時々、「うちの子、まったく勉強しないんです」と嘆く親御さんがいます。本来、勉強が出来る環境は、とてもぜいたくで幸せなこと。周りの対応と本人の気持ち次第で、子どもはいくらでも「学び」を楽しむようになります。
今回は、子どもに学びの楽しさを伝えるために、「目標」と「目的」について考えてみたいと思います。
塾講師 渡邉智治(わたなべ・ともはる)
愛知県一宮市にて「進学塾 翔和」を経営。塾講師歴は25年以上。犬山市教育委員も務めている。
「目標」と「目的」の違いは?
「目標」は、「目的」を達成するためにあります。例えば、「〇〇高校に行きたい」「〇〇大学合格」というのは目標。そして、その先にある〇〇大学で「〇〇をする」というのが目的です。目的を決めず、目標だけ設定するのはよくありません。
私たち大人は、目標を達成した先に何があるのかをイメージできるよう、子どもたちに惜しみなく情報や知識を伝えていくことが大切です。
また、目標は具体的な内容にすることをおすすめします。数値などを用いて、「あとどれくらいで目標を達成できるか」という達成度を明確にするのもいいでしょう。「目標は状況に応じて変えてもいい」という柔軟な考え方も必要です。
しかし、目的については、1度決めたら変えないことが大切です。どれだけ時間をかけてもいいので、その子の揺るぎない目的、いわば「ゴール」を決められるといいですね。
明確な目的が勉強を楽しくする
目的が明確になった子どもは、自分の掲げた目標を達成するため、楽しんで勉強します。
目標を達成するのに足りない部分があれば、「どうすればいいんだろう?」と考えて、工夫しなければいけません。そして、主体的に工夫して努力を重ねます。そうやって目標を達成したら、大きな喜びと達成感を味わうことができます。
そうして身につけた「課題を発見し、それについて考える力」「主体的に工夫し、努力を重ねる力」は、その先の将来、自分がやりたいことを実現するために必ず役立ちます。
こうした力を育むためにも、まずは周りにいる大人が、子どもに1つでも多く目的と目標を見つける機会をつくってあげましょう。そのためには、大人である私たちも日々勉強し、知識をアップデートしていかなくてはなりません。子どもたちに負けないよう、頑張っていきましょう。
文:渡邉智治