HSP(エイチエスピー:Highly Sensitive Person)とは、生まれつき繊細で敏感な人のこと。周りの人の気持ちやさまざまな刺激に敏感に反応するため、疲れやすくストレスを抱えやすいと言われています。しかし、HSPの人は適切な環境下では、HSPでない人よりもその環境を楽しめるという研究もあります。(※)
ここでは、繊細さんと言われるHSPの人が長所を活かして過ごすコツや、毎日が楽になる方法をご紹介します。
HSPとは?特徴とチェック方法
HSPとは、「繊細で敏感な人」のことをさします。HSPは、病気ではなく生まれつきもった「気質」であり、環境などによって後天的に身についたものではないことが分かっています。
統計的にはHSPの気質をもつ人は5人に1人と言われています。左利きの人の割合が10人に1人、B型の人の割合が5人に1人と考えると、ごく身近にHSPの人がいても、自分自身がそうであっても珍しくはないと言えるでしょう。
そうはいっても、少数派であることは間違いないため、周囲の理解を得られないことで生きづらさを感じている場合も多いはずです。
HSPには「DOES(ダズ)」という4つの特徴があり、4つすべてに該当することがHSPの定義になります。
- ① 物事の考え方が深い:Depth of processing
② 刺激に敏感である:Overstimulated
③ 共感しやすい:Emotional reactivity and high Empathy
④ 感覚が鋭い:Sensitivity to Subtleties
HSPの人の中には、繊細や敏感に見えない社交的なタイプの人もいます。
【HSS型HSPとは】矛盾に苦しむ・・・社交的で刺激を求めるのに傷つきやすい人
の記事も参考にしてみてください。
HSPがもつ7つの長所・能力
HSPの人の繊細で敏感であることに対して、生きづらさやネガティブ要素に目が向けられてしまうことも少なくありません。
しかし、周りの人の喜びに対して一緒に喜ぶことができるなど、ポジティブな体験にも強い反応を示すため、より多くの幸せを感じられるメリットもあります。
つまり、HSPであるという気質に対して、どう付き合うかが大切になるといえるでしょう。
ここでは、HSPの人のもつ能力・長所を7つご紹介します。
一度に多くの情報を吸収できる
HSPの人は、敏感で繊細なため、細かいところまで感じ取り、受け取った情報が心の奥深くに届きます。
微細な違いに気づくことができる
HSPの人は、音やにおい、視界に入ってくるものに対して、敏感に感じ取ることができます。
深く、多角的に考えられる
HSPの人は、1つの物事に対してたくさんの異なる観点からとらえることができます。そのため、じっくりと考える時間が必要になることもありますが、深く物事をとらえることにもつながります。
慎重で危機管理能力が高い
HSPの人は、情報を丁寧に処理するため、危機管理能力が人一倍高い傾向があります。
共感力が高く、気配り上手
HSPの人は、共感力が高く相手の気持ちをすぐに察知することができます。表情の変化も敏感に読み取るため、先回りして相手を気遣うことができます。
誠実で、責任感がある
HSPの人の多くは、幼いころから周囲のさまざまな空気を感じ取り、どうにかしようと苦心してきた人が多いです。そのため、誠実で、物事の責任を取ろうとする傾向があります。
想像力が豊かである
HSPの人は、さまざまな事象から多くの情報を受け取り、そこから想像力を広げることができます。
HSPが楽になる方法
HSPの人は、他の人にない能力・長所を持っています。これを活かす機会をもし持てていないようであればとてももったいないです。
嬉しいこと、楽しいこと、ポジティブなことにも人以上に感じられるメリットを活かして、それを享受できる機会を増やしていきましょう。
HSPのメリットを活かす方法
- 自然を楽しむ
- クリエイティブでいる
- 哲学的な考えを巡らす時間をもつ
- 体に良いことをして、体の感覚を満たす
(走る、踊る、マッサージにいく、お風呂や足湯に浸かるなど) - 知覚を喜ばせることをする
(良い香りの花を買う、おいしいものを食べる、見ると嬉しくなるものを近くに置く、好きな音楽を聴く) - 動物と過ごす
- 日記や詩などを書く
- 芸術鑑賞をする、または芸術作品をつくる
- 質の高い人間関係を築く
上記はあくまで一例です。ぜひ、自身が心地よく幸せを感じられることを積極的にしてあげるようにしてあげましょう。
自分自身に対して、愛情をもって接し、心も体も大切にしていくことで、大きな幸せを感じられるようになるはずです。
HSPのストレスを回避して楽になる方法
HSPの人は、多くの刺激や情報を受け取るため、疲れてしまうことがあります。
日常でのストレスを軽減し、楽に過ごすためには、以下の点に気をつけていきましょう。
- 一人の時間を大切にする
- 周りの人に上手に頼る
- 苦手な人・苦手なことと距離をとる
- HSPであることを周りに伝える
- 不安なことを書き出して意識の外に出す
- 1つずつ問題に取り組む
- 睡眠をしっかりとって休む
生きづらいと感じているHSPの人が、ストレスを回避して楽になる方法対処法の詳細は、
人と関わりたくない、人と会うと疲れるのはHSP?7つの対処法
の記事も参考にしてみてください。
最後に
HSPの人であっても、そうでなくても、必ず人には個性があり、長所と短所があります。
コインに表と裏があるように、物事に光と影があるように、捉え方によって良い面も悪い面も必ずあるはずです。
自分の特性を知って、ポジティブな面を伸ばし、ネガティブだと思われる部分は工夫をすることで対処をしていきましょう。持って生まれた長所をしっかり活かして、毎日を楽しく過ごしてくださいね。
参考文献
※「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」イルセ・サン著(ディスカバリー・トゥエンティーワン)
文:きずなネットよみものWeb編集部