子どものスマホやゲーム利用 ルールの考え方と作り方【専門家解説】

子どものスマホやゲーム利用 ルールの考え方と作り方【専門家解説】

子どもが上手にスマホやゲームと付き合っていくには、どうしたらいいのでしょうか? ネットリテラシーの専門家である中西將之さんに話を聞き、ルールの考え方と作り方について解説します。

中西さん

ツナグラボ代表 中西將之(なかにし・まさゆき)さん

同志社大学経済学部卒業後、人材業界にて5000人以上の就職・転職相談に携わる。2014年に「ツナグラボ」を起業。 2015年から3年間「LINEオフィシャルインストラクター」として、小中高生や教職員、保護者を対象に講演・ワークショップを実施、以後はゲーム・スマホ利用実態調査に基づいた講演を行っている。

スマホやゲームにルールは必要?

子どものスマホやゲームの利用時間・利用場所について、「ルールがない」「あるけど守られていない」という家庭は、利用時間が長くなる傾向があります。

1日3時間以上の長時間利用は目が悪くなるだけでなく、ネット依存やゲーム依存にもつながり、感情をコントロールする脳の認知機能にも悪影響があると言われています。

また、オンラインゲームやネットを通じて知り合った知らない人と関わり、トラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。

子どものスマホやゲームの利用にルールが必要な理由は以下の3つです。

  • 子どもの心と体の健康のため(睡眠時間の確保など)
  • 安心・安全な環境で利用するため(有害サイトなどから守る)
  • 自分も友達も大切にするため(道徳教育)

これらを前提に、ルールを作って欲しいのですが、親が作ったルールを押し付けてしまうと、子どもが反発したり、隠れて使ったり、結局守らないということになりかねません。ルールは作って終わりではなく、「ルールは破られるもの」を前提に、子どもの成長や発達に合わせて「運用」していくことが最も重要なのです。

子どもと一緒に話し合い、「合意」したルールを「運用」していくことで、失敗などの体験を通じて「時間管理能力」や「道徳心」、「自律心」といったテストでは測ることのできないといわれる「非認知能力」を高められると考えています。

スマホやゲームのルールの作り方

子どもと相談し、年齢や生活スタイルに合わせて、以下の点をルールとして決めるようにしましょう。

子どもと相談し、年齢や生活スタイルに合わせて、以下の点をルールとして決めるようにしましょう。

時間

  • 「何時から何時まで」「使用時間は何分まで」など、具体的に決めましょう
  • 睡眠は成長期の子どもにとって絶対に必要なものです。小学生は9時間、中学生は8時間を確保できるように1週間単位で時間の使い方を話し合いましょう
  • 使い終わったら、「電源をオフにしてリビングの充電器に戻す」など、使用後のルールも決めておくことをおすすめします

場所

  • 保護者の目の届く場所で音を出して使い、「1人で使わない」が基本です
  • 子ども部屋やベッドでは長時間利用につながりやすいため、家の中ではリビングなどに限定するのがよいでしょう

課金・買い物

  • 「課金や買い物はしない」が基本です
  • どうしても利用したい場合は、保護者が購入手続きを行うことを必須条件にします

使い方・マナー

  • 歩行中や自転車に乗りながら使うなど、「ながら操作」は絶対に禁止です
  • 食事中や会話中の使用も控えるのがマナーです

トラブル発生時の相談先

  • 困ったことがあったら「すぐに保護者に相談すること」を明確に伝えましょう

ルールの有効期限

  • ルールは決めたらそのままにせず、あらかじめ「有効期限」(ルールを見直すタイミング)を決めておきましょう
  • 有効期限が来たら話し合い、それ以前でも必要に応じてルールを見直すことが必要です

作ったルールは家族全員が見えるところに貼り出し、決めたルールを守って行動するように子どもにも声がけをしていきましょう。

スマホやゲームのルール運用方法

ルールの「有効期限」(ルールを見直すタイミング)が来たら、子どもと話し合ってルールを見直します。一度決めたルールでも、厳しすぎて守れそうにないのであれば意味がありません。

もし不満が出てきたら、「なぜそう思うのか」の理由を聞き、どのように変えれば守ることができるのか、家族で話し合いましょう。

もし不満が出てきたら、「なぜそう思うのか」の理由を聞き、どのように変えれば守ることができるのか、家族で話し合いましょう。

 

出てきた不満と対応例

以下に、よくある不満と対応例を紹介します。

時間が守れない

  • ネットやゲームの利用時間を1週間単位で「見える化」してみる
  • 子どもが使いやすいタイマーやスマートスピーカーなどを導入する
  • 時間を守れたらシールを貼る、褒めてあげる、などの目に見える報酬をあげる
  • ネットやゲーム以外の「リアルで楽しいこと」を一緒に見つけ、遊んでみる(ボードゲームやトランプなどのカードゲームなど)

自分の部屋で使いたい

  • なぜ自分の部屋で使いたいのか、その理由を確認する
  • その理由は、自分の部屋で使う以外の方法で解決できないかを考える

ルールを守れない場合でも、ただルールを緩くするのではなく、必要な努力はしながら、心と身体の健康が最優先であることを伝えつつ、子どもの意見にも耳を傾けながらどのようなルールにしたらお互いが納得できるのかを考え、合意点を見つけていくようにしましょう。

最後に

以上のように、スマホやゲームを利用する時のルールをお伝えしました。ここまでお伝えした、「計画→実行→振り返り→計画の見直し」というサイクルは、勉強やスポーツでも役立つ行動習慣です。また、社会に出てからも必要になるスキルと言えるでしょう。子どもにルールを運用させることは、根気がいりますが、ぜひ今回の内容を参考にして、親子で一緒に取り組んでみてください。

文・聞き手:きずなネットよみものWeb編集部

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