【夜中に目が覚める原因と対策】子育て世代の睡眠の悩みは?

【夜中に目が覚める原因と対策】子育て世代の睡眠の悩みは?

学校連絡網アプリ「きずなネット」では2023年10月4日~11日、睡眠に関するアンケートを実施し、子育て世代の男女2159件の回答が集まりました。その結果と合わせて、最も多く挙げられていた「夜中に目が覚める」という悩みに対して、原因と対策を睡眠の専門家が解説します。

子育て世代の睡眠の現状

アンケートの回答者は、仕事や家事、育児に忙しい子育て世代のパパ・ママたち。睡眠の現状について尋ねたところ、以下のような結果が得られました。

Q. 今の睡眠状況に満足していますか?

Q. 今の睡眠状況に満足していますか?

睡眠状況に満足していると回答したのは4人に1人。約6割の人が不満を抱えているという結果でした。

Q. 普段の就寝時間は何時ですか?

Q. 普段の就寝時間は何時ですか?

フリー回答のコメントを見ると、就寝時間の早い人は、子どもと一緒に寝ている人が多いようでした。就寝時間のボリュームゾーンは23時台です。

Q. 普段の起床時間は何時ですか?

Q. 普段の起床時間は何時ですか?

8割以上が7時台までに起床しているという結果に。起床時間のボリュームゾーンは6時台です。

Q. 1日の平均睡眠時間はどのくらいですか?

Q. 1日の平均睡眠時間はどのくらいですか?

国民全体の平均睡眠時間は7時間12分(※)と言われている中で、きずなネットを利用する子育て世代の約半数は6時間未満という結果でした。

また、睡眠状況の満足度と睡眠時間の相関を見ると、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人の7~8割が睡眠状況に不満を抱えていました。7時間以上の人は過半数が自分の睡眠状況に「満足している」と回答しています。

Q. 睡眠に関して、困っていることは?

アンケートでは、約6割が睡眠状況に不満を抱えていました。「困っていること・知りたいこと」として挙げられていたTOP3を紹介します。

【1位】夜中に目が覚める

たまに寝られない時があったり、トイレに行きたくなって2時か3時に起きてしまったりする。朝まで通して寝たい
(55歳男性・睡眠5時間以上6時間未満)

睡眠時に何度か目が覚めてしまい、熟睡できない日が多い
(58歳女性・睡眠7時間以上8時間未満)

【2位】睡眠時間の確保

子育て中の会社員です。勤務・通勤・子供との時間・家事・自分の時間、全てを確保するとこのくらいしか睡眠がとれません
(47歳女性・睡眠4時間以上5時間未満)

家族の生活時間がバラバラで、早朝に息子の朝食とお弁当を作り、深夜の夫の夕食に付き合っていると睡眠時間がどうしても短くなってしまう
(51歳女性・5時間以上6時間未満)

【3位】眠りが浅い、熟睡できない

眠りが浅いこと
(48歳男性・睡眠5時間以上6時間未満)

体調不良や鼻血などで、子どもに起こされることが多く、子どもが生まれてから熟睡できる日が少ない
(43歳女性・睡眠5時間以上6時間未満)

他には、「シフト勤務で生活リズムがバラバラになってしまう」「寝つきが悪い」「日中の眠気」などが挙げられていました。

そこで、睡眠に関して知りたいこととして最も多く挙げられていた悩み「夜中に目が覚める」ことへの対策について、専門家に話を聞きました。

睡眠の専門家:三輪田理恵(みわた りえ)
日本睡眠学会正会員・上級睡眠健康指導士・全米NLP協会公認NLPトレーナー
ライターとしてさまざまな分野の記事を執筆しながら、企業・学校・行政などで睡眠やメンタルに関する講座、個別コンサルティングをおこなう。
著書『なぜ、あの人はよく眠れるのか 』(主婦と生活社)

夜中に目が覚める原因は?

