防犯対策、ルールだけでは足りない 子どもの「自分を守る力」を育てる準備【防犯教育実践者監修】

防犯対策、ルールだけでは足りない 子どもの「自分を守る力」を育てる準備【防犯教育実践者監修】

新学期が始まってもうすぐ3か月。子どもの行動範囲は一気に広がっています。新しい通学路や外遊び、習い事など楽しみが増える一方で、「うちの子は大丈夫だろうか」と不安を感じる保護者も多いのではないでしょうか。不安の種は、登下校や外遊びだけではなく、インターネット上の人間関係やトラブルも身近になっています。 

そこで、きずなネットでは6月1日~5日に「子どもの防犯対策」に関するアンケートを実施。不審者による声かけや留守番中の防犯、SNSでのトラブルなど、さまざまな不安の声が寄せられました。 

今回は、防犯教育に取り組むNPO法人「ママ・ぷらす」理事長・代表の川原史子さんに、子どもを取り巻く危険と、「自分を守る力」を育てる方法について聞きました。 

NPO法人ママ・ぷらす 理事長・代表 川原 史子さん

NPO法人ママ・ぷらす 理事長・代表 川原 史子さん

2006年に法人を設立し、愛知県あま市を中心に親子のふれあいの場づくりや地域づくりに取り組む。2014年、岡山県倉敷市で起こった小学生の行方不明事件をきっかけに防犯活動を始め、子どもと保護者、地域をつなぐための防犯教育を行う。

子どもに潜む危険【リアル編】

日々のニュースを見ていると、連れ去りや付きまとい、交通事故など、子どもが関わる悲しい事件・事故などを目にします。

日々のニュースを見ていると、連れ去りや付きまとい、交通事故など、子どもが関わる悲しい事件・事故などを目にします。

きずなネットが実施したアンケートでは、「登下校中、1人になる時間が心配」「習い事の帰り道が不安」「留守番をさせる機会が増えてきた」など、保護者から不安の声が多く寄せられました。

とくに注意したいのは、低学年の登下校や公園での遊び、習い事の行き帰りなど、子どもが1人になる時間帯です。また、明るい時間でも人通りの少ない道、見通しの悪い場所も危険が起こりやすい環境といえます。 

一方で、「知らない人だけが危険」という認識には注意が必要です。実際には顔見知りが関わる事件などもあるため、「知らない人だから危険」「知っている人だから安心」ではなく、「誰であっても1人でついていかない」という原則を子どもに伝えてあげましょう。 

子どもが危険に巻き込まれる背景には、好奇心や寂しさが関係することもあります。「お菓子をあげるよ」「手伝ってほしいな」と誘われ、自ら近づいてしまうケースも少なくありません。 

自分を守る力は日常の中で育つ 

「この人はなんだかおかしいな」と感じる感覚は、生まれつき備わっているものではありません。日頃からさまざまな人と関わる中で育まれていきます。 

防犯とは危険な場所や人物を知ることだけではなく、子ども自身が危険を察知し、自分を守る力を育てることでもあるのです。 

「自分を守る力」を育てるには

では、さまざまな危険から子どもを守るために、家庭ではどのような備えができるのでしょうか。

では、さまざまな危険か子どもを守るために、家庭ではどのような備えができるのでしょうか。

防犯グッズは「使える状態」に 

防犯ブザーやGPSは心強い存在ですが、持っているだけでは十分とはいえません。まずは、防犯ブザーは使いやすい位置に付けることが大切です。ただ、いざというときに大きな音を鳴らすのは意外と勇気がいるもの。 実際に鳴らしてみる練習をしておくと、いざという場面でも行動しやすくなります。 

また、電池切れや故障のチェックも定期的に。意識づけのためにも、親子で一緒に行いましょう。 

親子で危険を見つける

また、通学路の安全確認も欠かせません。その際は親が一方的に教えるのではなく、「どこが危ないと思う?」「もし困ったらどうする?」と親子で一緒に考えることがポイントです。 

共働き家庭や兄弟で帰宅時間が異なる家庭では、近所の友達と帰る、帰宅時の連絡ルールを決めるなど、1人になる時間を減らす工夫も有効です。自分で考えて決めたルールだと、子どもも守ろうという意識が生まれます。 

