本当に暑かった今年の夏。でも、「かゆ~い!」と肌をかきむしりたくなる蚊の悩み、減った気がしませんか。厳しい暑さに苦しんでいたのは、人間だけじゃなかったみたい。暑さが和らいだ秋こそ、蚊が活発になるかもしれません。
35℃超える暑さは、蚊も苦手
2024年はどのくらい暑かったのでしょうか。気象庁は2024年9月2日、6~8月の平均気温が平年を1.76℃上回ったと発表しました。1898年に統計を取り始めて以来、2年連続で最も暑い夏だったようです。気温が40℃を超えた地域もありました。
「35℃を超えると、蚊も木陰に逃げ込みます」と明かすのは、害虫防除技術研究所代表、白井良和さん(56)。蚊は夏のイメージですが、国内に広く生息するヒトスジシマカが活動しやすい気温は25~30℃前後。「10月下旬までは注意を」と呼びかけます。
雨が降ったら要注意
白井さんによると、蚊の寿命は約1~2カ月。この時期、初夏に生まれた蚊はもういませんが、卵のまま夏を越し、秋に羽化する蚊がいるそうです。蚊は、水たまりなどに産卵。幼虫は水中で育ち、2週間ほどで成虫になります。途中、暑さで水分が蒸発すると死んでしまうことも。けれど、ヒトスジシマカのように乾燥に強い種は、再び水がたまるまで2週間ほど、卵の状態で待てるというのです。
雨が降った後は要注意。植木の受け皿などにたまった水を捨てましょう。水を流せない場所には「10円玉を入れてみて」と白井さん。水中で発生する「銅イオン」に、蚊を殺す効果があるそうです。
蚊が人を刺す理由は…
では、なぜ蚊は人を刺すのでしょう。それは、人間の血液に含まれるアミノ酸が、おなかの中の卵に必要なのです。だから、刺すのはメスだけです。針を刺した後は自らの唾液を入れて、血が固まらないようにします。この唾液がアレルギー反応を起こし、かゆくなるのです。
虫よけスプレーなどの商品が売れる時期にも変化が。殺虫剤を扱う「フマキラー」(東京都)によると、通常6~7月に最も売れ、その後は落ち着きますが、最近は9月以降もよく売れるそう。2023年の場合、前年より9月は24%、10月は47%、売れ行きが伸びました。
刺されやすい人や服装は?
白井さんによると、体温が高く、汗をかきやすい人は刺されやすいそう。また、子どもは大人に比べて蚊に刺されたかゆみを感じやすく、症状が長引きやすいといいます。刺されるたびに免疫ができて、次第にアレルギー反応が出にくくなります。
かゆみを防ぐには、蚊の針から身を守ることが大切。蚊は黒など濃い色を好むので、明るい色の服がおすすめです。長袖、長ズボンで素肌を隠すのは有効ですが、蚊の針はジーンズも通します。針が肌に届かないように、ゆったりした服を選ぶと安心。半袖の場合も、大きめを選びましょう。
この記事は「中日こどもウイークリー」で2024年9月14日に掲載された記事を転載しています。