【おうち防災】明暗を分ける備えは? 子どもと一緒に考えよう

【おうち防災】明暗を分ける備えは? 子どもと一緒に考えよう

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子育て中のパパやママは、毎日子どもの世話や家事、仕事で忙しく、手一杯ですよね。そんな中で、もし災害が起きたら?

名古屋大学減災連携研究センターで「親子の防災」について研究をする蛭川理沙さんに、「おうち防災」について話を聞きました。

蛭川さん

蛭川理沙さん
名古屋大学減災連携研究センター
エネルギー防災(中部電力)寄附研究部門特任助教

おうち防災、まずは家具の固定!

「防災」というと、水を備蓄して避難のためのアレを用意して、コレを用意して・・・ああ、何からやればいいの!となって、手が付けられなくなっている人もいるのではないでしょうか。

「防災」というと、水や食料を備蓄したり、避難のために必要なものを用意したり、「ああ、何からやればいいの!」となって、結局何も出来ていないという人もいるのではないでしょうか。

そんな人に、まず最初にやって欲しいのは、家具の固定です。阪神大震災発生時、ケガの原因(屋内での被害)の約50%が家具の転倒・落下でした。L字金具、ベルト、突っ張り棒、ストッパーなど、さまざまな固定器具があります。1つよりも、組み合わせて使うとより効果的です。

「壁に穴を開けるのが嫌だ」「突っ張り棒ってダサい」。その気持ち、よく分かります。確かにそうかもしれません。でも、安全を確保することが何より大切です。子どもと家族、自分自身を守るために、家の中をチェックして、しっかり対策をしましょう。

子どもと一緒に話し合おう

東日本大震災の津波で多くの死者が出た宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)地区で、54人の園児を無事に避難させた保育園があります。

東日本大震災発生時、津波により多くの死者が出た宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)地区で、54人の園児を無事に避難させた保育園があります。

この園の所長は、以前から津波を想定した避難訓練を行ったり、避難計画を作成したり、しっかりと対策を行っていたと言います。「渋滞する道路はどこか」「子どもたちの避難先はどこにするか」など、日ごろからイメージしていたので、いざという時に慌てることなく、そして、避難先でも、いつもと同じように一緒に歌を歌い、お絵かきをし、園児たちが大きなパニックになることもなかったそうです。

愛知県刈谷市の現役ママたちがつくった、「ちきゅうくんのくしゃみ」という親子向けの防災絵本があります。

愛知県刈谷市の現役ママたちがつくった、親子向けの防災絵本「ちきゅうくんのくしゃみ」というのがあります。おやこぼうさいえほん「ちきゅうくんのくしゃみ」

「地震や津波、豪雨、台風など、自然災害は怖いけど、地球はくしゃみを繰り返して、今の形になってる」ということを子どもにも分かりやすく教えてくれます。

「家の中でどこが1番安全?」
「避難場所はどこにする?」
「避難バッグはどこに置く?」
「連絡はどうやってとる?」

このように、災害を怖がるだけではなく、周りの人としっかり話し合って対策することが大切です。特に小さなお子さんは、こういった絵本を通じて楽しみながら、防災を身近なものとして感じられるようになるといいですね。

特に地震はいつ起きるか予測できません。色々なケースを想定し話し合っておきましょう。

みんなで避難バッグをつくろう!

「ウチは免震マンションだから」「内陸に住んでいるし」など、なんとなく自分だけは大丈夫な気でいる人はいませんか?大事なのは「自分ごと」として考えて、備えること。

「免震マンションだから」「内陸に住んでいるし」など、何となく自分だけは大丈夫だと思い込んでいませんか? 災害は、どんな人でも無関係ではありません。「自分ごと」として考え、十分に備えてください。

例えば、首都直下地震が発生した場合、ライフラインの復旧目標日数は、電気6日、上水道30日、ガス55日となっています(内閣府発表)。さらに、救援物資がすぐに届くとは限りません。お店に人が殺到し、必要なものが手に入らなくなる可能性もあります。

さらに、被災地で聞き取りしたところ、「アレルギー対応の非常食がなかった」「子どもが非常食を食べてくれなかった」「生理用品を1つしかもらえなかった」などの声があがっていました。一方で、「救援物資の中にキャラクターのばんそうこうがあって、子どもが元気になった」という声も。

大変な時も、お気に入りのものがあるだけで、元気が出ます。「もし、数日間避難生活をするとしたら?」を想定し、旅行にいく感覚で、家族みんなで避難バッグを用意してみてはいかがでしょうか。

備蓄はローリングストックで

非常食や保存食を用意しても、賞味期限が切れてしまう・・・そんな時におすすめなのが「ローリングストック」と呼ばれる方法です。

非常食や保存食を用意しても、賞味期限が切れてしまうと、いざという時、役に立ちません。そこで「ローリングストック」をおすすめします。

普段から缶詰やフリーズドライ食品、カップ麺などの食材を少しだけ多めに買い置きしておき、1ヶ月1回など、定期的に賞味期限の近いものから順に食べていく。そして、食べた分だけ、また買い足すといった方法です。

こうすると、賞味期限切れの心配はありませんし、普段から非常食や保存食を食べ慣れておくことで、災害時、「子どもが食べてくれない」なんてことも起こりにくくなります。日頃から防災意識を高めるためにも、ローリングストックをおすすめします。

最後に

災害時には普段の子育てに加え、予期しない労働が加わります。普段通りの生活が送れないために起きる想定外の家事や手続き、さらには災害によるストレスも。

さまざまな被災地で調査を実施してきましたが、残念ながら、子育て層への支援体制は十分とは言えませんでした。子育てや家事に忙しい日々の中、つい後回しにしてしまいがちですが、普段から防災意識をもち、いざという時に動けるよう、子どもと一緒に準備を進めておきましょう。

知って、備える「減災館」

名古屋大学 東山キャンパスにある「減災館」では、地震や津波などの災害を想定した再現装置や、最先端の防災・減災に関する展示があります。産官学連携・地域連携で災害による被害を減らし、早期復旧のための研究も実施されており、中部電力も参加しています。減災館の見学・利用についてはこちらをご覧ください。

文:きずねネットよみものWeb編集部

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