リニモテラスに行ってみよう!カフェでひと休みから始まる~新しい体験

リニモテラスに行ってみよう!カフェでひと休みから始まる~新しい体験

2021年6月、リニモ長久手古戦場駅近くに「リニモテラス公益施設」がオープンしました。三角屋根と外に開かれたおおきな掃き出し窓が目を引きます。一体何の建物なのかしら?どんな使い方ができるの?「リニモテラス公益施設」が、どんな施設か分りにくいという声をよく聞きます。構想から13年の長い道のりを経てオープンした「リニモテラス公益施設」が目指すものとは?その魅力をご紹介します。

広中 省子(ひろなか しょうこ)

筆者:広中 省子(ひろなか しょうこ)
愛知県長久手市在住。34年前、子どものために入った「おやこ劇場」がきっかけで、文化活動に深くかかわることに。文化芸術に関する講演を行うほか、長久手市「文化の家」事業アドバイザー、リニモテラス公益施設運営協議会副会長など、文化を活かしたまちづくりを目指して、幅広い活動を行っている。

「リニモテラス」はどんな建物?

リニモ長久手古戦場駅周辺には、買い物や観光目的で市内外から多くの人がやって来ます

リニモ長久手古戦場駅周辺には、買い物や観光目的で市内外から多くの人がやって来ます。また、通学や通勤でリニモやバスを利用する人、犬の散歩やウォーキングをする人。買い物ついでに長久手中央2号公園で、子どもを遊ばせたり、待ち合わせたり、のんびり時間を過ごす人もいます。今までこのエリアは、多種多様な目的で人々が訪れては通り過ぎていく場所でした。

そこに誰でもふらっと気軽に立ち寄れる心地よい空間があれば、人は通り過ぎるだけでなく、滞在するのではないか。そして、観光や長久手市の情報が手軽に得られれば、まちの新たな魅力を発見し長久手ファンが増えるのではないか。多様な出会いが生まれ、化学反応がおきてさまざまなつながりが広がっていくのではないか…。「リニモテラス公益施設」は、この恵まれた立地を活かして「新たなつながりをデザインする場」というコンセプトでつくられました。

「リニモテラス公益施設」は、この恵まれた立地を活かして「新たなつながりをデザインする場」というコンセプトでつくられました

建物に一歩足を踏み入れると、壁面と天井を覆う「ラティス構造」と呼ばれる三角形の木組みに目を奪われます。7m以上ある天井と約5m×30mの横長の大空間を支えるために必要な構造だそうです。この「大廊下」は天井が高く開放的でとても広々した印象を受けます。

建物に一歩足を踏み入れると、壁面と天井を覆う「ラティス構造」と呼ばれる三角形の木組みに目を奪われます

この「大廊下」の両側には、広さや使い方の異なる小さな4つの貸し部屋がくっついています。サークル活動や会議など、有料で利用できます。部屋はドアではなく引き戸なので開けておけば開放感たっぷりです。

「大廊下」の両側には、広さや使い方の異なる小さな4つの貸し部屋がくっついています。サークル活動や会議など、有料で利用できます

「大廊下」には「カフェ」も併設されています。目的がなくても、ふらりと立ち寄りやすいですね。
藤が丘にある「tori 8 coffee」(トリハチ コーヒー)の2号店です。(お店の名前は、マスターの名字が服部 → ハットリ → ハチ トリ → トリ 8 → tori 8 だそうです。)
マスターの服部さんは、長久手市民でお店のコーヒーに使っている豆も、長久手市にある「松本珈琲工房」の豆!長久手愛あふれる方で、いつか長久手にもお店を出したいと思っていたそうです。とはいえ、藤が丘に比べて人通りの少ない場所に加えコロナが収まらないので大変だそうですが、マスターがじきじきに長久手店でがんばっています。
おすすめは「エスプレッソフラッペ」!~エスプレッソにクラッシュアイスとソフトクリーム~これはつまり、コーヒーシェークの甘さ控えめ…その上に乗った生クリームとのハーモニーが絶妙の美味しさです。

おすすめは「エスプレッソフラッペ」!~エスプレッソにクラッシュアイスとソフトクリーム~これはつまり、コーヒーシェークの甘さ控えめ…その上に乗った生クリームとのハーモニーが絶妙の美味しさです

「大廊下」には「カフェ」も併設されています。目的がなくても、ふらりと立ち寄りやすいですね

特徴は「大廊下」

既存の施設の貸し部屋は、活動したい人がドアを閉めて部屋の中で活動するので、どんな人が何の活動をしているのか分かりません。
「新たなつながりをデザインする場」という、リニモテラスの施設コンセプトには、貸し部屋中心の従来型の施設では実現できないことを補う意図が込められています。その意図が具現化された空間が「大廊下」です。
「大廊下」は貸しスペースではありませんので、公益的な活動を市民に向けて行う場合は無料で使うことができます。ただし一般のふらりと来た人が自由に使う妨げにならないよう「占有」して使うことはできません。

「新たなつながりをデザインする場」という、リニモテラスの施設コンセプトには、貸し部屋中心の従来型の施設では実現できないことを補う意図が込められています。その意図が具現化された空間が「大廊下」です

この「大廊下」が、多様な出会いや新たなつながりを生み出す「交流の拠点」になり、ここに来れば観光やまちづくりの情報が得られる「情報発信の拠点」となることを目指しています。その前提として、長久手市の特徴をあらわす4つのテーマを軸とした市民活動の拠点として活用されることが期待されています。

