嘔吐・下痢|子供のこんな症状には要注意!【医師が解説】

嘔吐・下痢|子供のこんな症状には要注意!【医師が解説】

毎年、冬になるとノロウイルスやロタウイルスなどによる感染性胃腸炎が流行します。しかし、昨年と今年は少し様子が違っていました。

新型コロナウイルスの世界的な大流行は今年で3年目に。2020年から2021年にはマスク、手洗い、換気がすすめられ、国立感染症研究所の発生動向調査では、感染性胃腸炎の最近10年間でもっとも低い患者数でした。
ただし、残念ながら2021年から2022年のシーズンは、ほぼ例年並みの流行となっています。
2021年11月、12月頃は新型コロナウイルスの流行が下火になっていた時期ですので、少し気が緩み感染対策がやや甘くなった影響かもしれません。これらはマスク、手洗い、換気が感染性胃腸炎にも有効であることを示している証拠かと思います。
感染しないように予防することがもっとも重要なのですが、万が一、感染性胃腸炎にかかってしまったとしても、慌てることはありません。
ここでは、感染性胃腸炎にかかったときの対処法、病院に連れていくかどうかの判断についてご紹介します。

筆者:十河剛 (そごうつよし) 先生

筆者:十河剛 (そごうつよし) 先生
済生会横浜市東部病院小児肝臟消化器科部長。小児科専門医・指導医、肝臓専門医・指導医、消化器内視鏡専門医・指導医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。
診療を続けていく中で、“コーチング”と“神経言語プログラミング(NLP)”と出会い、2020年3月米国 NLP&コーチング研究所認定NLP上級プロフェッショナルコーチの資格を取得、2022年全米NLP協会公認NLPトレーナーとなる。また、幼少時より武道の修行を続けており、現在は躰道七段教士、合気道二段、剣道二段であり、子供達や学生に指導を行っている。
「子供の一番星を輝かせる父親実践塾」Voicyにて毎朝6時から放送中。

子供の嘔吐・下痢の対処法は?

感染性胃腸炎は、通常3~4日、長くても2週間以内に自然治癒しますので、その期間に脱水にならないように過ごすことが重要です。

感染性胃腸炎は、通常3~4日、長くても2週間以内に自然治癒しますので、その期間に脱水にならないように過ごすことが重要です。

嘔吐・下痢がみられた際の対処法を知っていると、「病院に行って新型コロナウイルスに感染するのが怖い」、「これくらいで受診して新型コロナウイルス対応で忙しい病院に迷惑じゃないか?」というような心配も必要なくなります。
子供達にとっても、嘔吐や下痢でつらいときは、病院の待合室よりも家で休んでいるのが一番です。

2017年、日本小児救急医学会は『小児急性胃腸炎診療ガイドライン』を発表しました。このガイドラインでは、嘔吐や下痢が始まったら速やかに自宅で「経口補水療法」を開始することが強く推奨されています。

「経口補水療法」とは

「経口補水療法」とは、経口補水液を用いて脱水を予防、改善する方法。
経口補水液とは、ナトリウム、カリウムなどの電解質、糖質、水がある一定の組成になっているイオン飲料であり、複数のメーカーから発売されています。
ただし、効果があると科学的に立証されている経口補水液のナトリウム濃度は40mEq/L以上。この条件を満たす商品は「OS-1®(大塚製薬)」でドラッグストアなどで購入できます。
経口補水液は『飲む点滴』とも言われ、嘔吐がある場合にも効果があります。

最初は5mlずつを5分ごとに飲ませ始めましょう。ペットボトルのキャップにこぼれないくらいに入れるとだいたい5ml になりますので、キャップで一口ずつ飲ませていきます。
嘔吐が治まったら、少しずつペースを上げていきます。
脱水にならないためには、下痢や嘔吐で出た分の水分量を経口補水液でゆっくりと補っていくと考えてください。

よく「水が飲めない時はどうしたらよいでしょうか?」という質問を受けます。この時、
多くの場合は、経口補水液ではない水分を飲ませていることがほとんどです。
とくに嘔吐しているときは、何をどのように飲ませるかが経口補水療法成功のカギになります。お茶、水、白湯、薄めたスポーツドリンクなどではなく、必ず経口補水液を飲ませましょう。

私の息子が3歳の時、ニワトコという山菜のてんぷらの食べ過ぎで、息子がニワトコに含まれる青酸配糖体中毒になり、夜中に嘔吐をしましたが、経口補水液を飲ませて事なきを得ました。仮に感染性胃腸炎ではなくても、経口補水液は効果が期待できますので嘔吐や下痢の症状がみられたら、すぐに経口補水液を飲ませるようにしましょう。

