落ち着きがない子供の原因と対応!性格もしつけも関係ない?

落ち着きがない子供の原因と対応!性格もしつけも関係ない?

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他の子と比べて、なんだか落ち着きのない子供。そんなわが子に対して、漠然とした不安や心配な気持ちを持ったり、自分を責めてしまったりするママもいるのではないでしょうか。子供に落ち着きがないのは、しつけのせいでも性格でもありません。その原因の1つは「感覚統合の未発達」と言われています。
幼児~小学生に共通の、落ち着きのない子供への対応方法を、カウンセラーのいしづかみほさんに聞きました。

いしづかみほ

カウンセラー:いしづかみほさん
「なんかうちの子、ちょっと違う?」といった気になるあれこれ。『感覚統合』のしくみを知ると、しつけや努力や根性論ではない、全く違うアプローチができるようになりますよ。

落ち着きがない子供、原因は?

電車の中では静かにしていて欲しいのに、大きな声で話をしたり、じっと座っていられなくて歩き回ろうとしたり

電車の中では静かにしていて欲しいのに、大きな声で話をしたり、じっと座っていられなくて歩き回ろうとしたり。他にも、せっかくベビーカーに乗せてきたのに、突然自分の足で歩くと言い出してきかなかったり。
病院の待合室で、習い事の教室で、車の中で、幼稚園や保育園で、家庭で。「いや、ここでこそ静かにしていて欲しいでしょ」という場面で、落ち着きを失い騒ぐ子供に手を焼く…といった経験をしたことはありませんか?

優しい声で制止しても、大好きなおやつを渡してみても、お気に入りのおもちゃや絵本で気を引こうとしてみても、ちょっと念を込めた目でにらんでみても、本人が騒ぐ以上の音量の声で圧することを試みても…
落ち着きを見せるどころか、ますます泣き声が大きくなっていくわが子に困り果てる、という経験があるママも少なくないはず。

しかしこれは、子供の性格やしつけのせいではありません。落ち着きがない子供に悩んだら、知っておきたいのが「感覚統合の理論」です。
感覚統合のしくみを知ると、子供たちが落ち着かなくなる理由の大半を理解でき、その具体的な対応方法もわかります。自分を責め、子供たちを叱るより、ずっとよいやり方がありますよ。

落ち着かない原因は、感覚統合?!

落ち着きがない子供の気になる行動には、「感覚の統合の未発達」が原因となる場合があります

落ち着きがない子供の気になる行動には、「感覚の統合の未発達」が原因となる場合があります。それは、「我慢」や「忍耐」や「しつけ」でどうにかなるものではありません。

感覚統合とは?

感覚統合とは、脳に入ってくるさまざまな感覚刺激を、目的に応じて整理整頓・調整することです。簡単に言うと、脳に入ってくる刺激の交通整理ができるようになることが、感覚を統合するということです。

例えば、私たちの耳は、目の前で話している相手の話し声の他にも、人の足音や空調の音、外から聞こえてくる誰かの声や鳥の声、車の音や風の音など。たくさんの音をキャッチしています。
その「キャッチされた音=聴覚刺激」は、脳の中で重要なものとそうでないものに分けられ、ボリュームの調整がされます。相手の話し声は大きく聞こえ、他の音はあまり聞えなくなる、というように。

この調整がうまくいっている状態が、感覚統合ができている状態。つまり環境に対して順応できている状態です。
それに対して、感覚統合がうまくいっていない状態は、すべての音が同じボリュームで聞こえているというイメージです。
この状態だと「落ち着いて相手の話に集中することなんて、とうてい無理!」ではありませんか?

