都市部の教育費は地方より高い？都市人口別の学習費を解説

教育費の平均額をみて「そんなに必要なのかな…」と感じたことはありませんか。
教育費は東京と地方では異なり、地方でも大都市と小規模な都市では変わってきます。
そのため住んでいる地域によって最低限必要な教育費は、実はそれほど多くはないかもしれません。
「令和3年度子供の学習費調査」をもとに、人口規模別の教育費を解説します。

教育費、地方と都会の違いは？

教育費を都市の規模別にみてみると、都市部と地方では差があります。
人口100万人以上の都市では、人口10万人未満の都市よりも教育費の負担は大きいようです。
文部科学省による「令和3年度子供の学習費調査」から、都市人口別の公立の幼稚園から中学校までに1年間にかかる学習費をまとめました。
※学習費には、学校にかかる費用と給食費、習い事などの学校外の学習費が含まれます。

※1 文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」より作成

幼稚園から中学校まで、どの年齢も人口が多い都市ほど教育費が高いことが分かります。
人口100万人以上の大都市と人口10万人未満の都市の教育費の差は、年間10万円以上。
小学生の費用差が最も大きく、大都市約47万円に対し小規模都市は約28万円です。
費用差の内訳を見ると、公立小学校が対象のため学校にかかる費用に差はありません。
小学生の教育費の中で差が大きいのは、習い事などの学校以外の費用で、大都市は約37万円、小規模都市は約18万円です。

メディアの報道などを目にすると、教育費が高く用意できない…と心配な方も少なくないはず。
ただ中学校までの教育費を細かくみてみると、大都市の平均額ほど準備する必要はないのかもしれません。
実際に必要な教育費は、以下の都市規模別の費用が参考になります。

【100万人以上の都市】年間学習費

※1 文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」より作成

人口100万人以上の都市では子どもの教育費は、公立小学校で年間約47万円、公立中学校では年間約60万円。
習い事や塾などの学校外活動費の負担が重くのしかかっています。
公立小学校の学校外活動費約37万円のうち、塾など学校外の学習にかかる費用は約21万円。
公立中学の学校外活動費では約45万円のうち、学校外の学習にかかる費用は約37万円です。
中学生になり塾に通う場合、平均3万円以上の費用がかかることがわかります。

【30～100万人の都市】年間学習費

※1 文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」より作成

中核都市の子ども一人当たりの教育費は、公立小学校で年間約35万円、公立中学校では年間約60万円です。
公立小学校の学校外活動費約24万円のうち、塾など学校外の学習にかかる費用は約11万円。
公立中学の学校外活動費では約41万円のうち、学校外の学習にかかる費用は約36万円です。
中学生の学校外の学習にかかる費用は、大都市と大きな差はありません。
その差は年間1万円程度です。
中核都市も中学生になると塾にかかる費用負担が大きいことが分かります。

【30万人未満の都市】年間学習費

※1 文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」より作成

人口10万人～30万人の都市の子ども一人当たりの教育費は、公立小学校で年間約33万円、公立中学校では年間約56万円です。
公立小学校の学校外活動費約22万円のうち、塾など学校外の学習にかかる費用は約10万円。
公立中学の学校外活動費では約38万円のうち、学校外の学習にかかる費用は約31万円です。
小学生の学校外活動費の内訳をみると、学習よりも文化活動やスポーツに費用をかけています。
大都市よりも、文化活動やスポーツなどの習い事の費用の割合が高いことが分かります。

【10万人未満の都市】年間学習費

※1 文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」より作成

人口10万未満の都市の子ども一人当たりの教育費は、公立小学校で年間約28万円、公立中学校では年間約45万円です。
公立小学校の学校外活動費約18万円のうち、塾など学校外の学習にかかる費用は約8万円。
公立中学の学校外活動費では約28万円のうち、学校外の学習にかかる費用は約22万円です。
小中学とも、他の都市よりも学校外の学習にかかる費用負担が軽いことが分かります。

最後に

家計に占める教育費の負担は少なくありません。
ただ、中学生までの間にかかる教育費の多くは、塾や習い事などの学校以外の費用です。
最低限必要な費用を知り、まとまったお金が必要になる大学入学に向け、計画的に教育費を準備できるといいですね。

文：きずなネットよみものWeb編集部

参考
※1 文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」