長久手市の特徴をあらわす4つのテーマ

  • 大学連携
    近隣に大学が多いまち。ボランティアで社会貢献したい学生や、サークルの活動や自分が学んでいることをもっと多くの市民に知ってもらいたいと思っている学生と市民が出会う機会をつくります。
  • 観光交流
    歴史と新しさが混在する魅力あるまち、温かいふれ合いのあるまち「長久手」を目指します。長久手のモノ・ヒト・コトの紹介や観光情報を発信し(観光案内所)、市内外に「長久手ファン」を増やしていきます。
  • 多文化共生
    姉妹都市との市民レベルの国際交流活動を推進。国際的な視野とホスピタリティーの醸成をめざし、多文化共生のまちづくり推進の取組みや相談に対応していきます。
  • 子育て支援
    転入者が多く、知り合いがいない知らない土地で、乳幼児を抱えて子育てをしている人が多いまち。ちょっとしたコミュニケーションや息抜き、気分転換につながる子育て支援の活動や情報発信をしていきます。

(この4つはあくまでも「長久手に特徴的なテーマ」ということで、それ以外の公益性の高い活動は全て「市民」という枠で考えています。)
「リニモテラス公益施設」にお茶を飲みにふらりと訪れた人、引越して来たばかりで長久手の情報を知りたい人、イベントに参加したい人、何かつながりを求めている人など。まだ活動とは無縁の市民と4つのテーマの公益的な活動をする団体や個人とが出会う場が「大廊下」です。
「大廊下」は、言ってみれば公共の「広場」のような空間です。目的がある人もない人も、いろいろな人が思い思いの行動を取りながら、偶然居合わせた者同士にコミュニケーションが生まれ、巻き込まれていくような、そんな場になることを願っています。

「大廊下」は、言ってみれば公共の「広場」のような空間です

オープンまでの道のり

2000年頃まで長久手町(現:長久手市)は、名古屋市に隣接した地域の開発は進んでいましたが、多くはまだ緑豊かな町でした。それが2005年に開催された「愛・地球博」とリニモの開通をきっかけとして、市外から多くの人が訪れるようになります。そのようなまちの変化に対応して生まれたのが「リニモテラス構想」です。
その内容は、リニモ長久手古戦場駅の周辺にバスターミナルを整備し、大型商業施設を誘致、「リニモテラス公益施設」と駅をデッキで結び、そこを新しいまちのにぎわいの中心にしようという計画でした。ところがその後、リーマンショックや東日本大震災によって景気が後退し、首長が変わり、建設用地も変更になりました。状況が変わるたびに、本当に市民にとって必要な施設かどうかがシビアに問われました。

長久手市の特徴と課題

「愛・地球博」以降、長久手の人口は着実に増え続け2012年に「長久手市」になりました。全国的に人口は減少傾向にある中で、2040年頃まで長久手市の人口は増えると予測されています。人口構成からみると30~40歳台の子育て世代と子どもの人口が多い、「若いまち」です。
また2016年12月にイオンモール長久手、2017年10月にはイケアといった大型商業施設がオープンし、近隣からも多くの人が訪れ活気があり、住みよさランキングといった都市ランキングでは高い評価を受けています。

「愛・地球博」以降、長久手の人口は着実に増え続け2012年に「長久手市」になりました

しかし一方で5割以上の人が長久手在住10年未満、自治会加入率が振興地域では40%に満たないというデータもあります。これらからは転入転出人口が多く、まちに対する愛着が薄い、地域のコミュニティーが衰退し人と人とのつながりが薄い、といった状況が浮かび上がってきます。

将来を見据えたまちづくりのために

長久手市は校区ごとに共生ステーションを整備して、住民の福祉を地域できめ細かく考えていこうとしています。共生ステーションを活用していけるような活動主体の充実、地域住民の関わり・つながりがますます大切になってきます。
しかし、「つながりなんて必要ない」「煩わしい」と思っている人が、いきなり「地域でつながってみんなで地域の困り事を考えよう」という人にはなりません。リニモテラスはまちのゲートウェイですから、市内外から日常ではつながれない多種多様なヒト・モノ・コトが集まってきます。多種多様な人、文化、価値と出会い、学び、交流し、つながることによって、視野が広がることがあります。「つながることは素敵!」と思えるようなたくさんの良き体験や出会いが積みかさなって、「身近な地域でもつながりたい!」という人に変わっていくのではないでしょうか。

共生ステーションを活用していけるような活動主体の充実、地域住民の関わり・つながりがますます大切になってきます

リニモテラスにふらりと来て、何をやっているのか覗いてみませんか?もしも面白いことをやっていなかったら、あなたがやりたいこと、面白いと思うことを実現する場にして下さい。
「こんなことをやってみたい!」そんな思いをコーディネートするボランティアもいるので、窓口に相談すれば、必ず誰かにつないでもらえます。
「リニモテラスはつくって終わりではない、市民がつくり続ける施設」と市長は言っています。リニモテラスは市民のために13年越しで、さまざまな人がかかわって、考えてつくった施設です。そこに「魂」を入れていくのは、市民の活動あってこそです。ぜひ一度リニモテラスに足を運んでみてくださいね。

左から 指定管理者の 山田さん、柿本さん、青野さん左から 指定管理者の 山田さん、柿本さん、青野さん

YouTube動画「リニモテラス公益施設設計者による説明」

設計者が設計のポイントを説明している5分ほどの動画です。
リニモテラス公益施設

リニモテラス公益施設  公式ホームページ

Tori8coffee長久手 インスタグラム

文:広中省子
写真:広中省子、杉本愛子

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