夜中に目が覚める原因は、眠りが浅いこと以外にもいくつかありますが、ここでは6つ紹介します。

夜中に目が覚める原因① 加齢

年齢を重ねるごとに、睡眠は変わっていきます。シニア世代が若い人に比べて早寝早起きなのは、加齢とともに体内時計のリズムが朝型に変わるからと言えるでしょう。そして、年齢とともに睡眠は短く浅くなります。

加齢とともに体内時計のリズムが朝型に変わる出典:厚生労働省ホームページ e-ヘルスネット

中高年の人の中には、「若い頃は朝までぐっすり眠れていたのに……」と、睡眠の変化を感じている人もいるのではないでしょうか。夜中に目が覚める「中途覚醒」は、中高年になると増えてきます。もし、夜中に1度目を覚ましても、すぐに眠れて日中の眠気や体調不良がなければ、必要以上に気にしないことも大切です。

夜中に目が覚める原因② トイレが近い

腎臓や膀胱など、泌尿器の機能低下によって排尿回数が増えることがあります。また、寝ている間に呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群(SAS)の場合も、夜間頻尿が起きやすくなります。しっかり睡眠時間をとっているはずなのに日中眠かったり、周りからいびきを指摘されたりする人はSASの疑いがあるかもしれません。

女性の場合は、更年期に入って女性ホルモンが減少すると、尿道の粘膜が薄くなったり、乾燥したりします。その影響で尿道周囲の組織が過剰に収縮し、尿意を感じやすくなることがあります。

ただ、本人は「トイレが近くて目が覚める」と思っていても、眠りが浅くて目が覚め、その結果としてトイレに行っている、ということも。睡眠の質を改善すると、トイレに起きなくなるケースもあります。

夜中に目が覚める原因③ ストレス

ストレスにより自律神経のバランスが崩れると、リラックスしたいはずの睡眠時間に、本来は活動時に活発になる交感神経が優位になってしまい、眠りが浅く、夜中に目が覚めやすくなってしまいます。

最初はストレスから眠れなくなり、そこから「眠れないこと」自体がストレスとなり、さらに眠れなくなる……。という負のスパイラルに陥ってしまうこともあるので、注意が必要です。

夜中に目が覚める原因④ アルコール、カフェイン、タバコ

お酒を飲むと寝つきはよくなりますが、アルコールが分解される時に出る物質が交感神経を刺激し、眠りを浅くしてしまいます。さらに、アルコールには利尿作用があるので、トイレに目を覚ますということも。

また、コーヒーなどに含まれるカフェインは、想像以上に睡眠に影響を与えます。カフェインを飲んだ後の血中濃度は30分~40分後に最高になり、2.5時間~4.5時間で半減します。つまり、覚醒作用は4時間を超え、自覚している以上に長時間続くということ。夕方以降のカフェインの摂取は、控えた方がよいでしょう。カフェインはコーヒー以外にも、紅茶や緑茶、烏龍茶、チョコレートなどにも含まれます。

タバコに含まれるニコチンも睡眠の質を下げるため、就寝前は喫煙を避けるようにしましょう。

夜中に目が覚める原因⑤ 女性ホルモンの影響

夜中に目が覚める原因⑤ 女性ホルモンの影響

女性の場合は、月経、妊娠・出産、更年期などのタイミングで睡眠に変化が起こることも少なくありません。ホルモンバランスの変動から自律神経の調整が上手くいかなくなり、夜中に目を覚ます以外にも、寝付けない、熟睡感がないなどの不眠症状が出ることがあります。

夜中に目が覚める原因⑥ 生活習慣

若い人で夜中に目を覚ます場合のほとんどが、生活習慣や生活リズムの乱れが原因です。日々の起床時間・就寝時間がバラバラで生活リズムが乱れていると、睡眠の質が下がってしまい、夜中に目を覚ましてしまうことがあります。交代勤務などで、一定の生活リズムで過ごせない場合も、熟睡できずに中途覚醒が増えてしまうことがあるでしょう。

また、就寝前にスマホやパソコン、ゲーム機を使っていると、脳が覚醒してしまい、眠りが浅くなってしまうことも考えられます。

夜中に目が覚める時の対策は?

夜中に目が覚める時の対策は?

