「塾の舞台裏」では、個別指導塾で多くの小学生・中学生・高校生を指導している講師にインタビューをし、実際にあったさまざまな事例を紹介しています。今回は、推薦入試で合格した場合の注意点について、受験生本人だけでなく、親御さんにも知っておいて欲しいことをお伝えします。
塾講師 金川俊也(かながわ・としや)
大学卒業後、会社員や事業の立ち上げなどを経験したのち独立。愛知県大府市に「個別指導塾アドバンス」を設立し、勉強のやり方と合わせて、未来を生きるためのヒントを子どもたちに伝えている。自身も小2と中1の2児の父として子育てに奮闘中。
推薦入試で早く決まったけど……
中学入試、高校入試、大学入試……。どの入試においても、一般入試に先立って推薦入試が行われ、合否が早く出ます。早々に進路が決定し、安心感を得られるメリットから「推薦で合格したい」と思う人も多いのではないでしょうか。
例えば、2024年度の愛知県の公立高校入試では、推薦入試の結果発表が2月8日、一般入試の学力検査が2月22日。一般入試で受験する生徒は、推薦入試ですでに合格した友人らを横目に見ながら、本番に向けて最後まで勉強を続けていました。
大学の一般入試は3月後半まで続くので、今まさに志望校合格に向けて追い込みをかけている人もいるでしょう。
確かに推薦入試は、早く結果が出る分、心に余裕が出ます。しかし、この「余裕」から気を緩め過ぎてしまうと、入学後、不利になる可能性もあるので注意が必要です。
勉強しないと、学力は低下する
推薦入試で合格した生徒と一般入試で合格した生徒、入学後の学力を比べると、「一般入試で合格した生徒の方が高い……」という話をよく聞きます。これは、一般入試で合格した生徒の方が優秀だというわけではありません。推薦入試で合格した生徒は、早々に結果が出るため、その後しばらく勉強から遠ざかってしまうためです。
例えば、定期試験の直前に、体調不良で1週間寝込んでしまって勉強できないと、良い結果を出しにくくなってしまいますよね。学生時代、私は陸上部に所属していましたが、体調不良やケガなどでしばらく練習が出来ないと記録が落ちてしまい、元来のパフォーマンスが出せるようになるまで時間がかかりました。
1、2週間勉強を休むと、その間に学力は落ちてしまいます。特に、推薦入試で早々に合格したみなさんは、新年度まで気を緩め過ぎず、勉強を続けることをおすすめしたいです。
一般入試で合格した人も、入学後に向けて勉強から遠ざからないようにしましょう。
そして、今まさに志望校合格に向けてラストスパートをかけている人は、最後まで頑張ってくださいね。