- 投稿日
2024年がスタートし、新年の抱負を語る席で、「今年は『しんがり』のリーダーでありたい」と話しました。今年の目標として、家庭や仕事、学校など、自分の所属する組織・チームの中で果たすべき役割について考えてみました。

一般社団法人シヅクリ 代表 山下由修(やました・よしのぶ)
静岡市内の小・中学校で勤務した後、市立清水江尻小学校の校長として、県内初のコミュニティースクールを創設、運営。また、市立大里中学校の校長を務めながら、フレックスタイム制の導入や校内フリースクールの開設、プロジェクト型の校内組織運営などに着手 。2019年、一般社団法人シヅクリを創設し、静岡を拠点に、人材育成に取り組んでいる。
「しんがり」のリーダーとは?
「しんがり」とは、漢字で「殿」と書き、戦において部隊の最後尾を担当する人のこと。さらに、戦いに臨む軍の中で、先んじて前に出て先頭に立つ人を「さきがけ」と言います。「さきがけ」も「しんがり」も部隊のリーダー格となる人が務めますが、「しんがり」は退却する際に相手に背を向けることから、自身が犠牲となる覚悟も必要です。その上で味方の様子を見守りながら動くことも求められるため、スキルと経験が必要なポジションだと言えるでしょう。
組織の中での役割は?
みなさんは、家庭や職場の中で、どのような役割を務めていますか? わが家は、妻、息子、娘との4人家族。家庭においては、「さきがけ」も「しんがり」も妻で、私は妻の真後ろにいる役回りです。そして、その位置付けは昔も今も変わりません。つまり、妻が先頭に立ちながら私たちに気を遣い、みんなにペースを合わせて家族を守ってきてくれたということ。妻には、ただただ感謝しかありません。
職場での私は、「さきがけ」のリーダーであることが多かったように思います。先頭に立って、常識を疑い、新しい可能性や新しい道を考え、目標達成を目指してきました。そのため、多くの失敗を繰り返し、回り道もしてきましたが、全国初となる取り組みや活動を経験することができたのも事実です。
しかし、振り返ってみると、組織が大きくなればなるほど、私が先頭を進めば進むほど、チーム全体を見渡すことが出来ずに、取りこぼしが起きることもありました。今になって振り返ると、自分の未熟さやいたらなさも痛感します。だからこそ、今年は「しんがり」のリーダーでありたいと思っています。
チーム力こそが苦しみが半減し、喜びを倍増させる
「マネジメント」の有用性を世界に広めたピーター・ドラッカーは、リーダーについて以下のように述べています。
・リーダーとは目標、優先順位、基準を定め、それを維持する者である
・リーダーである要件は、リーダーシップを、 地位や特権ではなく「責任」と見ることである
・リーダーに関する唯一の定義は、付き従う者がいるということである
私はリーダーとしては、あまりに頼りない存在でしたが、多くの仲間たちがともに目標や基準を定め、それを維持するために全力を傾けてくれました。
多くの若手たちは、フォロワーとして、最後まで必死に付き従ってくれました。皆が集い、議論し、それぞれのメンバーが自分らしさを存分に発揮できるチームを作り上げてくれたのです。
明るく楽しい雰囲気を作ってくれる人、あえて耳が痛いことも指摘してくれる人、実直に自分の役回りをこなしてくれる人……。個々の持つ強みを活かしたチームを柔軟に作りながら前に進んでいってくれたのです。
多様な人々が集い、チームのメンバー全員が自分の得意を活かして、心地よく参画できているのであれば、どんな苦境・苦難に直面しても、苦しみは半減することでしょう。
目標達成に向けて、自分もチームの一員として「その一役を担っている」という自覚を持っていれば、大きなやりがいを感じることでしょう。きっとそんなチームなら、臨機応変に対応できて、スピーディに判断が行われていくはずです。
そして何より、認め合い、尊重し合い、感謝し合えるメンバーとともに目標を達成し、頂に立った時には、格別な景色が目の前に広がり、大きな達成感を味わえるのではないでしょうか。
「さきがけ」も「しんがり」も、そして、その中にいる1人1人の構成員もなくてはならない存在です。私は「しんがり」として、自身の責任を果たし、チームの力になれる自分を育てていきたい。改めて、一年の計としての目標を立て直しました。
文:山下由修
★感想をお寄せください★
ぜひ記事を読んだ感想をお聞かせください。今後の参考にさせていただきます。
こちらからどうぞ