何かとバタバタしがちな年末年始が近づいてきました。そんな忙しい中でも、リラックスする時間は大切にしたいもの。今回は子育て中のママにおすすめの作品を、映画好きママ編集者がセレクトしました。おすすめコメントとともに3作品を紹介します。
美濃口有佳梨(みのぐち・ゆかり)さん
東海エリアの情報誌「KELLY」を発行するゲインのデザインチームに所属。プライベートでは1児のママ。
子育てのヒントが詰まっている!
「カモン カモン」
©️2021 Be Funny When You Can LLC. All Rights Reserved.
ここが好き!
ラジオジャーナリストの主人公ジョニーは、突然、妹の子どもである9歳のジェシーの面倒を見ることに。思いがけず子育てを体験することになったジョニーが、戸惑いながらも真摯に子どもに向き合っていく姿が素敵です。
全編を通して優しい空気が流れるストーリーに、子育てで疲れた心がじんわりと癒されます。2人の物語と並行して、ジョニーが仕事で取材した子どもたちのインタビューも挿入されていて、その子どもたちの真理を突いたようなセリフにハッとさせられます。
個性的な役のイメージがあるホアキン・フェニックスが、優しい叔父さんの役を演じているのも印象的です。
こんなところがおすすめ
たとえ親子でも、完全に理解し合うことは出来ません。大人と子どもが主従関係になるのではなく、「人と人」として対等に向き合い、真摯に会話をすることが大事だと、この映画は教えてくれます。
ジョニーはジェシーと一緒に過ごす中、どう対応すれば良かったのか、悩む場面に直面した時、妹に連絡をとり意見を聞きます。子育てにおいて、1人で抱え込み過ぎず、周りとコミュニケーションをとることの大事さも感じさせられました。
監督のマイク・ミルズが、自身の子育て中に体験したこと、観察したことをもとに製作された本作。子どもを持つ親ならグッとくるシーンやセリフが見つかるのではないでしょうか。
家族旅行がしたくなる!
「ライフ」
©️2015 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.
製作国:アメリカ
上映時間:114分(カラー)
監督:ベン・スティラー
出演: ベン・スティラー、クリステン・ウィグ、ショーン・ペンほか
ここが好き!
写真誌「LIFE」の写真管理部門で働くさえない主人公ウォルター。表紙用のネガがないことに気づいたウォルターは、ネガを見つけるため、撮影したカメラマンを探す旅へ出る。
それまで、なりたい自分を妄想しては、一歩が踏み出せなかったウォルターですが、覚悟を決めて思い切って行動に移した姿に、清々しさを感じました。
ウォルターが劇中で駆け巡る、アイスランドの雄大で美しい景色も見応え抜群です。温かくてクスッと笑えて、晴々とした気持ちにさせてくれる素敵な映画だと思いました。
こんなところがおすすめ
旅の中のさまざまな経験を通して、自信を持つことが出来た主人公。いろいろな場所へ行き、ありのままの景色を見たり、自然と触れ合ったりすることは、心の豊かさにもつながります。そして、そんな経験が生きる上で大切なことの1つだと、この映画は教えてくれます。
いろいろな場所に家族で出かけ、たくさんのことを子どもに経験させてあげたくなる、そんな作品です。
忙しい年末年始にリフレッシュ
「パスト ライブス/再会」
Copyright 2022 © Twenty Years Rights LLC. All Rights Reserved
ここが好き!
2024年の第96回アカデミー賞において、作品賞と脚本賞へノミネートされたことで注目を集めた本作。韓国・ソウルで同じ小学校に通っていて、お互いに恋心を抱いていたノラとヘソン。その後、家庭の事情で離れ離れになった2人が、24年ぶりにニューヨークで再会を果たすのですが……。
韓国で「運命」の意味で使われる言葉「縁(イニョン)」をテーマに、ロマンティックだけど切ない、大人のラブストーリーに引き込まれました。12歳、24歳、36歳と年を重ねながら丁寧に描かれる、登場人物たちの交流や心情も胸を打ちます。
映像も美しく、特にニューヨークでのデートシーンは、平凡な観光地の景色のはずなのに、とても印象的に撮影されています。
こんなところがおすすめ
誰しもが持ったことがある「あの時、違う選択をしていたら……」という気持ち。自分の選択は間違っていないと信じたいけれど、浮かんできてしまう後悔と、ありえたかもしれない未来への思い。ノラとヘソン、2人のやり取りを見ていると、甘い思い出や苦々しい記憶、過去の恋愛で経験したさまざまな感情が湧き上がります。
忘れていた感情や過去の記憶に思いをはせて、忙しい年末年始の合間に、しんみりとリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。
最後に
新旧作品を織り混ぜた、年末年始の気分転換にぴったりの映画を紹介しました。ここで紹介した作品は、レンタルや動画配信サービスにもあるので、興味を持った人はぜひ見てみてください。
文:森下右子