「サステナビリティ」という言葉、聞いたことありますか?ニュースや環境の話題の中でよく取り上げられるようになってきたこの言葉。「Sustainability=持続可能性」という意味で、永続的な未来に向けた社会・環境・経済の取り組みをさします。北欧家具・雑貨を扱うイケアは、25年前から経営の軸にサステナビリティを掲げています。地球と子どもの未来を守る取り組みに共感したCOE LOG編集部は、愛知県長久手市にあるIKEA長久手に伺い、サステナビリティに関する取り組みについて取材しました。お話をしてくださったのは、IKEA長久手マーケットマネジャー ピーター・ハイネルさんです。
サステナビリティとは
英語表記では“Sustainability”=「持続可能性」という意味。1987年に国連の「環境と開発に関する世界委員会」が公表した報告書で「Sustainable Development」(持続可能な開発)という考え方が発表され、注目されるようになりました。
内容は「環境と開発は、共存していくもの。開発では環境保全を考慮するべきである」というもの。企業においても同様で、「経済の発展と地球環境を守ることを両立させよう」という考え方です。広く環境・社会・経済の3つの観点から世の中を持続可能にしていくことを表しています。
限られた資源を活かすために
2017年のIKEA長久手オープン当初からマーケットマネジャーを務めるピーターさん。
「イケアの発祥は1943年、スウェーデンの南にあるエルムフルトという街。少ない資源、そして、そこに暮らす人のお財布の事情。限られた状況の中でいかにして生きるかが、イケアのDNAです。そして、『より快適な毎日をより多くの方々にご提供すること』を企業のビジョンとして掲げ、そこに近づくことを私たちのミッションとしています。」と、ピーターさん。
バックヤードの通路の壁には、イケアのビジョンが大きく掲げられています。
「イケアの商品は、限られた裕福な人のためのものではありません。」このお話を聞いて、デザイン性が高く機能的、それでいて低価格商品の数々が、多くの人に愛されていることに納得しました。
人々と地球にポジティブな影響を
社内でのサステナブルな取り組みも掲げられ、実践されています。
イケアでは、人々と地球にポジティブな影響を与えるため、「ピープル・アンド・プラネットポジティブ」という戦略を掲げています。企業として成長しながら、循環型の社会を目指し、イケアのコワーカー(従業員・イケアでは「一緒に働く仲間」をさします)およびサプライヤーに勤務するすべての従業員に平等で公平な労働環境を提供。そしてお客さまには健康でサステナブルな暮らしの提案を行っています。また、イケアは女性の活躍も推進しています。女性の管理職比率の目標を50%としており、現在はなんと49%なのだとか。
そして、お話を伺ったIKEA長久手には、オープン当初からダーギス(スウェーデン語で「保育園」)が併設されていて、コワーカー以外も受け入れ、地域の働くお母さん、お父さんをサポートしています。
7時30分~22時30分まで開所し、「世界で一番大切な子どもたちのために」というイケアの企業理念のもと、ユニークな教育をおこなっています。
IKEA 長久手ダーギスは、とても明るく開放的な雰囲気です。
イケアの商品づくり5つのポイント
イケアの商品展開の数は、常時約9,500点。そして、年間約2,000点が新商品と入れ替わり、自社でデザイン・製造をおこなっています。商品をつくる際に大切にしていることについてピーターさんに伺ってみました。
「商品づくりで大切にするのは5つ。1.機能性、2.デザイン性、3.低価格、4.品質、5.サステナブルであるか、です。輸送時に1つのパレットに商品を何個入れられるか、空気や隙間を減らす梱包など。フラットパック(平坦な梱包)にして隙間なく商品を積み込んで輸送することによって輸送回数を減らすことができ、温室効果ガス排出量の削減になります。また、輸送回数を減らすことがコスト削減につながり、お客さまに低価格で商品の提供ができます。」
梱包もコンパクトに。上の写真の椅子の枠(クッションは別)が、下の小さな箱に収まって運ばれています。
貴重なエネルギーと人的資源を使う輸送の効率を上げることもサステナビリティの一部。事業の主軸にサステナビリティがあることを改めて感じられるお話でした。
イケアのサステナビリティ商品
これから成長する子ども達や地球環境のために、私たちが買い物をするときにもサステナブルな視点を大切にしていきたいですよね。イケアの商品の中にたっぷり盛り込まれたサステナビリティ。
そんな視点で伺った、イケアのオススメ商品をご紹介します。
【サステナブルなプラントフード】
上記写真は、すべて植物由来の食材でつくられた商品です。お肉は一切使用していません。
