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明治時代を中心とする建築物を移築・保存する野外博物館の「博物館 明治村」。愛知県犬山市にあり、中部エリアで育った人は、学校行事や家族のレジャーで訪れたことがある人も多いのではないでしょうか?
この明治村が2025年3月に開村60周年を迎えたということで、今回は新しくオープンしたレトロカフェも訪れ、施設の魅力を改めてクローズアップ。記念イベントがたくさん開催されている今ならではの楽しみ方も紹介します。
歴史情緒あふれる5つのエリア
近代建築の三大巨匠 フランク・ロイド・ライトが日本に残した4つの建築のひとつ「帝国ホテル」の中央玄関部(5丁目)
南北1.1kmに渡る広大な敷地約100万㎡には、60以上の歴史的建造物が配置されており、南側の正門から北口までは歩いて約20分! 正門から順に北へ向かって1〜5丁目に分けられており、エリアごとに特徴ある建造物の数々が楽しめます。
村内はかなり広く、1日で全てのエリアをじっくり巡るのは難しいかもしれません。そのため、入鹿池を背景に名建築が楽しめる3丁目エリアや、近代化する時代の流れが感じられる4丁目エリアなど、その日の目的エリアをいくつか決めてから散策するのがおすすめ。
また、村内では車窓越しにガイドを聞きながら移動できる「村営バス」が9つある停留所間を運行しています。約20分間隔で運行しているので、村営バス乗車券(1人500円/1日乗降自由)を利用してスムーズに見学することも出来ますよ。
各エリアに食事や軽食が出来る施設やショップ、トイレなどが用意されているので、小さな子どもがいる家族でも安心して過ごせます。
子どもと楽しめる施設も多数!
村内中央の「市電 名古屋駅」(4丁目)と南東に位置する「市電 品川灯台駅」(3丁目)を結ぶ「京都市電」は1乗車大人500円・小学生300円
文化財と聞くと大人向けの野外博物館と思いがちですが、実は子どもと一緒に楽しみながら歴史や文化に触れられる施設もたくさんあります。
ここからは、子どもと一緒に巡りたい展示や施設を紹介します。
その数1万ピース以上!「つみきひろばGabe」
1907(明治40)年、京都に建設された「聖ヨハネ教会堂」。中世ヨーロッパのロマネスク様式をベースに、細部のゴシックのデザインが特徴(1丁目)
聖ヨハネ教会堂の1階にある、教育遊具が集められた屋内施設「つみきひろばGabe〜フレーベルからのおくりもの〜」。大きさもかたちも多種多様な1万ピースの積み木が、子どもの自由な発想をどこまでも広げてくれます。
子ども30分700円〜(フリーパスや会員価格の設定もあり)。祝日を除く火〜木は定休日
積み木以外にも、ボールやモザイク(色板)が集められたコーナーや「赤ちゃんひろば」などもあり、同フロアには「おむつ替え・授乳ルーム」や、絵本が並ぶ「休憩コーナー」も用意されているため、乳児がいる家族ものんびり楽しめそうです。
10年後に届く「はあとふるレター」
現存する最大の木造郵便局舎で、重要文化財建造物の「宇治山田郵便局舎」(4丁目)
「はあとふるレター」は、10年後に郵便を届けてくれるサービスです。宇治山田郵便局舎内の「博物館明治村簡易郵便局窓口」に定形サイズの封書を預けると、10年後の預けた月に申込んだ住所宛にその封書を投函してくれます。10年後の自分や大切な人に向けた手紙を投函してみてはいかがでしょう。
また、切手を貼ったはがきや通常はがきなどを投函すると、宇治山田郵便局舎を描いた明治村オリジナルの消印を押してもらえて、通常の郵便物として届けられます。
「はあとふるレター」の申し込みは1通700円。明治村オリジナルのレターセット(300円)も郵便局窓口で買えるので、現地で手紙を書いてもOK
兵舎で鉄砲・弓矢に挑戦!
「歩兵第六聯隊兵舎」(4丁目)内の矢場
かつて名古屋城大手門の近くに配置されていた「歩兵第六聯隊兵舎(ほへいだいろくれんたいへいしゃ)」の2階には、鉄砲や弓矢で射的をすることが出来る遊戯場が。祭りの縁日のように遊べて、弓矢や鉄砲の使い方も丁寧に教えてもらえるので、高得点を目指してください!