先日美容院で、5歳くらいの男の子がドライヤーの風を「熱い熱い」と言っていました。美容師さんもママも、ドライヤーと彼の頭皮との間に手を入れてみて実際に温度を確認していましたが、結論は「熱くないよ?我慢できないかな?」でした。

けれど、『その男の子にとっては熱かった』のです。

同じ体験をしていても、感じ方は人それぞれ。この「お互いに違う感じ方をしているんだな」という理解が、子供への適切な対応の第一歩となります。

原因と対応① 感覚刺激への反応

感覚刺激には、目から入ってくる視覚刺激や、耳から入ってくる聴覚刺激、皮膚で感じる 触覚刺激など、なじみ深い「五感」があります

感覚刺激には、目から入ってくる視覚刺激や、耳から入ってくる聴覚刺激、皮膚で感じる触覚刺激など、なじみ深い「五感」があります。また、無意識に使っている、前庭覚(平衡感覚ともいう)や固有覚(力の入れ具合)という感覚もあります。

こうした感覚刺激に対して、私たちは生命維持のための原始的な反射である「防衛反応」をします。この反応が、落ち着きのなさと関わるポイントです。

「感覚刺激」の例

たくさんの人がいてあちこちから話し声がするところ、大きな音がする場所、密閉された空間でマイクを通した音が聞こえる場面などで、落ち着きがなくなることがある。もしくは、耳をふさぐ、その場から立ち去ろうとする、泣き叫ぶ。

聴覚過敏による防衛反応の可能性。

手をつなぐことが求められる場面で拒絶する、くっついて並ぶ時にそわそわしたり列にならばなかったりするなど、人との接触を避けるために集団行動がとれない。

触覚過敏による防衛反応の可能性。
お友だちが嫌いとか、一人が好きとか、そういう問題ではないということです。

また、感覚統合がうまくいっていない場合に起こることとして、

足元が不安定な場所や、電車の中など、揺れにおびえて落ち着かない。

前庭覚(平衡感覚)の感覚統合がうまくいっていない時期にある、重力不安の可能性。

絵を描いている時に、鉛筆の芯をすぐに折ってしまうとか、消しゴムを使うと紙まで破いてしまうとか。本人はトントンと軽くたたいて呼んでいるつもりでも、こちらは強くたたかれたように感じたり、飲み物をコップに注ぐ時に調整がうまくいかず、乱暴に注いでいるように見えたりする。

刺激を感じにくい、もしくは、固有覚の感覚統合がうまくいっていない可能性。

などのケースもあります。

対応法は「原始系」→「識別系」に

感覚刺激の交通整理がおいついていない場合は、原始的な反応をしているだけなので、識別系のスイッチを入れてあげると良いです。
識別系のスイッチとは、ものを見て、触って、音を聞いて、「ん?これなんだ?」と確かめようとするしくみのこと。

髪の毛を切ることを嫌がる子供たちは、首筋や耳に冷たい刃物が当たった時の感覚刺激に対して、原始的な反射である触覚防衛反応がはたらいていることが多いです。
この時に、はさみを見せて触らせたり、子供に鏡を見せてどんな風に切るのかを確認させたり、実際に大人が髪の毛を切られているところを見せたりすると、何が起こるのかを理解し確かめることができて、原始的な反射にブレーキがかかるようになります。

感覚の統合がうまくいっていない子供たちには、普段から感覚刺激を入れつつ、識別系のネットワークが優位になるように関わることがポイントです。
原始系反射が完全に優位なのは、だいたい3歳~3歳半くらいまで。適切な関わりを根気強く続けると、次第に識別系のネットワークが優位となり、小学校に入る6歳くらいまでに子供たちも落ち着いてきます。

たくさんの体験を通して、繰り返し識別系のネットワークを刺激し、それを活発にすることで、原始系の反射が抑えられるようになるのです。

原因と対応② 覚醒レベルの調整

覚醒レベルの高低によって落ち着きがなくなっていることもあります

覚醒レベルの高低によって落ち着きがなくなっていることもあります。ここで言う覚醒とは、目が覚めているとか眠っているとかいうことではなくて、脳が活動している状態のことです。

