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2学期が始まって2週間あまり。約4か月ある2学期は、高校生にとっていろいろな面でターニングポイントとなります。多くの高校で、文化祭や体育祭といった大きな行事が行われるのも、この時期。中学生編に続き、高校生が充実した2学期を過ごすためのヒントをお伝えしていきます。
塾講師 渡邉智治(わたなべ・ともはる)
愛知県一宮市にて「進学塾 翔和」を経営。塾講師歴は25年以上。犬山市教育委員も務めている。
2つの「勉強の大敵」
勉強の大敵① 部活動の疲れ
部活動も、勉強も、どちらも頑張りたいけど、部活を終えて家に帰るとクタクタ。「予習や復習をしなきゃならないのに、気付いたら寝てしまっていた」という声をよく聞きます。夜、早く寝てしまうなら、早起きして、朝に取り組むのはどうでしょうか? たとえ短時間でも、毎日続けることに意味があります。早寝早起きの習慣が身に付き、体調も良くなるかもしれません。
<具体的な戦略>
●登校前の20~30分
…授業の予習、暗記
●通学の移動中(電車・バスの場合)
…英語のリスニング、動画を使った学習
●就寝前の30~40分
…授業で分からなかった内容・問題の振り返り
勉強の大敵② 趣味の時間
動画やSNSを見ていると、あっという間に時間が過ぎていってしまいます。だからと言って、図書館や自習室に行っても、「周りが気になって、集中できない」という人も多いです。そんな人こそ、勉強を始める前に、1日のスケジュールを作るようにしましょう。「時間が見える化」することで、日常生活に時間割ができ、オンとオフがはっきりします。
ポイントは自由時間と勉強時間をしっかりと分け、メリハリのあるスケジュールにすること。また、個々の性格にもよりますが、好きなこと(自由時間)に集中してから、勉強に移る計画にすると、「勉強がはかどる」という人が多いようです。
いずれにしても毎日続けることが重要です。最初は上手くいかないかもしれませんが、失敗を重ねるうちにコツがつかめてきますよ。
充実している生徒の共通点
ここからは「中学生編」でもお伝えしたことですが、私の塾に通う中高生に話を聞き、分析したところ、平日の学校から帰った後、夕方の時間帯の使い方が上手な人ほど、学校生活を最大限に楽しみ、成績も良好な傾向が見られました。
この時間帯は多くの人が何もせずに過ごしてしまいがちです。1度、夕方の時間を軸に、平日の「時間を見える化」してみてください。1日の中で無駄に過ごしてしまっている時間が見つかるはずです。
『手紙屋 蛍雪篇 私の受験勉強を変えた十通の手紙』(喜多川泰氏著)の中に、次のような言葉があります。
「家に帰ってから最初に座る場所で、自分の人生が決まる」
特に高校3年の受験生は、「時間を見える化」して、夕方の時間帯をうまく使えるよう工夫してみてみましょう。
時間と密度を意識した勉強計画を
長い時間勉強したからと言って、必ずしも成績が上がるわけではありません。勉強の計画を立てる際は時間だけでなく、「何を」「どれだけ」行うかという密度を意識してみましょう。そして、計画を作ったら、とりあえず始めてみること。これが最大のポイントです。
これからお伝えする方法を参考に、勉強の計画を立ててみてください。
「計画づくり」のトリセツ
目標を設定する
1週間、1ヶ月、1年など、その期間で「成し遂げたいこと」を決めましょう。志望校合格や共通テストの得点といった大きな目標とあわせて、「数学のテストで〇点をとる」などの具体的な目標も立てるようにしてください。
平日と休日の時間割をつくる
平日は、家に帰ってきてから寝るまでの時間の時間割をつくります。その中で、自由時間は2、3時間もあれば十分です。
休日は、24時間を3、4分割にして、午前中、午後、夜などとそれぞれの時間帯で作成すると、計画を立てやすいです。休日で特に注意したいのが、起きる時間。休みだからと言って朝寝坊せず、平日と同じ時間に起きることで、生活リズムが整い、1日の活動時間や密度が変わってきます。
もう1つのポイントは、平日に出来なかったことをリカバリーするための時間を作ること。あらかじめ計画を立てても、思うように進まない日もあります。それを休日に消化したり、平日に勉強した内容を振り返ったり、休日の時間をうまく使うことでステップアップにつながります。
どこでやるかを決める
「いつ」「何を」「どうやって」やるかが決まったら、それを行動に移すための場所(環境)を考えます。自宅や塾、自習室など、集中力の続く環境や自分の能力を最大限発揮できる場所を選ぶようにしましょう。
まずは「3日坊主」から始めてみよう
私は生徒たちに、「3日坊主も100回続ければ1年になる」と伝えています。3日頑張る→1日休む→3日頑張るのサイクルでちょうど1週間です。1年は約52週間。1週間に2回の「3日坊主」を 1年間続けることで、104回の「3日坊主」をしたことになります。
これは半分笑い話ですが、何事も始めから上手くいくことばかりではありません。出来る範囲で、すぐに始める。そして、小さなことを出来る限り続ける。これが2学期に飛躍するために大切なことです。
Practice makes perfect.
直訳すると「練習が完成を生む」という意味。もっと言えば、「練習や実践を続けることで、上手くなる」という意味になります。さあ、自分自身に「よし、やるか!」と声を掛けて奮い立たせ、充実した2学期にしていきましょう。
文:渡邉智治