合言葉で行動を具体化する

子どもと防犯について話すときは、「知らない人についていかない」だけでなく、「車に乗せてあげると言われたら?」「道を聞かれたら?」など、具体的な場面を想定して伝えてあげましょう。 

愛知県で使われている例として、連れ去り防止の合言葉で「つみきおに」という標語があります。子どもにも覚えやすく、いざというときに取るべき行動を整理できるのが特長です。約束事は、一度伝えて終わりではなく、繰り返し伝えることで行動につながります。 

約束事は、一度伝えて終わりではなく、繰り返し伝えることで行動につながります。

子どもにひそむ危険【ネット編】 

登下校などのリアルな場面に加え、近年はネット上でのトラブルを心配する保護者も増えています。

登下校などのリアルな場面に加え、近年はネット上でのトラブルを心配する保護者も増えています。 

SNSやゲームでのトラブル

アンケートでも、「SNSで知らない人からメッセージが届く」「ゲーム内のチャットで誰と話しているか分からない」「写真や動画の投稿が心配」といった不安の声が多く寄せられました。よく聞かれるトラブルとしては、SNSのDM(ダイレクトメッセージ)やゲーム内チャット、個人情報の流出、写真や動画の不用意な投稿などが代表的です。

ネットでは、相手の顔や年齢、本当の目的が分からないまま交流が始まることもあります。また、寂しさや承認欲求につけ込まれ、気付かないうちに個人情報を伝えてしまうケースも少なくありません。

「この人は信頼できる相手なのか」を見極める力は、子どもたちが日常生活の中で人間関係の経験を積むことによって培われます。

「この人は信頼できる相手なのか」を見極める力は、子どもたちが日常生活の中で人間関係の経験を積むことによって培われます。 

親がすべてを把握することは難しいからこそ、普段から困ったときに相談できる関係を築いておくことが大切です。 

親ができるネット防犯対策 

ネットの危険について知ると、「どこまで管理すればいいのだろう」と不安になる保護者も少なくありません。

ネットの危険について知ると、「どこまで管理すればいいのだろう」と不安になる保護者も少なくありません。小学生のうちはスマホをフィルタリングするなどの管理が必要ですが、年齢が上がるにつれて、親がすべてを監視し続けることは難しくなります。 

だからこそ必要なのは、家庭でルールを共有しておくことです。 

例えば、 

・SNSの公開範囲を限定する
・知らない人からのDMには返信しない
・ゲーム内チャットの設定を確認する
・学校名や住所が分かる投稿をしない

といった決まりごとを、親子で理由も含めて共有しておきましょう。 

また、「デジタルタトゥー」や「フィッシング詐欺」などの言葉を知っておくだけでも、危険への注意力を高めることにつながります。 

トラブルが起きたときの初動 

もし子どもが危険な相手と関わってしまった場合は、まず怒らないことが重要です。頭ごなしに叱ってしまうと、子どもは「怒られるから言わないでおこう」と隠すようになってしまいます。 

まずは話を聞き、状況を整理すること。必要に応じてスクリーンショットを保存し、学校や警察、自治体などの相談窓口へ早めに相談しましょう。 

狙われにくい子に共通する特長

防犯につながるのは、防犯グッズやルールだけではありません。

・元気にあいさつができる
・イヤなことを「イヤ」と言える
・困ったときに大人へ相談できる

大切なのは、子ども自身が危険を察知し、助けを求める力。そして、その土台になるのが親子のコミュニケーションです。

子どもが不審な出来事やネット上のトラブルを打ち明けてくれたときは、まず「話してくれてありがとう」と受け止めて話を聞いてあげましょう。

最後に 

防犯対策は、防犯グッズやルールを増やすことだけではありません。大切なのは、子ども自身が危険を察知し、自分を守る力を身につけること。 

夏休みを控えたこれからの時期は、防犯について親子で話し合う良い機会です。ぜひ家庭でも、「もしものとき、どうする?」を話題にしてみてください。

取材・文:きずなネットよみものWeb編集部 

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