ふだん私たちは、人の話を聴いたり本を読んだりする時には、少し覚醒レベルを下げています。外で活動したり運動したりする時には、覚醒レベルを上げています。私たちは無意識のうちに覚醒レベルをコントロールしています。しかし、この調整がうまくいかないと、覚醒レベルが上がりすぎたままハイテンションであったり、もしくは下がりすぎたまま反応が鈍くなったり、という状態に。すると、多動、落ち着きがない、反応が薄い、ぼーっとしている、など、他者の目には気になる姿として映ります。

「覚醒レベル調整」の例

ハイテンションとなり、注意散漫で落ち着きがなくなる。衣服を脱ぐ、落ちているものを探せない。絵本を読んでいても行を飛ばし読みする。

覚醒レベルが高くなっている可能性があります。感覚過敏の子は過覚醒になりやすいという質を持っているので、気をつけてみてあげてください。

寝る前の子どもが一時的に騒いだりするように、一見ハイテンションでコントロールが効かない状態に。ぐずり泣きをしたり不機嫌になったりする。

覚醒レベルが落ちてゆく時にも、こうした行動をします。

覚醒レベルを調整するには

子供たちは、覚醒が落ちる時に活動過多になってしまうこともあります。覚醒を維持するために、脳が感覚刺激を求めて体を動かしてしまうのです。
こうした状態の時には、必要としている感覚刺激を十分に与えてあげると落ち着けます。特に良いのは、圧迫刺激を入れてあげること。そして、その刺激のオンオフをはっきりとさせることです。
圧迫刺激を入れることで、うまく覚醒を落とすことができるようになります。

圧迫刺激を入れる一番簡単な方法は、ハグをしてあげることです。
お子さんをしっかりと抱きしめてあげましょう。大きめの枕を抱きしめさせてあげたり、掛布団と敷き布団の間にはさんでそっと体重をかけてあげたりするのも効果的です。できるだけ大きい面で、ただし、本人が受け入れられる強さで、というのを忘れないでくださいね。

圧迫刺激は、落ち着かない時だけでなく、日常的に入れてあげるとよいですよ。

また、覚醒レベルを鎮めたい時には、弱めでゆったりとした一定のリズムの刺激を入れるのもおすすめです。そっと揺らしてあげたり、胸のあたりをそっとトントンしてあげたり。これ、昔から子育ての時になんとなくしていることですよね。とても理にかなったやり方なのです。
子供に落ち着きがないのは、その子の性格でもしつけのせいでもありません。
自分の子供に落ち着きがないと悩んだら、ぜひこの感覚統合の理論を試してみて下さいね。

最後に

落ち着きがない子どもの原因と対応法についてご紹介しましたが、最後に、お伝えしたいのが「専門家を頼る」ことの大切さです

落ち着きがない子どもの原因と対応法についてご紹介しましたが、最後に、お伝えしたいのが「専門家を頼る」ことの大切さです。

以前、相談に来た保護者の方で、「子供を抱くことに耐えられない、ハグができない」という方がいらっしゃいました。「もしかして自分は、子どもに対する愛情が足りないのではないか?」と、自分を責める毎日だったそうです。けれど、よくよくお話をうかがったところ、その方ご自身がそもそも触覚過敏だったことが判明しました。感覚過敏のことを知り、感覚統合の理論を理解してからは、気持ちがとても楽になったそうです。

お住まいの地域の行政相談窓口や子ども福祉にかかわる部署、発達支援センター、新生児訪問をしてくれる保育士さんや地域の保健指導員さんに相談してみるという選択肢を、ぜひ持ってくださいね。

文:いしづかみほ

いしづかみほ
いしづかみほ

大手進学塾の講師を経て、不登校、発達症、虐待とネグレクト、愛着障害等々の教育相談と学習指導、カウンセリングを20年にわたり行ってきた。漫画家。イラストレーター。カウンセラーでセラピスト。
著書「マンガでわかる!発達症との向き合い方」(impress Quick Books)

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