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高校1年生のみなさん、ご入学おめでとうございます。高校入試を終え、いつもより少し長い春休みを満喫したのではないでしょうか。自分で決めた進路を、自分の力で突破した達成感、充実感。中には悔しい進路選択を迫られ、決意を新たに新生活に臨む人もいるかと思います。
今回は新たなステージで新生活をスタートする高校1年生のみなさんに、高校生活の準備と心構えをお伝えします。
塾講師 渡邉智治(わたなべ・ともはる)
愛知県一宮市にて「進学塾 翔和」を経営。塾講師歴は25年以上。犬山市教育委員も務めている。
今の高校を選んだ理由は?
普通科高校への進学を決めた人は、なぜその高校を選びましたか? 恐らく、大学受験などの進学準備をするためではないでしょうか。まだ先のことは分からない人もいると思いますが、高校教員たちは、4月から受験に向けた授業を行います。
中学とは違い、高校の授業は入試を突破した一定以上の学力があると判断し、進みます。中学までは「学校の授業で知識を蓄え、思考力を磨く」→「課題、学校問題集をやることで基本事項の定着」という流れで学習してきました。日々の課題をコツコツとやり進めることができる人の成績や実力は、きっと良好だったと思います。
ちょっと手を抜いてもそこまで学年順位は落ちません。しかし、高校では同じ学力の生徒が集まっているため、少し気を抜くと一気に順位が落ちてしまいます。
高1年生の冬の成績が下位3分の1だった場合、残念ながら「高校選びは正しかったかな……」と考えるほど大変なことになります。高校で出遅れた際に取り戻すことが困難な理由の1つは、高校の学習内容は中学とは比べものにならないほど難易度(思考力・判断力)が上がるからです。
そのため、スタートダッシュが肝心です。とにかく入学直後から始まる高校の授業で基本をしっかり学び、分からないところは積極的に質問するルーティンをつくりましょう。そして、集中して予習・復習、課題に取り組むなど勉強ができる環境をつくることが大切です。
中学生と高校生の大きな違いは「将来、就きたい職業」「これから〇〇を学びたい」という目標にむかって、3年間が進んでいくこと。3年後の進路選択は「将来=人生」をどのようしていくのかを決めるものです。高校入試と同じで、やり直しはできません。
今からぼんやりでもいいので、自分がやりたいこと、極めたいこと、得意なことを見つけていって下さい。
高1の9月までに決めること
高校生活の最初にして最大の分岐点が「文理選択」です。文系に進むか理系に進むかの判断は、将来進んでいく道がぼんやりとでも決まっていなければできません。
途中でコースを変更することは、ほぼ不可能といえるでしょう。大学入試では、文系と理系で受験科目や科目内の出題範囲が大きく異なるため、高校の授業もそれぞれの系列に対応したカリキュラムが組まれます。
だからこそ、得意・不得意で決めるのではなく、自分自身と向き合い、将来を見据えて決めていきましょう。
英語が好きなので文系にしようとしたが、数学の問題が解けた時の達成感や科学のおもしろさに惹かれ、もっと理系科目を勉強したいと思い理系に決めた。
高1の授業で経済学の話を聞いて、とても興味深く、おもしろそうだと思ったことと、
数学が比較的得意だったので大学で経済学を勉強したいと思い文系を選択した。
先輩たちの多くは、ある程度の将来設計して日々の学びを進めています。どんな小さなことでも興味・関心が湧いたら、インターネットで検索する、先輩、教員、保護者に相談して意見を聞くことも大切だと思います。
高校生活は「スタート」で決まる
高校入試を突破し、新生活をスタートさせたみなさんは希望に満ち溢れていると思います。だからこそ伝えたいことがあります。高校での「最初の授業」こそ、先生の一言一句をしっかりと聞いてください。
その教科の授業の受け方、ノートの取り方、そして勉強方法を教えてくれます。「郷に入っては郷に従え」で、 その土地(または社会集団一般)に入ったら、自分の価値観と異なっていても、その土地(集団)の慣習や風俗にあった行動をとるべきであるという考え方があります。
先生の言葉通りに勉強を進めた先輩たちの結果が、その高校の大学合格実績に反映されています。しっかりと「型」をつくり、型ができたら、1日でもはやく「型破り」をしてください。そのときにきっと思います。「この高校に入学できてよかった」と。
幸多き高校生活になることを祈っています。
文:渡邉智治