便秘の治し方は?便塞栓(べんそくせん)と便秘解消の三大原則【医師解説】

便秘の治し方は?便塞栓(べんそくせん)と便秘解消の三大原則【医師解説】

便秘とは「便がお腹から出てこない状態、もしくは便を出しにくい状態」のことを言います。
そして、便秘によってお腹が張る、お腹が痛い、食欲がなくなるなどの症状があり、日常生活に支障が出ると「便秘症」とされて、治療の対象に。つまり、病気とみなされます。
私は、小児消化器疾患の専門外来をしていますが、年々便秘症で受診する子供たちが増えています。
ここでは、便秘の悪循環と子供の便秘の症状、改善していくための「PPAP」を解説します。

筆者:十河剛 (そごうつよし) 先生

筆者:十河剛 (そごうつよし) 先生
済生会横浜市東部病院小児肝臟消化器科部長。小児科専門医・指導医、肝臓専門医・指導医、消化器内視鏡専門医・指導医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。
診療を続けていく中で、“コーチング”と“神経言語プログラミング(NLP)”と出会い、2020年3月米国 NLP&コーチング研究所認定NLP上級プロフェッショナルコーチの資格を取得、2022年全米NLP協会公認NLPトレーナーとなる。また、幼少時より武道の修行を続けており、現在は躰道七段教士、合気道二段、剣道二段であり、子供達や学生に指導を行っている。
「子供の一番星を輝かせる父親実践塾」Voicyにて毎朝6時から放送中。
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便秘の悪循環とは?

胃で消化された食べ物は、小腸で必要な栄養分が吸収されます。そして、大腸に来たときには、ドロドロの便の素に。

胃で消化された食べ物は、小腸で必要な栄養分が吸収されます。そして、大腸に来たときには、ドロドロの便の素に。そこから、大腸を通過する間に水分がどんどん吸収されて、形のある便になります。
しかし、便が腸の中に長くとどまっていると、どうでしょう。水分が吸収され過ぎて硬くなり、便を肛門から出しにくくなります。
そこにまた、新しい便が肛門の近くの直腸までおりてくると、そこにまた便がとどまってしまいます。
すると、また、便からは水分が吸収されて硬くなります。
こうやって便がどんどんたまって、どんどん硬くなり、その便は肛門を塞ぐ形になるので、ますます便が出にくくなります。
これが、便秘の悪循環です。

便秘の原因「便塞栓」とは?

「便塞栓(べんそくせん)」とは、肛門をふさぐ形で便のフタができている状態。便塞栓があり、便秘の悪循環になると、便を出したくても出せない状態になってしまいます。
腸の上の方からは新しい便がどんどんおりてきます。そのため、押し出される形で、便が漏れ出ていたり、便塞栓の脇を便の水の成分だけが染み出したりして、知らない間にパンツについてしまうことも。
また、便塞栓があると、いきんだ時に形ある便は出せずに、柔らかい便、水のような便だけが、便塞栓の脇をすり抜けて出て、下痢のようになることがあります。
便塞栓で出口を塞がれた便をなんとか排泄しようと、音がなるくらいにグルグルと激しく腸を動かすとお腹が痛くなります。
やっとのことで便塞栓が外れて便が出ると、びっくりするくらい大きな太い硬い便が出ることがあります。ソフトボールみたいな大きな硬い便が出て、トイレに流そうとすると詰まってしまうことも「便秘あるある」といえるでしょう。
そして、太くて硬い便が出るとお尻の穴は切れてしまいます(裂肛)。すると、便をするときに痛いので、我慢してしまうことにもなりかねません。こうなるとさらに便秘は悪化していきます。

子供の便秘悪化要因は?

2歳以降のトイレトレーニングを始める時期は、意図的に排便をすることができるようになる時期。同時に、排便を我慢できるようになる時期でもあります。したがって、この時期に、排便するときの痛みなど、排便に関する嫌な体験があると排便をかたくなに我慢するようになります。
これも便秘が悪化する要因の一つです。

子供の便塞栓の症状

便塞栓があると、さまざまな症状があらわれます。

便塞栓があると、さまざまな症状があらわれます。

皮膚びらん

便塞栓があると、便のフタの脇をすり抜けた腸液や便汁が常にお尻の周りを汚した状態になります。皮膚は弱酸性、便はアルカリ性ですので、お尻の周りの皮膚はただれてきます。

