「塾の舞台裏」では、個別指導塾で多くの小中高生を指導している講師にインタビューをし、実際にあった事例を紹介しています。
今回は、日頃多くの小中高生に向き合う塾講師が、わが子に対して見誤ってしまった失敗談を紹介します。
塾講師 金川俊也(かながわ・としや)
大学卒業後、会社員や事業の立ち上げなどを経験したのち独立。愛知県大府市に「個別指導塾アドバンス」を設立し、勉強のやり方と合わせて、未来を生きるためのヒントを子どもたちに伝えている。自身も小2と中1の2児の父として子育てに奮闘中。
スマホを貸したら、大変なことに
私の教えている個別指導塾では、授業中のスマホの使用を禁止しています。スマホは、便利である反面、集中力の阻害や長時間利用のリスクもあるためです。
このような懸念点もあり、わが家の中1の息子には、まだスマホを持たせていません。本人が使いたいと言った時だけ、時間を決めて私のスマホを貸して、自宅のリビングなどで使わせています。
先日、息子に「ゲームをしたいからスマホを貸して」と言われて、いつものように私のスマホを貸しました。息子が遊んでいるのは、誰もが知る有名ゲームですが、私自身はそのゲームの詳細をよく分かっていません。
そして、息子からスマホが戻って来た時、血の気が引きました。ゲーム内の「ハート交換」と呼ばれるものを行っていたようで、私がLINEで繋がっている人、仕事関係者も含む全員に、メッセージが送られてしまっていたのです。すぐ全員に謝罪のメッセージを送りましたが、このゲームの詳細を知らず、息子に使わせてしまったことを猛省しました。
しっかり者の息子だけど……
息子は、「塾に行きたい」と自分から言って、進んで勉強をするような、どちらかと言うとしっかり者です。まだ、自分のスマホも欲しいと言いません。「うちの子は大丈夫だろう」と思っていたのが、親の過信だったと改めて気づきました。
「子どもを信じる」「子どもに任せる」というのも大事な考え方ですが、スマホは親世代である私たちが子どもの頃にはなかったものです。保護者が安心・安全な使い方をしっかり理解すること。その上で、子どもにスマホを使わせることが大切だと、身に染みて感じた出来事です。