こんな時は要注意!医療機関へ

もし、以下の症状がみられた時には医療機関を受診しましょう。

もし、以下の症状がみられた時には医療機関を受診しましょう。

  1. 見た目に調子が悪そう、もしくは段々調子が悪くなる
  2. ちょっとした刺激に過敏に反応する、呼びかけたりしても反応性に乏しい
  3. 目が落ちくぼんでくる
  4. 脈が速い
  5. 呼吸が速い
  6. 皮膚緊張の低下(皮膚がたるたる)
  7. 手足が冷たい、もしくは手足が網目状に紫になる
  8. 持続する嘔吐
  9. 大量の排便
  10. 糖尿病、腎不全、代謝性疾患などの基礎疾患がある
  11. 生後2か月未満
  12. 生後3か月未満の乳児で、38℃以上の発熱
  13. 黄色や緑色の嘔吐(胆汁性)、もしくは血性嘔吐
  14. 何度も嘔吐を繰り返す
  15. 定期的に起こっては止む腹痛
  16. くの字に体を折り曲げる、痛みで泣き叫ぶ、もしくは歩くと響くなどの強い腹痛
  17. お腹の右下の痛みや、みぞおち・お腹の上からお腹の右下に移動する痛み
  18. 血便もしくは黒色便

1~7は重症な脱水の可能性があります。
8. 9.はこのままだと脱水が進行する可能性、
10. 11.は特別な対応が必要な症例、
12~18は胃腸炎以外の疾患の可能性があります。

先に紹介した経口補水液を5分間隔で5mlずつ(5-5ルール)でも嘔吐し、1~7の症状が出てくるようであれば、受診が必要です。ただし、ほとんどの場合、5-5ルールで経口補水液を与えれば、嘔吐は治まってきます。また、経口補水液を5-5ルールで飲ませていれば、途中で何度が嘔吐しても脱水は予防できるので、長くても数時間で嘔吐は治まってくるはずです。

1~18の症状がなければ、経口補水液を与えながら、自宅で様子を見ても構いません。感染性胃腸炎であれば、嘔吐や吐き気は長くても数日、下痢は長くても2週間でよくなります。2週間以上、下痢や吐き気が続く場合には受診が必要となります。

そして、特に注意して欲しいのは黄色や緑色の嘔吐です。黄色や茶色の嘔吐を「胃液」と思われる方も少なくありませんが、胃液は、無色透明です。
黄色や緑の吐物は「胆汁」という肝臓で造られ、十二指腸から分泌される消化液。そのため、腸閉塞の可能性もあり、外科手術が必要なことがあります。

実際に「夜中から嘔吐する」ということで、私の外来を受診したお子さんが黄色の吐物を吐いており、エコー検査で腸捻転(ちょうねんてん)と診断しました。また、吐物に血液やコーヒーの残りかすのようなものが含まれる場合も注意してください。
繰り返す嘔吐により食道と胃のつなぎ目が裂けた(マロリーワイス症候群)と思っていたら、ノロウイルスやサポウイルスによる十二指腸潰瘍であったことが何度もあります。

便利なサイトを活用しよう

判断に迷ったときには、日本小児科学会が運営している『こどもの救急』でチェックしてみてください。
私自身もシミュレーションで試してみましたが、ほぼ小児科医の判断と同じ結果が出ます。
症状をチェックすると、自動で受診するべきかどうかを判定してくれるので、参考にしてみてくださいね。

文:十河 剛


筆者:十河剛 (そごうつよし) 先生
筆者:十河剛 (そごうつよし) 先生

済生会横浜市東部病院小児肝臟消化器科部長。小児科専門医・指導医、肝臓専門医・指導医、消化器内視鏡専門医・指導医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。
1995年 防衛医科大学校医学科卒。自衛隊医官としての勤務を経て、2003年から国際医療福祉大学小児科医員として小児消化器疾患の診療を始める。2013年より済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科副部長、2022年4月より現職。
小児消化器疾患診療を続けていく中で、心身症や不登校の子供達の診療機会が増え、最も苦手としていた「他人の話を聴く」ための技術に興味を持つ。その中で“コーチング”と“神経言語プログラミング(Neuro Linguistic Programing:NLP)”と出会い、2019年より本格的に NLPコーチングを学び始め、2020年3月米国 NLP&コーチング研究所認定 NLP 上級プロフェッショナルコーチの資格を取得、2022年 全米 NLP協会公認NLP トレーナーとなる。また、幼少時より武道の修行を続けており、現在は躰道七段教士、合気道二段、剣道二段であり、子供達や学生に指導を行っている。

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