「塾の舞台裏」では、個別指導塾で多くの小中高生を指導している講師にインタビューしています。今回は、さまざまなところで議論にあがる「塾は必要か」という疑問について、塾で教える人の立場から意見を聞きました。
塾講師 金川俊也(かながわ・としや)
大学卒業後、会社員や事業の立ち上げなどを経験したのち独立。愛知県大府市に「個別指導塾アドバンス」を設立し、勉強のやり方と合わせて、未来を生きるためのヒントを子どもたちに伝えている。自身も小2と中1の2児の父として子育てに奮闘中。
塾が必要な子、いらない子の違い
お子さんの学力を上げたいと考えた時に、塾に通うべきかどうか、迷う人もいるのではないでしょうか。そもそも、塾が必要かどうかは、その子どもによります。さまざまな生徒を見てきた中で、以下の条件をすべて満たす場合、塾は特に必要ではないと思っています。
② 学習すべき内容の全体像が見えている
③ 自分で計画が立てられる
④ 計画に沿って、実行できる
その上で、①②③④のいずれかが苦手な場合は、塾を活用してもよいかもしれません。ただし、塾にも相性があります。塾には、大きく分けて集合塾と個別指導塾がありますが、お子さんの状況に合わせて選ばないと、時間とお金、エネルギーの無駄になってしまいます。
集合塾が向いている子は?
集合塾が向いているのは「① 学校の授業がおおよそ理解できている」生徒です。その上で、相当の学習量をこなせる場合は、塾に通うことで学力を上げやすくなるでしょう。
私の個別指導塾でも、入塾当初は学校の授業についていけなかった生徒が、成績が上がって①の条件を満たすようになり、後に集合塾に移っていくケースがあります。
個別指導塾が向いている子は?
個別指導塾が向いている生徒は、以下の条件のいずれかに当てはまる場合です。
② 自分で計画を立てられない
③ 計画に沿って、実行できない
④ 分からないところを解消しながら学習を進めたい
学校の授業についていけない場合、集合塾に行っても問題解決にはなりません。分からないところを明確にし、解決しながら学習を進めていく必要があります。
また、成績の良い生徒でも、「計画を立てるのが苦手」「分からないところを質問しながら進めたい」という子は、個別指導塾が向いている場合があります。私の塾では、学習計画を立てることをメインにサポートし、後は生徒自身が自習室で学び、その結果成績が伸びるというケースも見られます。
お子さんの状況に合わせて、こうした役割を塾ではなく親御さんなどが担えれば、学力が効率的に上がるかもしれません。
複数の塾を見学して検討しよう
塾を選ぶ場合は、塾のホームページや口コミをチェックするだけでなく、足を運んで見学することをおすすめします。カリキュラムや料金体制などの基本情報は事前に調べられても、実際の様子は見てみないと分かりません。講師との相性や教室の雰囲気などが合わないと、長く続きませんし、無理やり通うと逆にやる気をなくしてしまうこともあります。
家から通える距離にある塾は限られてしまうかもしれませんが、少なくとも2、3軒は見学して検討してみてくださいね。