胃食道逆流

食べ物の通り道が消化管です。大きな便塞栓が消化管の出口手前の直腸にあって、食べ物の通行を邪魔するとどうでしょう。
嘔吐や嘔気、オエッといかないまでも、胃の中の食べ物が食道の途中まで、場合によっては口の中まで戻ってくることもあります。

口臭

便塞栓があると、胃液が常に口の近くまで上がってくるので、口臭が出ることもあります。

夜尿

直腸のすぐおなか側には膀胱(ぼうこう)があります。便塞栓で圧迫されると、膀胱が十分に膨らむことができなくなり、夜尿の原因になります。

便塞栓がある場合には、便塞栓を除去する治療が最初に必要となります。
薬を飲んでも便秘が良くならないという子は、ほぼ間違いなく、便塞栓を除去しないで治療がされています。

薬をやめたければ、薬を飲もう!

医療機関で便秘症と診断されたら、治療を一定期間継続する必要があります。「便秘薬はクセになる」からという理由で、勝手に薬を減らしたり、中止したりすると、かえって治療期間は長くなります。
3歳で便秘症と診断されて治療を開始した場合、その子は3年かけて今の排便習慣を身につけてきたわけです。したがって、新たな規則正しい排便習慣を身に付けるには少なくとも3年はかかると思った方が良いでしょう。
3年かけて身につけた排便習慣を数週間の治療で変えられるはずがありません。

便秘治療の三大原則

便秘治療を成功させるためには原則があります。

  • ■第一の原則
    お尻にフタをしている便塞栓があるときは便塞栓を取り除いて(便塞栓除去)から、薬、食事、生活習慣改善などの他の治療を開始する。
  • ■第二の原則
    外した便塞栓の便のフタは外したままにしておくこと。
  • ■第三の原則
    お尻までおりてきた便は我慢せずに出しきる習慣を身につけること。

第一の原則は、基本的には「浣腸」です。第二の原則は、指示されたとおりに薬を飲むことが基本。そして、第三の原則は排便習慣の改善です。
健康な人は、直腸に便が下りてきて、直腸が広がると便意を感じます。しかし、便秘の人は常に直腸に便をため込んでいるため、便意を感じにくくなっています。だから、便を我慢できてしまうのです。
「第三の原則」は、薬を最終的に中止するために必要なステップ。しかし、この第三の原則を無視して、治療を中途半端に終わらせてしまう人が多いのです。そうすると、まず間違いなく便秘が再発してしまいます。

薬に頼らないための「PPAP」

薬に頼らないで、「第三の原則」である正しい排便習慣を身につけるためには「PPAP(Plan and Perform Active Poo)」が必要です。

薬に頼らないで、「第三の原則」である正しい排便習慣を身につけるためには「PPAP(Plan and Perform Active Poo)」が必要です。
「active poo」とは、私が作った造語ですが、「poo」は英語で「排便する」という意味。「active poo」とは「便意がなくても、積極的に排便すること」です。

  • Plan=計画する
  • Perform=実行する
  • Active Poo=便意がなくても、積極的に排便する

つまり、便秘治療の「PPAP」とは、便意がなくても時間を決めて、計画的に積極的に排便を実行するということです。
具体的には、毎食後+寝る前に便意がなくてもトイレに誘導すること。
便座に座らせて、いきんでみます。このとき、便が出なくても構いません。トイレに行って、排便をしようとする習慣が大事なのです。胃の中に食べ物が入ってくると、胃が広がった刺激により大腸が動き始めます。これは、胃結腸反射と呼ばれ、食後に便意を催すのはこのためです。
また、寝る前にも、その日1回も便を出していない、もしくは排便量が少なかったときにはトイレに誘導します。
「PPAP」を繰り返すことで、普段の直腸は空っぽ、便が下りてきたらトイレに行って排便して、直腸を空っぽにするというリズムができてきます。すると、便意を感じやすくなります。これが本当の規則正しい排便であり、「PPAP」で目指すゴールです。

最後に

排便のことは恥ずかしくて言えない、話せない、という子供も少なくありません。また、下着を汚してしまってどうしてよいかわからない、友達に「クサイ」と言われるなどで自尊心を傷つけてしまうことも。
便秘に悩む方は、正しい知識を身につけて、「PPAP」の実践をおこなっていってください。

文:十河剛

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