家事に育児に仕事に、とにかく毎日忙しいママの生活。かわいいはずのわが子にイライラしたり、無性に悲しくなったり……心身ともに疲れて、涙が止まらないなんてこともあるかもしれません。育児ストレス、育児疲れと合わせて、女性は出産を経てホルモンバランスが変わります。そのため男性の2倍程度、うつ病になりやすいともいわれています。今回は、「育児うつ」のセルフチェック、マタニティブルー、産後うつとの違いと対処法をご紹介します。
育児うつセルフチェック
なんだか調子がおかしい…育児疲れ?それとも育児うつ?
まずは、以下に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
- 悲しい、憂うつな気分、沈んだ気分になる
- 何をしても興味がわかず、楽しくない
- 疲れやすく、だるい
- 何をするにもおっくうでやる気がしない
- 寝つきが悪くて、朝早く目がさめる
- 食欲がなくなる
- 人に会いたくなくなる
- 夕方より朝方の方が、気分・体調が悪い
- 心配ごとが頭から離れず、考えがどうどうめぐりする
- 失敗や悲しみからなかなか立ち直れない
- 自分を責め、自分には価値がないと感じる
出典:厚生労働省ホームページ「うつを知る」より
あてはまるものが多い、症状が2週間以上続く場合は「育児うつ」の注意が必要。「我慢すれば治る」は禁物です。
育児疲れ、育児うつ、違いは?
マタニティブルー、産後うつ、育児うつなど、産後のママの不調をあらわす言葉は複数あります。育児疲れとの違いは、どのようなものでしょうか。
「マタニティブルー」は妊娠・出産でホルモンバランスが崩れることで起き、多くのママが経験するもの。一般的には、産後10日以内に現れて、2週間程度で改善する一過性のものといわれています。
「産後うつ」は、産後1~2週間から数ヶ月以内に発症し、症状が1年以上続くこともあります。10人に1~2人の割合で起きるといわれているため、誰がなってもおかしくない、とても身近なもの。ホルモンバランスの変化と合わせて、環境の変化や育児の不安なども要因になります。
「育児うつ」は子育てに伴うストレス、環境の変化などで起こるうつ症状。「産後うつ」と「育児うつ」の明確な定義はありませんが、マタニティブルーのような一過性のものではありません。心配な場合は各種医療機関等を受診し、医師やカウンセラーに相談しましょう。
「育児疲れ」はここに該当しないまでも、疲れがたまっている状態。そして、マタニティブルー、産後うつ、育児うつを悪化させる原因になるものといえそうです。
育児疲れ・育児うつの原因は?
育児うつの原因は、ホルモンによるもの。産後うつも同様です。妊娠、出産後は、ホルモンのバランスが大きく変化し、ストレスに耐える脳の抵抗力が落ちることがあります。また、授乳などで十分な睡眠時間がとれなかったり、家事や育児、仕事などで睡眠時間が削られたりすることもストレスを大きくします。
産後でなくても、慣れない育児や環境の変化などでストレスが大きくかかると、育児疲れで脳がオーバーヒートをおこしてしまいます。
「性格の問題」ではなく、脳が機能不全をおこしている状態。それによって、ものごとを悪くとらえる、否定的にとらえる傾向が強く出てしまいます。
「母親だから、やらないといけない」「頑張らないといけない」と考えて一人で抱え込むと悪循環に。この悪循環こそが、育児疲れやうつ病につながるのです。
育児疲れ・育児うつ対処法
「育児うつ」「産後うつ」にならないために。また、「育児疲れ」をためないために、日頃から意識して自分自身のストレスケアをおこなうことが大切です。ちょっとしたきっかけで、気持ちが楽になることもありますよ。
1人になれる時間をつくろう
特に子どもが小さいうちは、24時間つきっきりで休みがない状態になってしまうことも多いはず。自分でも気づかない間にどんどん疲れが蓄積されていることも。可能なら、パパや両親、その他でも頼れる人に頼って、数時間でもよいので1人になれる時間をつくりましょう。
各自治体で、育児の援助をおこなう「ファミリーサポートセンター」というものもあります。料金も格安なので、身近に頼れる人がいない場合は、こういった制度を活用するのも方法の一つです。
また、寝不足だとストレスも大きくなります。睡眠時間をしっかり確保し、睡眠の質を上げることで、想像以上に心と体が楽になることもありますよ。
完璧主義はやめて、手抜きをしよう
育児は毎日「想定外」の連続です。いくら予定を立てていても、子どもの都合で予定通りにいかないことだらけ。そんな中で毎日完璧にこなすのは至難のワザです。まじめに頑張れば頑張るほど、ストレスがたまってしまいます。
家事や育児を多少サボってもOK!掃除ができなくても、出来合いの食事で済ませても、大丈夫。無理をして頑張ることよりも、心に余裕をもつことの方が大切です。
例えば○曜日の料理は作らない、□□の掃除は週1回しかやらない、など。「頑張らないこと、やらないこと」を決めるというのも効果的です。
人に話して、吐き出して、楽になろう
ひとりで悩んでいると、ちょっとしたことが頭の中でグルグルまわり、悩みが大きくなってしまうことも。人に話すだけで、考えが整理できたり、スッキリしたりすることも多いです。モヤモヤやイライラは抱え込まず、身近な家族や友達など、話せる相手に話して吐き出すだけでスッキリしますよ。
相談窓口を活用しよう
そうは言っても周りに悩みを話せる人がいない!そんな時は、各種相談機関などを頼るのもよいでしょう。ほとんどの自治体で、子育てに関する電話相談窓口などが用意されています。
このような窓口が用意されている背景は、たくさんのママたちが同じように悩んだり、ストレスを抱えたりしているから。
保健師さんやカウンセラーなど専門の職員が、子育てに関する心配や悩みについて相談に乗ってくれます。自分の住んでいる街にも相談窓口がないか、確認してみましょう。
まとめ
育児疲れや育児うつ、産後うつは、誰でもなりうるものです。子育てによる環境の変化、生活の変化は、予定通りいかないことばかりで、ストレスがたまるのも当たり前。大事なのは、とにかく頑張りすぎないこと。「できないこと、やれないこと」に目を向けるのではなく、今「あるもの、できていること」に目を向けるようにしましょう。
子どものことももちろん大切ですが、この世にたったひとりしかいない、自分自身のことも大切に。
家族や友人、支援機関、自治体、医療機関など、頼れるものにはどんどん頼って、ひとりで抱えこまないようにしてくださいね。
※当サイトにおける情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする場合は、適切な医療機関での受診をおすすめします。
写真・文:COE LOG編集部
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