受験生を食で応援!努力の成果を最大化する食事とは?【管理栄養士解説】

受験生を食で応援!努力の成果を最大化する食事とは?【管理栄養士解説】

受験シーズンが近づくと、それを支える家族の間にも緊張感が走るのではないでしょうか。志望校合格に向けて、お子さんにはベストコンディションで試験に臨んでほしいですよね。今回は、頑張るお子さんを食事面でサポートするコツを管理栄養士の小川静香さんに聞きました。普段の食事で気を付けたいことや、当日を迎えるまでの過ごし方を紹介します。

小川静香先生

小川静香先生:
管理栄養士・公認スポーツ栄養士・博士(医学)
3歳から水泳を習い、大学院からトライアスロンを始める。日本で1番長い距離の大会である佐渡国際トライアスロン大会で女子総合優勝をした経験から、スポーツ栄養の重要性を感じ、アスリートへの栄養サポートも実施。特に最近は腸内環境を専門に学び、その知見も栄養セミナーで提供中。

まずは、腸内環境を整えよう!

心の状態がお腹に影響を与え、お腹の状態が集中力や精神面にも影響を与えます。

心の状態がお腹に影響を与え、お腹の状態が集中力や精神面にも影響を与えます。また、腸内環境が乱れると、免疫力が落ちて風邪をひきやすくなることも。特に、試験が近づいてくると、精神的なプレッシャーや生活リズムの変化、偏食などで腸内環境が乱れがちに。

ベストコンディションで本番に臨み、これまで勉強してきた十分に成果を発揮するには、日頃から腸内環境を整える食事を心がけてください。

腸内環境を整えるために食べたい食材

  • 納豆、ヨーグルト、味噌などの発酵食品
  • 食物繊維の含まれた食材
  • 旬の食材

発酵食品の有用菌(人に有益な働きをする腸内細菌)と、その有用菌を育てるための食物繊維を同時にとり入れることを「シンバイオティクス」と言います。この「シンバイオティクス」が腸内環境を整えることにつながります。食物繊維の中にも水に溶ける「水溶性食物繊維」(海藻類、きのこ類などに多く含まれる)と水に溶けない「不溶性食物繊維」(ゴボウなどの野菜に多く含まれる)があるため、両方を摂るようにするとよいですね。

また、旬の食材には、その時期に体が必要とする栄養が含まれていることが多いため、健康な体の維持に役立ちます。ぜひ、意識して摂り入れるようにしましょう。

朝のたんぱく質でリズムをつくる

「忙しい朝はコーヒーとパンだけ」など簡単に済ませてしまう人も多いのではないでしょうか。

「忙しい朝はコーヒーとパンだけ」など簡単に済ませてしまう人も多いのではないでしょうか。ただ、どれだけ時間がなくても、朝ごはんに必ず摂り入れてほしいのがたんぱく質です。

生体リズムを切り替えるスイッチになるのが、たんぱく質なので、朝にたんぱく質が多く含まれる豆乳や牛乳を飲んだり、ご飯派であれば、おかずに納豆や鮭、パン派であれば、ヨーグルトを追加したり。時間がなければ前の晩にゆで卵を作っておいて、それを食べるのもよいでしょう。

たんぱく質を摂り入れることで、頭と体を活動モードに切り替えて気持ちよく1日をスタートできますよ。

脂質の多い食事は避ける

唐揚げやカレー、チャーハン、ラーメンなど……、脂質の多い食べ物は消化に時間がかかるため、胃腸に負担がかかって体が疲れてしまいます。バラ肉ではなく赤身肉を選ぶ、トンカツではなく生姜焼きにするなど、食材の選び方や調理方法を変えるなどの工夫で脂質を減らすことが出来ます。

そうは言っても、脂質は体を動かすための大切なエネルギー源。全て減らすのではなく、その質にこだわって摂り入れてほしいです。例えば、サラダ油よりはオリーブオイルにする、肉よりも良質な脂質が含まれる青魚にするなどもおすすめですよ。