※右下のプラントベースロールキャベツは11月上旬頃までの期間限定販売となります。
2020年10月から販売開始になった「プラントボール」は、肉を使わず植物由来の原料でミートボールを再現しています。他にも、上の写真のカツカレー、ロールキャベツ、ラザニアは全て植物由来の原材料でつくられています。
ではなぜ植物由来にするのでしょうか?それは、土地と資源を大量に消費する食肉生産は、世界の温室効果ガス排出の主な原因の 1 つとなるからです。また、宗教上、健康上の理由による多様な人々の選択肢としても貢献しています。
食べてみると、しっかり肉の風味・食感があって、植物由来食品とは思えない味。イケアでは、2022年までに、食品事業の全商品のうち20%を植物由来食品にすることを目標に掲げています。
【竹でつくられた商品】
左:タブレットスタンド1,499円/右:サービングボウル1,299円
木材よりも生育が早い竹を使った家具や雑貨は、環境に優しいサステナブルな商品といえます。家具、収納ボックス、キッチン雑貨、照明など、イケアでは竹製品を多数取りそろえています。
【繰り返し使える蓋】
左:ユニバーサルふた3点1,299円、右下:フードカバー2点セット899円、右上:フードカバー3点セット499円
フードカバーはシリコン製で食器や野菜の形にフィットします。使い捨てのラップではなく、繰り返し使える蓋やカバーを使うことで、毎日の食卓でもエコな生活ができますね。
【食品の鮮度を保つ保存容器】
左:IKEA 365+ 保存容器 ふた付き, 丸形 ガラス/竹600 ml 549円
右:IKEA 365+ 保存容器 ふた付き, 長方形 ガラス/プラスチック1.0 499円
IKEA 365+フード収納シリーズは、容器とふたの素材、形、大きさをそれぞれの用途に合わせて選ぶことができます。ふたを変えるだけで、お料理から食卓へのサービング、食品の保存、そして夕飯の残りを次の日のお弁当に。食品保存容器を活用することで、食品を新鮮な状態で長持ちさせることができます。せっかく買った食材を無駄にすることなく、食費も貴重な食資源も節約できます。
【効率よく調理するボウル】
水切りボウル1,299円。広げたり、折りたたんだりすることで、深さを変えることができます。
蒸し器(半分広げた状態)として使ったり、パスタインサート(完全に広げた状態)として使ったり。ほとんどの3~5ℓ鍋と合わせることができ、同時調理をおこなえばエネルギーの節約にもなる商品です。
【充電式乾電池】
左:充電器299円、右:充電式乾電池(単3形)4ピース799円(IKEA Familyメンバー価格)
約500回充電可能な乾電池。価格的にもお手ごろで、イケアの大ヒット商品です。
【エコバッグ】
エコバッグ199円。柄もさまざまあります。
ペットボトルを原料とした、リサイクルポリエステルでつくられたエコバッグ。枯渇する資源を守るため、リサイクル素材にこだわった商品で、こちらも人気アイテムです。
地域とともに成長する店舗
イケアのメンバーシップクラブ、IKEA Familyでは、買い物時にIKEA Familyカードを呈示することで子どもたちのために10円をイケアが積み立てます。この積立金をもとに、イケアは地域の子どもたちの成長を支える施設を対象に、商品を寄付しています。長久手市子育て支援センター※1、長久手市青少年児童センター※2にある家具は、イケアのものが使われています。商品提供だけでなく、コワーカーによってインテリアデザインから設置までをおこなったそう。詳しくはこちら。地域とともに子ども達の成長をサポートしてくれています。
長久手市子育て支援センター(愛知県長久手市)
※1 長久手市子育て支援センターについてはこちら
※2 長久手市青少年児童センターについてはこちら
最後に
「東海地区初出店のイケア店舗として長久手のこの地が選ばれたのは、都市部からも近く、公共交通機関でいける場所であることも理由のひとつ。車ではなく公共交通機関を使うことも、サステナブルなアクションのひとつといえます。」と、ピーターさん。
「イケアの建物の外壁の色は全面ブルーと決まっていますが、IKEA長久手は例外です。店舗のすぐ近くに神社が祀られており、そちらに配慮して一面のみグレーの外壁にしています。」
そんなIKEA長久手は2017年10月にオープンし、地域に根ざし3周年を迎えました。
平日も休日も多くのお客さまでにぎわうIKEA長久手。何度訪れても新しい発見、楽しさが見つかるこの場所は、地球環境とつながり、地域とつながり、まちとともに成長しています。お話を聞いてますますイケアのことが好きになる、そんな時間になりました。
※商品の価格や情報は予告なく変更となる場合がございます。
文:三輪田理恵