費は、治療費と30日間の入院費で1000万円。母親は旅行保険に入っていなかったので、支払いは高額になりました。結局、ベトナムに帰国して20万円ほどで手術を受けました。
なぜ医療費が高額になるの?
保険に未加入の外国人の医療費は、病院が独自に金額を設定できるからです。高額になる原因には、通訳や事務手続きの負担が増すことが考えられます。
外国人客の医療費について取材した中日新聞社会部の平井良信記者は「旅行保険に入っていない外国人は、予想外の高額な医療費の請求に困ってしまいます。日本にまた来たいと思ってもらうためにも、安心して病院にかかれる仕組みを考える必要があります」と指摘しました。
この記事は「中日こどもウイークリー」で2025年1月11日に掲載された記事を転載しています。