【『親子でひらく学びの未来』番外編】スマホとの上手な付き合い方 ~デジタル時代に、親が知っておきたいこと~

【『親子でひらく学びの未来』番外編】スマホとの上手な付き合い方 ~デジタル時代に、親が知っておきたいこと~

うちの子、スマホばかりで……。多くの保護者の方から聞かれる声です。ゲーム、動画、SNS、そして今はAIも。デジタル時代に生まれ育つ今の子どもたちにとって、スマートフォンは生活の一部になっています。そんなスマホと、どう付き合っていけばいいでしょうか。

今回は連載「親子でひらく学びの未来」の番外編として、学習塾を運営し、日々多くの保護者からの相談を受けている加藤先生に、スマホとの付き合い方について聞きました。

学習塾経営者・講師 加藤教子(かとう・のりこ)

愛知県出身。名古屋市千種区で「かとうのりこ進学教室」を主宰。25年以上にわたり小中高生の個別指導に携わり、中学受験から大学受験まで、医学部や東大・京大・早慶など難関大学への合格実績多数。総合格者数700名以上。一人ひとりの個性や家庭環境に寄り添い、偏差値20~30アップも実現する指導法で、多くの保護者から信頼を得ている。

多くの家庭が抱える、スマホの悩み

「うちの子、気づけば何時間もスマホを見ています」。保護者の方とお話ししていると、こんな言葉を聞く機会が本当に増えました。

子どもが動画を見るのをやめない。ゲームばかりしている。スマホがないと落ち着かない。そんな悩みは、決して特別なものではなく、多くの家庭に共通する、とても身近な悩みです。

ゲームや動画は「もう少しだけ」と、なかなかやめられない仕掛けがされていて、大人でもやめるのが難しいですよね。ただ、睡眠不足や集中力低下など、子どもの生活に影響が出てくると、親としては見過ごすわけにもいきません。

一方で、スマホを使うのはゲームや動画のためだけではありません。学校からのお知らせを確認したり、調べものをしたり、学習アプリもスマホの中にあります。

スマホの使い過ぎを心配して、「取り上げる」→「怒る」→「(子どもが)隠れて使う」→「取り上げる」を繰り返せば、親子関係の問題に発展しかねません。親子の会話まで減ってしまうこともあります。

「スマホは悪いもの」と決めつけるのではなく、どう付き合っていくかを考えることが大切です。では、具体的にどう向き合えばいいのでしょう。

スマホルールQ&A

日々、保護者の方からの相談を受ける中で、私がよくお話しする「スマホとの付き合い方」についてご紹介します。また、スマホと同じように、最近相談が増えているのが「ChatGPT」や「Gemini」など、AIとの付き合い方です。

もちろん、これが正解というわけではありません。子どもの学年や家庭の状況によって、解決策はそれぞれ違います。「これが正解」ではなく、みなさんの家庭に合ったルールを見つけるためのヒントとして、読んでいただけたら嬉しいです。

Q1スマホはいつから持たせるべきですか?
年齢だけで区切るのではなく、「何のために持たせるか」を先に考えることが大切です。たとえば、塾や習いごとの連絡、帰宅時の安全確認など、スマホが必要な理由は家庭によってさまざまです。「友達との連絡手段として」という理由であれば、小学校高学年くらいから、という家庭が多い印象です。「周りが持っているから」ではなく、「今のわが子に必要か」を基準に考えることをおすすめしています。
Q2使用時間に制限は設けるべきですか? どのくらいが目安ですか?
「1日◯分」と時間だけで区切るよりも、「宿題が終わったら」「21時以降は使わない」など、生活パターンと結び付けて区切る方が、子ども自身も納得しやすいようです。大切なのは時間の長さだけではなく、睡眠や勉強、家族との時間に影響が出ないことです。家庭の生活リズムに合わせて決めることをおすすめしています。
Q3約束・ルールはどう決めればいいですか?
親が一方的に決めるのではなく、子どもと一緒に話し合いながら決めたルールの方が、守られやすい傾向にあります。「なぜそのルールが必要なのか」を親子で共有することも大切です。子ども自身が納得して決めた約束の方が、「守ろう」という気持ちにつながります。
Q4約束を守れなかったとき、どう対応すればいいですか?
一度で完璧を求めず、「今回はどうして難しかったのかな」と、親子で一緒に振り返る機会をつくると、次につながりやすいです。すぐに叱ったり、取り上げたりするのではなく、子ども自身が理由を考え、次の約束につなげられるよう、親自身も積極的に声をかけ、関わると良いでしょう。
Q5AIは子どもに使わせるべきですか?
禁止するのではなく、「AIに答えを聞く前に、まず自分で考えてみる」という使い方を、一緒に練習してみることをおすすめしています。AIはこれからの時代、身近な道具の一つになっていくでしょう。だからこそ、「使わせない」のではなく、「上手に使う力」を育てることが大切だと考えています。
Q6AIとは、どのように付き合っていけば良いですか?
「教えて」ではなく「一緒に考えて」と聞いてみるなど、質問の仕方一つで、学びの深まり方が変わってきます。AIが教えてくれた答えをただ書き写すのではなく、自分の考えを整理したり、別の視点を知ったりするためだったら、AIはとても有効です。「まず自分で考える」という習慣を大切にしながら活用してほしいと思います。

 

目指すのは「自分で止まる力」

ここまでのQ&Aを読んで、「そう言われても、うちの子には難しそう……」と感じた方もいるかもしれません。スマホとの付き合い方は、子どもの年齢や家庭環境によって、100人いれば100通り。だからこそ、ここでご紹介したのは、あくまで一つの参考です。

私たち親世代にはなかったツールですが、スマホもAIも、これからますます当たり前の存在になっていきます。この先ずっと避けていくことは、現実的には難しいでしょう。だとしたら、「どうやめさせるか」にこだわるより、ここで少し視点を変えてみませんか。

目指したいのは、「スマホを持たない子」ではなく、「スマホやAIと上手に付き合いながら、自分で考え、自分で使い方を選び、必要なときにやめられる子」です。今、その力はまだ育っている途中なのかもしれません。

まずは、家庭の中で小さな約束を積み重ねていきましょう。たとえば、「夜21時になったら、リビングにスマホを置く」「食事中は使わない」など。こんな小さな約束からで大丈夫です。

もちろん、思うようにいかない日や約束が守れない日、親子げんかになる日もあるかと思います。そんな日を過ごしながらも、諦めずに「次はどうしたら良くなるかな」と一緒に考えていく。わが子を信じて、そばで見守ることも親にできる大切なサポートだと思っています。

今日よりほんの少し前へ

スマホそれ自体が、良いものでも悪いものでもありません。使い方によって、時間を奪うものにもなれば、未来を広げる道具にもなります。AIも同じです。便利な道具だからこそ、「どう使うか」を考える力が問われます。

デジタル時代により大切になるのは、❝自分で考える❞ ❝自分で選ぶ❞ ❝自分で立ち止まる❞力。それは、成長とともに、少しずつ育っていくものだと思います。

子どもが失敗しながら学ぶように、保護者もまた、迷いながら子どもと向き合っていくものだと思います。今日より明日、ほんの少し前へ進めたら、それで十分ではないでしょうか。

子育てに「これが正解」という答えはありません。だからこそ、親子で話し合い、悩みながら積み重ねた時間そのものが、子どもの未来を支えていくのだと思います。

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