学校が好きな子も嫌いな子も、それぞれの関わり方を大切に

学校が好きな子も嫌いな子も、それぞれの関わり方を大切に

~「人と社会をつなぐお仕事」シリーズvol.6: 瀬戸市立にじの丘小学校 養護教諭 福居紀実さん~

たくさんの職業がある中で、なぜその仕事に情熱を燃やすのでしょうか。「人と社会をつなぐお仕事」シリーズでは、インタビューを通して地域社会・コミュニティを支える人にスポットを当てていきます。働くことを通して、人と人、人と社会をつなぎ、むすびあわせることを目指します。
第6回目は、愛知県瀬戸市立にじの丘小学校で養護教諭として勤める福居紀実さん。大学卒業後、瀬戸市内の小学校で「保健室の先生」として、たくさんの子どもたちに健康教育や心と体のケアをしてきました。「すぐに結果の出る仕事ではないけど、今が充実している」という福居さんに、お話を伺いました。

福居さんのこれまでのキャリア

福居さんの勤める瀬戸市立にじの丘小学校は、同じ施設にあるにじの丘中学校と合わせて「にじの丘学園」と呼ばれる、小中一貫校。児童数の減少が進む地域で、市内の5つの小学校と同じ校区の2つの中学校を統合して2020年に新設された学校です

福居さんの勤める瀬戸市立にじの丘小学校は、同じ施設にあるにじの丘中学校と合わせて「にじの丘学園」と呼ばれる、小中一貫校。児童数の減少が進む地域で、市内の5つの小学校と同じ校区の2つの中学校を統合して2020年に新設された学校です。
以前に福居さんが勤めていた小学校は、1年~6年生まで全児童100人程度。顔と名前、性格、家族構成も分かる人数で、保護者ともよくコミュニケーションをとっていたそう。
朝は保健室に元気な子ども達がやってきて「あー疲れた!」と、ランドセルを置いて話し込む。「はい、そろそろ教室に行くよ!」と声をかける…なんてことも。小規模で子どもたちとの距離も近い小学校でした。
2020年に着任した にじの丘小学校の児童数は約690人。7倍の規模になり、一気に慌ただしい毎日になりました。さらにコロナ禍も加わり、子どもにとっても大人にとっても、激動の1年だったことが想像できます。

学校が好きで教師になったけど…

小学生の頃は、学校の先生に憧れを抱いていました。高校生になり、進路を選択する際に、看護師や薬剤師など医療系の仕事にも興味を持つように。

小学生の頃は、学校の先生に憧れを抱いていました。高校生になり、進路を選択する際に、看護師や薬剤師など医療系の仕事にも興味を持つように。いろいろ考えた末、両方の夢に近い、教育大学の養護教諭養成課程へ進学。大学卒業後は、生まれ育った地である愛知県の教員採用試験を受けて養護教諭になりました。

私も含めて、学校の先生になる人は、自分が子どもの頃に学校が楽しかったり、誰かに支えてもらったりして、学校によい印象をもっている人が多いと思います。
ただ、養護教諭になって改めて感じたのは、学校が好きではない子、学校に行きたくない子も当然いるということ。コロナ禍でマスク生活になり「ソーシャルディスタンスをとりましょう」と言われるようになりました。顔を出したくない子や人と距離をとりたい子もいるから、コロナ禍で救われている子も少なからずいると思うのです。
いろいろな子どもがいるから、その子にとって一番よい形で関わっていきたいと考えています。

養護教諭の仕事として、年間を通して最も大きな行事は、6月末までにおこなう定期健康診断。他にも、野外活動や修学旅行の同行もおこないます。
日々の仕事として、朝検温を忘れて登校した子の対応。ケガをした子、体調の悪い子の対応をおこない、体や心、性について等の健康教育の授業をすることもあります。
教室に入るのをしぶる子や、授業に参加するのをためらってしまう子の手助けをすることもあります。話を聞いたり、気分転換に本を読んだり。子どもによって対応は変わりますが、少しでも気持ちを落ち着けて教室に入れるように背中を押しています。

自分を大切にして、周りも大切に

学生時代はボート部に所属をしていました。社会人になってから、すっかり運動不足になってしまったため、ダイエット目的で散歩をするように

学生時代はボート部に所属をしていました。社会人になってから、すっかり運動不足になってしまったため、ダイエット目的で散歩をするように。
ウォーキングから始まった休日の運動が、ジョギングになり、やがてフルマラソンに挑戦することになりました。そこからウルトラマラソン(100㎞)を完走し、トレイルランニング、トライアスロンをするようになり、今に至ります。
自分自身が健康で、好きなことに打ち込む時間を持つことで、仕事も頑張れているように思います。

みんなの力で子どもを支える

保健室に来る子どもは、基本的にはケガをしたり、体調が悪かったりする子。そんな子の元気な顔が見られるとホッとします

保健室に来る子どもは、基本的にはケガをしたり、体調が悪かったりする子。そんな子の元気な顔が見られるとホッとします。ただ、この仕事はすぐに結果が出るものではありません。
以前に勤めていた小学校で、1年生の時にケンカをして保健室に来た子がいました。その子が6年生になった時に「あの時先生に言われた言葉を今でも覚えています。ありがとう。」と手紙をもらい…私はそんな言葉を言ったことも覚えていないのですが、子どもの成長に関わっていることを実感しました。

そうは言っても私一人でできることは限られています。スクールカウンセラーや栄養教諭など、さまざまな職種の方と連携しながら、チームとして仕事を進めています。
また、基本的に養護教諭は1校に1人ですが、にじの丘学園は小中一貫校のため、小学校と中学校で1人ずつ養護教諭がいます。何かあれば中学校の養護教諭に相談することもできるため、恵まれた環境で働けていると思います。

この仕事に就いてから、同じ職場の先生方や、他校の養護教諭の先生方にたくさん助けていただいて、今の私があります。年齢的に「中堅」の立場になり、任される仕事も多くなってきました。若い養護教諭の先生も増えてきているので、自分がしてもらった分、還元していきたいと思い始めています。
そして、今の仕事がとても充実しているので、まず目の前の子どもを元気にしてあげたい。それが私のやりがいであり、目標です。

【お話を伺った方の紹介】
愛知県瀬戸市立にじの丘小学校 養護教諭
福居 紀実(ふくい きみ)さん

愛知県瀬戸市立にじの丘小学校 養護教諭 福居 紀実(ふくい きみ)さん

おうちの方とお話する時は、どうしても学校でのけがや体調のこと等、心配させてしまう内容が多いので心苦しいですが…。保護者の方からお子さんのことで、気になっていることやおうちでの様子など、気軽に教えていただけるとうれしいです。

文・聞き手:三輪田理恵

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