単品食は避ける

食事や夜食で血糖値が急上昇すると、食後に疲労感が出て、勉強に集中できなくなる可能性があります。特に、ご飯やパン、麺類などは糖質が多いため、それだけを大量に食べると血糖値が上がりやすくなります。

「単品食」は避け、ご飯であれば、おかずや汁物と一緒に食べる、菓子パンではなくサンドウィッチを選ぶなど、食物繊維を含む野菜やたんぱく質と組み合わせるようにしましょう。そして、十分な消化や栄養素の吸収のためにも、よく噛んで食べることを意識してみてください。

勉強中の効果的な間食の摂り方

勉強には脳のエネルギーを使うため、間食や夜食に甘いものをとる人も多いのではないでしょうか。

勉強には脳のエネルギーを使うため、間食や夜食に甘いものをとる人も多いのではないでしょうか。糖質は、体内で「ブドウ糖」に分解され、脳のエネルギー源となるため、集中力を高めるのに必要な栄養素です。ただし、摂り方を間違えてしまうと逆効果になりかねません。

間食の選び方や摂り方のポイントについて、以下を参考にしてみてください。

噛んで食べられる物を選ぶ

よく噛むことで脳に刺激が加わり、血流が増加して頭の働きが活発になります。また、よく噛んで食べることは、血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。おやつを選ぶ際も、おせんべいなどの噛んで食べられるものを選ぶとよいでしょう。小さなおにぎりをよく噛んで食べるなどもおすすめです。

少しずつ食べる

糖分補給のおやつとして定番のチョコレートやキャンディ、グミは、一度にたくさんの量を食べると血糖値が急激に上がってしまいます。1回に食べる量は1粒だけにするなど、食べ過ぎないようにしましょう。

体に良さそうに思えるフルーツも一度にたくさんの量を食べると血糖値を上げてしまうので、注意が必要です。

ジュースは避ける

飲み物に含まれる糖質は消化吸収がはやく、血糖値を上昇させます。砂糖の入った甘いジュースはもちろんのこと、野菜ジュースも急激に血糖値を上げます。出来るだけ避けるようにしましょう。

当日までに心掛けたい食生活

試験当日は、朝早く起きる必要があったり、食事の時間が変わったり、いつもと違う生活リズムになることがあります。試験当日、緊張などで胃腸が上手く働かない可能性も考えると、「普段と違う時間に朝食を食べて、お腹いっぱいのまま試験の時間に……」となると、本来の力が発揮できません。

試験本番のスケジュールや移動の時間を事前に確認し、可能であれば数日前からそのスケジュールで起床し、朝食を食べるようにしておきましょう。「いつも通り」の状態で試験に臨むことで、不要なトラブルを避けられるはずです。

「いつも通り」で力を発揮しよう

試験の前日や当日に、「勝つ」のゲン担ぎでトンカツやカツ丼食べたり、縁起物のお菓子を食べたりする人もいるかもしれませんが、試験前は不安や緊張などでストレスが強くなっているタイミング。

試験の前日や当日に、「勝つ」のゲン担ぎでトンカツやカツ丼食べたり、縁起物のお菓子を食べたりする人もいるかもしれませんが、試験前は不安や緊張などでストレスが強くなっているタイミング。いつも以上に消化に時間がかかってしまうことがあります。当日の不要なトラブルは避けるためにも、油の多い食事や、普段食べないようなものは避けるようにしましょう。

人の体は毎日の生活習慣で作られるので、「いつも通り」のスタイルが、これまで積み上げてきた努力の成果1番発揮できるはずです。

お子さんのために、試験前にごちそうを作って応援したい親御さんもいるかもしれませんが、ごちそうは試験後のお楽しみにして、毎日の食事を大切にしていってくださいね。

聞き手・文:きずなネットよみものWeb編集部

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