きずなネットでは、進路や職業選びの参考にしてもらえるよう、さまざまな仕事に携わる人の声を紹介しています。
医療機器の専門職である臨床工学技士(ME)は、病院内で医療機器の保守・点検を行い、医師や看護師、各種医療技術者とチームを組んで業務に携わる技術者です。今回は、総合病院で働く臨床工学技士の方に話を聞きました。
24歳/3年目
成田記念病院
所属:臨床工学科
この仕事を選んだ理由は?
高校では数学が好きだったことから理系を選択し、理系がいかせる仕事に就きたいと思っていました。そこから、人の役に立てる医療系の仕事に魅力を感じ、さまざまな医療職を調べている中で臨床工学技士という仕事を知ったのがきっかけです。
命に直結する機械を扱っているところがかっこいいと思い、臨床工学技士の資格が取得できる専門学校に進学することを決めました。
仕事内容は?
私の勤める病院では、臨床工学技士の仕事は大きくわけて2つあり、透析業務と手術室業務です。
透析業務
透析とは、腎臓の働きが低下した患者さんに対する、体に溜まった毒素や水分を除去する治療です。透析業務では外来と入院患者さんに対して、穿刺(せんし・針を刺すこと)をして透析を開始。透析をしている間にさまざまな業務を行い、透析が終わったら返血(血液を体内に戻すこと)をして、抜針します。
手術室業務
手術室では、麻酔器や手術室のほか、病院内のさまざまな医療機器の点検をしています。医療機器に異常があれば原因を探り、修理をしたり、医療機器メーカーさんとやり取りをしたりします。また、シャントの手術(管を入れて血液の流れを変える手術)では直接手術のサポートもしています。
ある日のスケジュール
※透析業務
8時25分
出勤
カンファレンス(ミーティング)
8時30分
患者さんの穿刺開始
患者さんのバイタルに変わりないかを確認し、けがや体調変化があれば医師へ報告する
透析中は、医師に透析にあたっての条件などを確認し、リハビリの手伝いや、内服薬、バイタルの確認などを行います
12時
休憩
※透析をしている間に、30分交代で昼休みをとります
12時30分
患者さんの返血開始
返血が終了したら、ベッドのシーツ交換、透析機器の片付けなど
15時
翌日の透析の準備
透析機器などの準備や、その日の透析データの見直し
16時
カンファレンス
16時10分
休憩
16時40分
翌日の透析の準備
17時30分
終業
これまでは透析業務を行っていましたが、2024年1月からは、前々から興味があった手術業務を担当しています。
仕事に就くために努力したこと
専門学校生の時は、レポートの作成が大変でした。特に臨床実習(実際に診療や治療などを行う実習)では、3週間ずつ2つの施設へ行き、その日の実習内容のレポートを次の日に提出しなければいけなかったため、徹夜でレポートを作成することもありました。そのような頑張りもあって、国家試験に合格できた時はとても嬉しかったです。
仕事の楽しいところ・やりがい
患者さんといろんな話ができることが楽しいです。透析室では、患者さんもスタッフも仲が良く、和気あいあいとした雰囲気で楽しく仕事が出来ていました。患者さんが帰り際にお礼を言ってくれることが、仕事のモチベーションにもなります。
最近は手術室で働いていますが、たまに透析室に行くと、「久しぶりじゃーん」と患者さんから声をかけてもらえるのがうれしいです。
仕事の大変なところ
命に関わる仕事なので、素早い判断と適切な動きが求められます。さっきまで元気だった患者さんでも、バイタルが急変してしまうことがあります。最初はびっくりして何も出来ませんでしたが、知識を身に付け、自分の判断で少しずつ対応できるようになってきました。
今後の目標は?
まだ3年目で分からないこともあり、いつも先輩たちに助けてもらっています。私もいつか、そんな先輩たちのようになることが目標です。
後輩もそうですが、患者さんや、医師、看護師、ほかの医療職の方たちからも信頼してもらえるような臨床工学技士になりたいです。
この仕事に就きたい人へ
臨床工学技士の業務内容は幅広く、働く場所によって仕事内容が変わってきます。臨床工学技士の仕事の中で、自分のやりたいことをある程度決めてから就職活動にのぞむことをおすすめします。
文・聞き手:きずなネットよみものWeb編集部
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