高校3年間は長いように思っていても、あっという間に過ぎていきます。大学受験を視野に入れている高校1・2年生は、今の時期をどのように過ごせばよいのでしょうか? ここでは、近年の大学入試の傾向と今から取り組みたいことを解説していきます。
塾講師 渡邉智治(わたなべ・ともはる)
愛知県一宮市にて「進学塾 翔和」を経営。塾講師歴は25年以上。犬山市教育委員も務めている。
2024年度の共通テスト出願状況
2024年度の大学入学共通テストの出願が10月5日に締め切られました。出願総数は速報値で46万5469人、前年との比較で1万3879人減少(前年比97%)です。出願者の内訳を見ると、高校等卒業見込者(現役生)が40万3718人(前年比 97%)、前年から1万1995人減少しています。現役志願率(現役出願者数÷高校等新規卒業者数)は前年並みの45%前後になると見込まれます。
高校等卒業者等(既卒生等)の出願者は前年から1884人減少の6万1751人(前年比 97%)と過去3年と比べ、減少率は抑えられました。しかし、少子化による大学入試の競争緩和が進み、近年、既卒生の大学志願者は減少しています。
また、2023年度の私立大学全体の入学定員充足率は100%を割り込み、私立大学の半数以上で定員割れとなっています。
このような状況でも既卒生の減少率が緩やかになってきているということは、「浪人してでも志望大学を変えない」という受験生が一定数いると言えるでしょう。
変化を続ける大学入試制度
近年では、国公立大学、私立大学ともに「総合型選抜(旧AO入試)」「学校推薦型選抜(旧推薦入試)」で入学する学生の割合が増加しています。
総合選抜・学校推薦型選抜で入学した学生の割合(2021年度)
国公立大学…21%
私立大学…58%
総合型選抜や学校推薦型選抜では、志望理由書や活動報告書などの出願書類のほか、面接や小論文が課される場合が多いです。さらに一般選抜においても、志望理由書や面接を課す大学も増えています。
また、2022年度から必修となった教科「情報Ⅰ」が、2025年度から、共通テストでも試験科目に加わります。
それに伴い、国公立大学の入試において必要とされる教科・科目数は増加傾向にあります。
<国立大学>
6教科 8科目…81%
7科目…11%
4~6科目…6%
3科目以下…2%
<公立大学>
6教科 8科目…23%
7科目…15%
4~6科目…45%
3科目以下…17%
大学入試を意識した取り組みを
私の塾の高校生対象コースでは、キャッチコピー「1日でも早く始める、それが大学入試」を掲げています。毎年、何らかの変化がある大学入試。高校1・2年生から大学受験を意識した高校生活を送ることが大切です。
総合型選抜や学校推薦型選抜の志望者が多い大学を目指す場合、自己理解を深め、志望理由を明確にした上で分かりやすく表現するなど、志望理由書や活動報告書、面接などの対策が必須となります。そのため、高校で実施されている「総合的な探究の時間」やキャリア教育などもうまく活用し、目標とする大学や学部を意識した学習に取り組みましょう。
共通テストにおいては、複数の資料やグラフ、データから適切に情報を読み取ったり、複数の文章や資料をもとに、深く考察したりする力を試す問題が数多く出題されます。全体的に問題の文章量も増えており、限られた時間で多くの情報を処理する力も必要です。こうした傾向に慣れるため、問題演習を十分にこなすことが大切です。
特に高校2年生は共通テストと同日、または近い日程で「共通テスト模試」を受験する生徒が多いと思います。本番と同様の形式で出題されるため、「時間が足りない」「難しい」など、ネガティブな感想を持つ生徒が多く見られますが、大学受験を本気で目指す覚悟をもつための大きなきっかけだと考えています。
充実した高校生活を送るためには、学習や部活動など、すべてのことに目標を設定して取り組むようにしましょう。そして、その目標は短期のものだけではなく、1ヶ月、3ヶ月、半年、そして1年後と、長期的な目標も定めてください。これらの積み重ね、継続こそが、目標を突破するための原動力となるはずです。
高校1・2年生のみなさんは気持ちを固めて、1日でも早く、夢の実現への1歩を踏み出してください。
文:渡邊智治