射的や矢場はどちらも1回5発で350円。矢場は得点に応じて景品がもらえます
また、同じ建物の1階には、明治村オリジナルのグッズも数多く取り扱う和雑貨店も。お土産探しにぴったりです。
目指して訪れたい「建物ガイド」
豪雪地の新潟県高田町から移築された「高田小熊写真館」(5丁目)は、文明開化を思わせるハイカラなたたずまいが目を引きます ※8〜11月はガイドの実施なし
見学制限箇所を含む建物内部を学芸スタッフが案内してくれる「建物ガイド」は、村内の6つの建物で決まった時間に開催されています。予約不要で、スタッフから見どころや詳しい説明を聞けるので、タイミングを合わせて訪れてみてください(建物により開催月が異なります)。
「高田小熊写真館」では、実際にスタジオスペースを使った写真撮影も出来ます
グルメでも明治らしさを楽しむ
「メイジ珈琲時館」のビー玉ポンチ(700円)
明治村での楽しみのひとつに、多彩な「明治グルメ」があります。明治時代に生まれた洋食や、文明開化の象徴「牛鍋」など、そのラインナップは目移りするほど。さらに、歴史的な建物の中でその雰囲気に浸りながらコーヒーや軽食が楽しめる施設があるのも魅力です。
メイジ珈琲時館
「工部省品川硝子製造所」(4丁目)がカフェとしてオープン
開村60周年を迎えた日にオープンした「メイジ珈琲時館」は、本格的なレンガ造建築の建物で、イギリス積のレンガ壁と瓦葺き(かわらぶき)の屋根・アーチ窓が特徴です。
ステンドグラス調のガラスの揺らぎを感じながら、明治時代に広まったとされるコーヒー文化を、当時の雰囲気を味わいながら楽しむことができます。
あいすくりんソーダ(各900円)
キラキラと光りが揺れるゼリーが愛らしいソーダの上に「あいすくりん」を乗せたこれからの季節にピッタリの「あいすくりんソーダ」。ガラスに似たお菓子「琥珀糖」や「金平糖」をトッピングしながら楽しみます。
ジェラートやドリンクはテイクアウト可なので、外のテラス席やお気に入りの建物の近くで味わうこともできます
小腹が空いたら食べ歩きもOK
「食道楽のカレーぱん」の店(2丁目)の食道楽のカレーぱん(500円)
「食道楽カフェ」などでは、当時の恋愛グルメ小説『食道楽』のレシピを再現・アレンジした明治村で人気のグルメが堪能できます。写真の「食道楽のカレーぱん」は、もっちりしたパン生地にほどよいカレ-のスパイスが香る一品。カレーには鶏肉と砕いた南京豆(ピーナッツ)が入っています。
帝国ホテル中央玄関前(5丁目)では、「食道楽のコロツケー」(350円)も販売されています。
60周年記念企画、ノスタルジックグルメも登場!
「明治の洋食屋 オムライス&グリル 浪漫亭」(5丁目)で提供中のケチャップオムライス(1500円)
開村60周年企画として、明治村が開村した昭和40年ごろに日本で人気を博したグルメの数々をアレンジして、2025年6月29日(日)までの期間限定で提供中です。
写真の「オムライス」をはじめ、「ハヤシライス(サラダ付)」や「ナポリタン」、「プリンサンデー」など、子どもも大人もうれしいメニューが村内の飲食店に用意されています。
開村60周年記念イベントも開催
開村60周年の今年は、プレミアムなイベントも盛りだくさん! 普段では体験できない特別なガイドツアーや、魅力的なイベント・ワークショップなどが開催されるので、お目当てのイベントに合わせて足を運ぶとより楽しさが膨らみます。
「“スタッフの推し建物”ガイド」や「“とっておき”ガイドツアー」
4〜7月の6が付く日には、非公開箇所をはじめ写真映えするスポットなど、学芸スタッフイチオシの建物を特別に案内する“推し建物”ガイドを1日2回実施。予約不要で実施時間に合わせて建物を訪れれば無料で参加できます。
また、同期間の0が付く日は、月替りのテーマに合わせた建物を巡る“とっておき”ガイドツアーも開催しています。こちらは各回15名限定の事前予約制(休村日を除く)。参加料は500円です。
京都市電 花電車運行
写真は京都市電開通式の様子。実際のデザイン・仕様とは異なる場合があります
2025年5月17日(土)〜6月15日(日)は、「京都市電」が動態展示を開始した開村2周年の開通式の姿をモチーフに、花やグリーンなどで装飾した花電車仕様の車両が村内を走ります。
【問い合わせ】0568-67-0314
【場所】愛知県犬山市字内山1
【時間】9時30分~17時 ※季節やイベント開催等により異なる、入村は閉村時間の30分前まで
【休村日】公式サイトに掲示
【駐車場】900台(普通車1回1台1000円)
【公式サイト】https://www.meijimura.com
【アクセス】中央自動車道・小牧東ICより北西へ3km
名鉄「犬山駅」より岐阜バス・明治村行きで20分
【料金】大人2500円・高校生1500円・小中学生700円
最後に
新しい施設のオープンや開村60周年記念イベントなどで盛り上がる「博物館 明治村」。ゴールデンウィーク中にも多数のイベントを開催していますので、ぜひこの機会に足を運んでみてはいかがでしょうか。各イベントの詳細は公式サイトに記載されているのでチェックしてみてください。
文:森下右子/撮影:間宮博/画像提供:博物館 明治村