続いて、夜中に目が覚める時の対策として、3つ紹介します。

夜中に目が覚める時の対策① 睡眠の質を改善する生活習慣を取り入れる

眠りが浅いと、夜中に目が覚めやすくなります。睡眠の質が上がり、深い睡眠をとることができれば、夜間の覚醒は減っていくでしょう。そのためにできることとして、以下が挙げられます。

  • 平日・休日問わず、毎日の起床時間の差は1時間以内に
  • 毎朝、朝食を食べて、体内時計をリセットする
  • 午前中に太陽の光を浴びて、体内時計をリセットする
  • 昼寝をする場合は、15時までの時間に30分以内で
  • 夕方以降に仮眠をしない
  • 夕方以降のカフェイン摂取を控える
  • 食事は寝る3時間前までに済ませる
  • 寝る前はスマホやパソコン、ゲーム機の使用は控え、明るい光を浴びない
  • お風呂では、ぬるめのお湯にゆっくりつかって体を温める
  • 寝る前にお酒を飲まない

きっと、どこかで聞いたことのある内容も多いと思います。でも、もしこの中で出来ていないことがあったら、1つでもいいので実践してみてください。試してみることで変化を感じられるはずです。

夜中に目が覚める時の対策② ストレスを緩める

ストレスは睡眠の質を下げてしまいます。日常生活の中でリラックスできる方法を積極的にとり入れていくようにしましょう。「悩みを信頼できる人に話す」「もやもやを紙に書き出す」「体を動かす」「アロマの香りをかぐ」など、自分が心地よいと思えることを実践してみてください。

ストレスを抱えた緊張状態の時は交感神経が優位になり、無意識に呼吸が浅くなりがち。深い呼吸を意識するだけでも、副交感神経が優位のリラックスモードに切り替えることができます。ストレスを感じた時は、深呼吸をしてみるのもおすすめです。

また、睡眠不足はストレスを強くします。ストレスを感じている時ほど、睡眠時間を確保して、体を休めるようにしてみてください。

夜中に目が覚める時の対策③ 睡眠環境を整える

夜中に目が覚める時の対策③ 睡眠環境を整える

睡眠の質を上げるためには、睡眠環境を整えることが必要です。寝室を睡眠に適した温度・湿度に整え、体に合った寝具を選ぶようにしましょう。寝る時は寝室の照明を落とすことも大切です。

交代勤務の人は明るい時間・体温が高い時間に寝ることになるため、どうしても睡眠の質が下がってしまいがちです。昼間に眠る時は遮光カーテンを活用し、家族にも協力してもらうなど、できるだけ静かな環境で寝られるようにしましょう。

病気のリスクがある時は専門医に相談を

夜中に目が覚める原因として、泌尿器系の問題や睡眠時無呼吸症候群(SAS)、うつ病の疑いなど、何らかの病気のリスクが隠れていることもあります。少しでも不安を感じたら、専門医に相談をするようにしましょう。

更年期障害などが原因となる不眠は、ホルモン充填療法などで緩和することがあるため、婦人科などで相談することをおすすめします。適切な治療を行い、原因となる病気が改善されれば、睡眠も変わってくるはずです。

必要以上に気にしない

夜中に目が覚める原因の1つとして「加齢」があげられますが、年齢を重ねることで睡眠は変わってきます。夜間に1回程度目を覚ましたとしても、すぐに眠れるようであれば必要以上に気にすることはありません。

眠れないことを気にするストレスが、睡眠を悪くしてしまうこともあります。多少、夜中に目を覚ましても、日中にひどい眠気を感じずに元気に過ごせるのであれば、OKと捉えるようにしましょう。

最後に

子育て世代の睡眠状況と、悩みとして多くあげられていた夜中に目をさます「中途覚醒」の原因と対策について紹介しました。日頃から忙しく、睡眠時間も短い傾向にある子育て世代は、睡眠に対しての満足度も低い状況です。睡眠時間の確保と合わせて、今よりさらによく眠るためにできそうなことがあれば、ぜひ参考にしてみてくださいね。

文:きずなネットよみものWeb編集部

【回答者データ】
2159件(2390件のうち、学生を除く20代以降の回答で集計)
性別:男性21.4%、女性77.3%、無回答1.3%

年齢:20歳代2.1%、30歳代18.8%、40歳代46.5%、50歳代23.1%、60歳代以上9.5%

職業:パート・アルバイト32.3%、会社員(正社員)27.8%、専業主婦・主夫13.6%、医療関係者7.1%、教職員4.6%、自営業・自由業3.8%、会社員(契約社員・派遣社員)3.1%、公務員(教職員・医療関係者除く)2.8%、無職2.1%、経営者・役員1.5%、その他1.4%

※参考:NHK放送文化研究所「国民生活時間調査」(2020年)

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